高級レストランで食事をし、国内外のリゾート地でバカンスをおう歌する。そんな華やかな生活をSNSで公開していた女が、詐欺と窃盗の容疑で逮捕された。
警視庁が逮捕したのは、自営業の金地紗弓(かねち・さゆみ)容疑者(37)ら女2人。
「金地容疑者らは、仲間と共謀して、今年1月下旬ごろに都内に住む80歳の女性に“医療費の還付のためにはキャッシュカードなどを預かる必要がある”と銀行員を装ったウソの電話をして、現金1万円とキャッシュカードなどを騙し取ったうえ、銀行口座から約17万円を引き出していたようだ」(捜査関係者)
いわゆる金を騙し取るために電話をする“掛け子”や、実際に金を受け取る“受け子”という、詐欺グループの下っ端にも思えるが、金地容疑者が担当していた役割はこれだけではなかった。
「“掛け子”や“受け子”の勧誘を行う“リクルーター”もしていました。金地容疑者は過去に約35件の特殊詐欺に加担していた可能性があり、被害額は総額で3000万円にのぼるようです」(全国紙記者)
悪事に手を染めていた金地容疑者の肩書きは、美容エステサロンの経営者。東京・中野区にある金地容疑者のサロンを訪れてみたが、当然ながら誰もいない。
近隣の住民に話を聞くと、
「近くの飲食店で見かけたことはあります。ちょっと派手な人だなぁとは思いましたけど、エステサロンの経営者だから、そんなものかなと。お店は、そんなに流行っていたという感じもしませんが……」(近隣住民の女性)
新型コロナでサロン経営が傾き始めた
エステサロンは2019年に開業。経営ノウハウのサポートを受けたというコンサルタント企業のホームページに掲載されている金地容疑者のインタビュー記事では、
《オープンした翌月の10月には100万円の売上を上げることができました》
と、順調ぶりをアピール。実際、こんな話が聞こえてきた。
「私の知り合いが通っていましたが、1回あたりの金額が安くなるからと回数券を購入していましたよ。“施術の腕がいい”と話していました」(別の近隣住民の女性)
評判は悪くなかった。このままサロン経営は軌道に乗るかと思われたが、金地容疑者を襲ったのが新型コロナだった。1回目の緊急事態宣言が発令された直後の2020年5月、金地容疑者のインスタグラムにはこんな投稿があった。
《4月に入った途端、急に予約のキャンセルが続き、今まで経験したことのない不安で夜も眠れない日々が続きました》
経営難のせいか、2020年5月にはクラウドファンディングで150万円の資金援助を募るも、支援者はゼロ。
しかし、同年9月には沖縄に旅行し、ハイクラスのリゾートホテルに宿泊。ホテル内にある寿司店で数万円のコースを堪能。2021年10月には宮古島にも旅行したとインスタで報告している。
いったいどこで、彼女は道を踏み外したのか。金地容疑者の友人が話す。
「紗弓は、若いときにギャルサーに加入していて、そのころの人脈を使って、お客さんを紹介してもらっていたようです。サロンをオープンした当初は、整骨院の一部を間借りして営業していたので、家賃も確か5万円ほどだから何とかなっていたんだと思います」(友人、以下同)
知人からの借金を踏み倒していた
コロナによる打撃を受けつつも、2022年に事業を拡大。
「間借りしていた整骨院が閉業することになったのですが、その空いたテナントを全部借りることにしたんです。内装も作り直して、初夏ぐらいにリニューアルオープン。家賃は月30万円以上したはずです。予約で毎日埋まっているなら大丈夫でしょうが、紗弓は“店は予約があるときだけ営業している”と話していて、そこまで儲かっている印象はありませんでした」
そんな金地容疑者の私生活に、違和感があったと続ける。
「紗弓は見栄っ張りなところがある子で“あそこの高級レストランに行ってきた”とか、1回の食事で1人数万円はする店の話をよくしていて。それでもエステサロンの経営者という彼女を尊敬している部分もあったので、あまり深くは気にしていませんでした」
“成功者”を装っていたようだが、最近になってこんな話が聞こえてきたという。
「最近知ったのですが、昨年から複数の知人に借金をしていたようです。サロンの改装費なのか、運転資金かわかりませんが、紗弓はそれをいっさい返済しなかった。それで、お金を貸した1人が“どうなってるんだ! 返済計画を出せ”と、今年2月ごろに紗弓に詰め寄ったら、そのまま連絡がつかなくなったようなんです」
サロンの赤字を埋めるため、
「楽に稼げるから」
そんな甘い言葉で誘われて、犯罪行為に加担したのか。
働かない彼氏との生活を支えるも
「金地容疑者が関係した特殊詐欺グループは、2022年10月ごろから犯行に及んでいたとみられています。金地容疑者は犯行グループの指示役から匿名性の高い通信アプリを介して“女性を優先的に勧誘してほしい”というメッセージを受けとっていた。被害者の警戒心を解くために、女性を実行犯に利用する目的だった」(前出・全国紙記者)
金地容疑者が特殊詐欺に手を染めたと思われる少し前から、その人柄には変化が。
「もともとはサッパリした男気のある子だったんですが、昨年からサロンの客や友人の悪口を言うようになっていました。仲のいい友人だと思ったら、ウラでボロクソに言うんです。“紗弓が人の悪口を言っている”という話が仲間内で広がって、周りから人が離れていきました。“道で紗弓に会って挨拶したら無視された”という人も。それに、エステサロンの経営者なのに、どんどん太っていったんです。経営が行き詰まり、そうとう精神的に追い詰められていたのかもしれません」(前出・友人)
金地容疑者と飲み仲間だったという人は、彼女の恋愛事情についても言及する。
「紗弓さんがゾッコンで、何年か交際している男性はいました。ただ、その彼氏は体調を崩して働いていない時期もあり、彼女が生活を支えていたみたい。あるとき、紗弓さんが目に“青タン”を作っていて、どう見ても殴られた痕なのに、彼女は“転んだだけ”と言い張っていましたね。実際、彼氏に殴られたのかはわかりませんけども」
エステサロンの経営だけでなく、恋もうまくいっていなかったのか。金地容疑者がインスタグラムに載せていたのはキラキラした思い出ばかり。それも偽りだったのか――。