いつでも明るく元気な笑顔がトレードマークのタレントの鈴木奈々さん。ところが、おととしの夏、体調不良で芸能活動を休養した。
3か月間の休養を経て復帰をしたが、当時を振り返り「メンタルが弱ってしまっていた」と休養理由を告白。テレビのバラエティーで見せる明るい振る舞いからは予想もできなかった、彼女の意外な一面に、驚いた人も多かったのでは。
鈴木さんに何が起きていたのか。
布団に入っても全然眠れない
「あのときは本当につらかったし、私自身も驚きました。自分のメンタルは最強だと思っていたので、まさか私が!?って。
心が疲れてる、メンタルが弱ってるという事実を受け入れること自体にも時間がかかって。でも、あのつらかった時期を経験したことで、かえって人としても成長できたと、今では思っています」(鈴木さん、以下同)
最も悩まされたのは、不眠だったという。布団に入ってもまったく寝付くことができず、朝まで一睡もできないまま仕事に行き、長時間にわたるスタジオ収録、遠方でのロケなど、ハードスケジュールをこなすことも少なくなかった。
さらに、どこの現場にいっても、ハイテンションで明るいキャラクターを求められる鈴木さんにとっては、それだけで心身の疲労が気づかないうちに募っていったことは想像にかたくない。
「布団に入って1時間たっても2時間たっても、全然眠れなくて。もっと嫌だったのが、1回寝つきはしたものの、2時間程度でまた目が覚めちゃうとき。
そうすると、悩みごとや不安がムクムクと……。頭が興奮状態になっちゃって、また眠れない。で、眠れない眠れないって意識すると、やっぱり全然寝付けない。本当に、つらかったですね……」
そんなとき、鈴木さんが相談をした相手は、大親友であり、同じ事務所に所属しているタレントの加藤綾菜さん。加藤茶さんという、年齢が離れた夫をもつ綾菜さんは、茶さんを支えるために生活習慣病予防アドバイザー、食育インストラクターなどの資格も持っていて、鈴木さんにとっても頼りになる存在だった。
芸能界の大先輩が背中を押してくれた
鈴木さんの悩みについても、仕事で乱れがちな食生活を見直すことをアドバイス。不眠や不慣れなダイエットで痩せてしまった鈴木さんを常に気遣ってくれた。そして、最終的に鈴木さんに休養をすすめてくれたのは、芸能界の大先輩である加藤茶さんだったという。
「加藤綾菜ちゃんのおうちにも泊まりに行って、家族ぐるみで仲良くしてもらっているんです。加藤茶さんにも、お仕事の悩みやプライベートのことまで、普段からいろいろ話を聞いてもらっていました。
それで、あるとき、不眠とかメンタルの不調が続いて、『このままだと壊れちゃいそう』と落ち込んでいた私に、茶さんが『一回休んでみな』って言ってくれたんです。事務所の人に相談したらわかってもらえるからって。
私たち、こういうお仕事なので、休むっていうことのリスクとか、周りに迷惑をかけちゃうこととか、いっぱい考えて悩んでしまっていたんですけど、芸能界で長くやってこられた大先輩にそう言ってもらえたことで、決心できました。休みたいって事務所に伝えることができたんです」
休養している間は、朝早く起きて夜はしっかり休息を取るなど、基本的な生活リズムを整えたり、食生活を見直したり、まずは体の健康を取り戻すことを中心に考えて日々を送った。
さらに、やはり同じ事務所に所属し、メンタルオフィスを開設している公認心理師・山名裕子さんにも話を聞いてもらい、改善方法を探っていったという。
「精神的にはだいぶよくなって仕事に復帰はしたものの、不眠は改善していなかったんです。ネットで調べたり、本を読んだり、私も自分なりに考えて、やっぱり日中に体を動かしたほうがいいんだと思って、市営プールに通って水中ウォーキングをしたりも。とにかく、いろいろ試しました」
ヨガをやった当日の夜に爆睡
そんな鈴木さんが去年11月に、NHKの番組企画で「睡眠改善ヨガ」と出合った。以来、毎晩、就寝前に欠かさず行い、不眠はずいぶん改善したという。
「初めてヨガを習いに行ったその日、その場で、寝ちゃったんです! スゴくないですか!? で、その日の夜も、すぐに寝付くことができて。特にうれしかったのは、久しぶりに6時間ぶっ続けで眠れたことです。
起きてから時計を見てうわー! 眠れたー!って、びっくり(笑)。すごく簡単だし、ヨガで体や呼吸に集中することで、悩みごとや不安もポ〜ンってどこかにいっちゃう感じ」
鈴木さんが参加した番組は、ヨガや漢方薬などの東洋医学の力を借りて、心身の不調を整えていこうというもの。鈴木さんは「睡眠改善ヨガ」のほか、自身の体験から「メンタル不調に効く漢方薬」についても紹介する。
「周りのお友達、モデルさん、タレントさんにも、漢方をやっている人はけっこういて。それで話を聞いて、私もやってみようかな〜と思ったんです。体にやさしいイメージがあったので、長く続けられるなと思って。
それで病院にいって、自分に合うものを処方してもらったんです。漢方薬って、単純にこれをのめば治るっていうんじゃないんですよね。自分に合うかどうかが大事なんだそうです。実際にのんでみたら、私の場合はすごく合っていたみたい。不安で落ち着かなかった心が、すごく穏やかになって……」
現在は、内科で処方してもらった「酸棗仁湯(サンソウニントウ)」や「五苓散(ゴレイサン)」など、数種類の漢方薬を愛用しているという。
後輩からメンタル面での相談が増えた
番組では、ほかにも鍼灸やツボ押しなどの治療法、また東洋医学の科学的な根拠や最新研究なども紹介する。その収録に、終始前のめりの姿勢で臨んでいた鈴木さんは、どこかホクホクした表情でこう語る。
「本当に情報満載で、勉強になりました! いろいろなことを知っておくって、とても大事だなって実感しているんです。自分のためにも、周りの人のためにも。以前の私には、今ひとつ、メンタルの悩みってわからなくて、人から相談されても、ちゃんと寄り添ってあげることができていなかったと思うんです。
何しろ、メンタルが弱るなんて、感じたことがなかったので。でも、実際に自分がメンタルを崩したことで、変わりましたね。不眠も、不安も、それがどれくらいつらいことなのかも、本当によくわかるよって」
元気印に加えて、やさしさと包容力を身につけた鈴木さん。最近は、以前にまして、お友達や後輩から、メンタル面での相談を受けることが増えたそう。
「話を聞いてあげたり、私の経験を踏まえて、病院や公認心理師さんを紹介したり、それこそ漢方薬を教えてあげたり……。メンタルが原因で不眠になっている人は多いけれど、一人で抱え込んでほしくない。きっと、よくなる方法はあるよって伝えてあげたいです」
鈴木さん出演の番組「東洋医学ホントのチカラ〜心と体を整えるSP〜」は、NHK総合で、3月20日(月)午後7時30分から放送予定。
気圧変化やメンタル不調に効く漢方薬、寒暖差による不調や頭痛を改善するツボ押し、睡眠を改善するヨガなど、知っているようで知らない東洋医学の力を、実践的に紹介する。司会に森泉さん、スタジオゲストとして、鈴木さんのほかに、島崎和歌子さん、高橋みなみさん、アルコ&ピースが出演する。
番組HP:https://www.nhk.or.jp/kenko/special/toyo/sp_1.html