河野太郎デジタル担当大臣

【これってブラック校則につながるものがあるよね。】

 3月19日に更新した、河野太郎デジタル担当大臣のツイートが物議を醸している。

 発端となったのは、3月18日の第95回選抜高校野球大会(センバツ)初日に行われた、東北高校(宮城県)と山梨学院高校(山梨県)の試合。先頭打者の東北高選手が出塁すると、塁上で自陣ベンチに向けて披露したのは胡椒を挽く動作をする“ペッパーミル”パフォーマンス

 しかし、その後に塁審からパフォーマンスに対する注意を受けたようで、敗戦後の同校・佐藤洋監督は「これだけ野球界が盛り上がっているのに。なんでこんなことで子供たちが楽しんでいる野球を大人が止めるのかな」と、大会主催者の日本高校野球連盟に苦言を呈したのだった。

 この“ペッパーミル”は現在、WBC(ワールドベースボールクラシック)に臨んでいる野球日本代表「侍ジャパン」メンバーのラーズ・ヌートバー選手の代名詞として、チーム内でも大流行しているパフォーマンス。

 第1次ラウンド、そして決勝ラウンドのイタリア戦はいずれも試合中継の世帯視聴率40%超えと、日本中から注目を集める侍ジャパンだけに、高校球児であれば尚更のこと。ヌートバー選手らに倣って、甲子園球場でチームメイトと喜びを表現するパフォーマンスとして取り入れたのだろう。

当初は審判、高野連に対する苦言

「“パフォーマンスをやめさせられた”との一報の際には審判、並びに高野連に対して“きびしすぎる”“それくらいいいだろう”と、ネット上では球児を庇う声がありました。しかし、実際の経緯と詳細が伝えられると、一変して東北高校の“マナー”違反が指摘され始めたのです」(スポーツ紙・野球担当記者)

 というのも打者が出塁したのはヒットではなく、山梨学院のエラーによるものだったから。これが相手チームの失敗を喜ぶような、煽るような行為と見做されてしまったのだ。

 間も無く、この批判の流れは冒頭のツイートをした河野大臣の下にも寄せられ、

私は若者の見方!的な浅い発言ですね。がっかりですよ。 相手エラーの出塁でパフォーマンスなんか侍ジャパンもやってないですよ。》

《河野太郎が高野連に物言っとるけど、内容をちゃんと理解できてないし発想が浅すぎるんだよね。 知識がない分野にしゃしゃり出て好感度あげようとして自滅するとか情けなさすぎるだろ。》

 SNS上では、“いっちょかみ”失敗を指摘するような声も。すると、

【「ヒットの時はいいけど、エラーの時はダメ」というのも「モヒカンはいいけど、ツーブロックはダメ」と同じで大人の価値観をただ押し付けてるだけ。何が良くて何がダメか、自分たちで決めなさいとならないとブラック校則は無くならないし、無くせない。】

 大臣は自身への口撃に屈するどころか、“ヒットやエラー”をなぜか“モヒカンやツーブロック”に例えて自論を展開。あくまでも当初に唱えた【ブラック校則につながるものがある】理論を崩そうとはしなかったのだ。

「ズレてるとしか言えない」

 これに対しても、

《ヒット→打者の成功 エラー→守備側の失敗 他人の失敗を喜ぶ事と髪型を同一視しているのはズレているとしか言えないよ 河野太郎大臣》

《政治に例えれば「政治不信で総選挙になったけど、投票率は低く教会の組織票で結局与党が勝利して「国民の信任を得た」とか言われたのと同じじゃない? 》

 “モヒカン”の例えに「ズレている」と呆れ返られ、はたまた“ブラック校則”ではなく選挙や政治に例えるユーザーも現れるなど、次々と“論破”される大臣。

 すると止まない批判を逸らしたかったのか、今度は唐突に【マナーと価値観の話で、例えば、高校生が授業を受けながらコーヒー飲んでドーナツ食べるのはあり?】と、なぜかネットユーザーに対するアンケートをツイッター上で取り始めた大臣。

 翌3月20日に【コーヒーはありだけど、ドーナツはダメ】との答えが最も多かったとする結果を示しつつ、【このアンケートが私の言いたいことを表してくれている】と、まるで多数決に乗っかるように自身の留学時代の体験を語り始める。

若者への“ゴマスリ”パフォーマンスか

 なんでもアメリカの高校では、生徒は授業中にコーヒーを飲みながらドーナツをかじっていたといい、最初は否定的だった河野大臣だったが、翌週には自身も同様の行為をするようになった、というもの。

【だから基本的なマナーだと思っている(続)ものも、そうではないかもしれません。高校生なら、自分達で守るべきマナーを、自分達で決めさせてあげるべきだと、たぶん、その時から思うようになりました。

「何かと若者支持が高いとされる大臣だけに、高校球児に寄り添って高野連の大人たちに疑問を投げかけたかったのでしょう」と苦笑いするのはキー局報道部の政治記者。

「それこそペッパーミルではなく、若者にゴマスリするようなパフォーマンスを見せるも思ったような支持を得られず、論点をズラしてあやふやにしようとしたように見えますね。

 そもそも今回のエラーに乗じたパフォーマンスは、“大人の価値観”や“ブラック校則”とはなんの関係もない、単に相手チームへの敬意を欠いたスポーツマンシップに反した行為が問題視されているわけで、河野さんが言う“自分たちで決める”ことを問う話ではないでしょう。失敗したら素直に認めて謝罪する、そんなマナーを教えるのも大人の役目だと思うんですが(苦笑)」

 若者たちから、“他の大人たちと一緒”と思われないようにしたい。

 

自身を“AI”化したユーザーを引用ツイートする河野太郎デジタル相(公式ツイッター)

 

「コーヒー飲んでドーナツ食べるのはあり?」唐突にアンケートを始めた河野太郎大臣(公式ツイッターより)

 

ペッパーミルパフォーマンスで人気者。侍ジャパンのラーズ・ヌートバー選手