ここ最近、連日のようにネットニュースに顔を出しているのがガーシーこと東谷義和容疑者。3月15日に国会議員を除名され議員資格を失い、待っていたかのようにあくる日の16日、警視庁捜査2課は逮捕状を請求した。
容疑はすでに報じていられるように暴力行為法違反(常習的脅迫)や名誉棄損。インターネットの動画投稿サイトで芸能人や実業家などの著名人を脅迫、中傷した疑いがあるからだ。
3月24日の朝、警視庁は兵庫県伊丹市のマンションにあるガーシー容疑者の母親が住む実家など2部屋に家宅捜索が入った。インターネットの動画投稿で得た収益の一部が親族の口座に移った疑いがあるという。その報道が出て間もなく、ガーシー容疑者はライブ配信を開始。滞在を続けているアラブ首長国連邦(UAE)のドバイから涙ながらに訴えるのであった。
「ほんまに、うちのおかんだけは勘弁して下さい。77歳のおかん捕まえて、勾留して何が出るんですか。うちの母親だけは、ほんま止めてください。知っているわけないじゃないですか」
「事務所の他のタレントも晒すぞ」集中砲火の過去
これまでの暴露で、対象となる芸能人と親しくしている周囲の人間にも“被弾”させてきたガーシー容疑者。それだけに、泣きじゃくる彼をみて因果応報を感じる向きもある。『現代ビジネス』のインタビュー(3月16日配信)で、彼は当事者の周りを被弾させていくことについて《こちらには悪いなという気持ちはある》としつつも、《僕は外堀から埋めていくので、本人の奥さんとか子どもとか。それがやられたらみんな嫌がるから》と話していた。
ガーシー容疑者が現在の立場に追われたきっかけのひとつに、実際に被害を受けた著名人が訴え出たという経緯がある。俳優の綾野剛、ドワンゴ創業者の川上量生氏、ジュエリーデザイナーの福谷公男氏の3人であることがすでに判明している。
ガーシー容疑者がYouTubeで暴露を続けていたなかで、特に被弾を浴びていたうちのひとりが綾野だった。
昨年5月に“未成年飲酒・淫行疑惑”を暴露したが、一部週刊誌が取り上げるだけで、テレビやスポーツ紙が扱わず、当時ドラマ『オールドルーキー』(TBS)に出演予定だった綾野にペナルティが課せられることもなかった。あのときガーシー容疑者が相当イライラしていたのが思い出される。淫行の被害を受けたという当時17歳だったNMB48のメンバーをドバイにまで呼びつけ、自身のチャンネルで証言させたり、綾野が所属する芸能事務所の社長まで執拗(しつよう)に“口撃”するようになった。
《綾野に謝罪させろ。社長を辞めろ。そうしないと事務所の他のタレントも晒すぞ》
そんな脅し文句に対し、社長も綾野も無視していたら、実際に同事務所の小栗旬の裸の写真を晒す暴挙に出た。
訴訟は「社長と綾野」ふたりで進めて
今回の訴訟にはこのような経緯があったのだ。
2月8日、綾野が訴えに出たと知ったガーシー容疑者はSNSの生配信で、「剛、ちゃんと分かっとけよ!裁判するということは裁判所に出てきて、テレビのカメラが入っている前で、オレとケンカせなアカンということや!」と吠え、宣戦布告していた。現在のガーシー容疑者に当時の勢いはなさそうだが、なぜリスクが大きい訴訟に踏み切ったのか。黙っていればよさそうなものだが……。
「本当は綾野さんは告訴などしたくなかったようです。今年の元日に女優の佐久間由衣さんとの結婚も発表しましたし、いまさらいろいろ蒸し返されたりするのは嫌だったと。告訴を主導したのは事務所の社長だといいます。自身も社内事情などについて暴露を食らっただけに、“なんとかしたい”という思いが強かったそうです。自分が訴えるだけの条件がそろっていなかったため、綾野さんを立てたと」(芸能プロ関係者)
また、綾野の所属事務所に近い別の芸能プロ関係者もこう語る。
「事務所のなかでは今回の訴訟の件について知らされている者はほとんどいない。社長と綾野さんがふたりで進めていることみたいですね」
『週刊文春』(3月23日号)の報じたところによれば、綾野は関係者の取り調べに対し、「絶対に(淫行は)やっていない」と答えているという。記憶にないかつ、泥酔していたなら“機能不全”であると主張しているというのだ。『デイリー新潮』(3月22日配信)でも、綾野が事実無根を訴えていること、警察の事情聴取にも応じているとの知人の証言を掲載した。「刑事裁判が始まった暁には“逃げも隠れもせず堂々と証言する”と覚悟を決めていますよ」と。
また、『週刊女性PRIME』が昨年12月に配信した記事では元NMB48のアイドルが40代の実業家と不倫関係であると写真つきで報じている。ガーシー容疑者のいるドバイに向かうための渡航費もこの男性が出したのだという。彼女は現在、当時運用していたインスタグラムも閉鎖し、完全に人前から姿を消している状況のため、法廷に立って証言する可能性も少なそうだ。
裁判の今後についてテレビ局の報道記者はこのように話す。
「裁判の状況になればまず東谷さんは綾野さんの淫行について事実と主張すると思われます。しかし、争点は淫行が事実かどうかではなく、脅迫や威力業務妨害があったかどうかなので間違いなく罪に問われるでしょうね」
あとは司法の判断を仰ぐのみ。
<芸能ジャーナリスト・佐々木博之> 宮城県仙台市出身。『FRIDAY』で取材活動をスタート、記者歴37年のなかで数々のスクープを手がける。現在はテレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中。