「頼むからオカンだけは勘弁してください。親父が自殺して俺まで犯罪者みたいになって……。これ以上、オカンを苦しめたくないんです……」
3月24日、インスタライブによる生配信でそう話したのは、『ガーシー』こと東谷義和“容疑者”だ。
現在、彼は有名人らをくり返し脅迫したなどとして逮捕状が出ている。
「24日の生配信はガーシー容疑者が動画配信による収入を妹名義の口座を介して得ており、妹が住んでいた兵庫県の実家に家宅捜索が入ったことを受けてのものでした」(スポーツ紙記者)
高齢の母親を案じ、涙ながらに生配信で語ったガーシー容疑者だが……。
「母親の暮らす実家を捜索されるのは気の毒にも思えますが、家族を介して収益を得ていた疑惑での捜索ですし、そもそもガーシーは“BTSに会わせる詐欺”をはたらいています。その件は示談金で解決してはいますが、今でも彼に苦しめられ続けている人がたくさんいるので同情はできません」
そう話すのは、ガーシーのオンラインサロン『GASYLE』(ガシル)との金銭トラブルに巻き込まれた女性。
BTS詐欺の被害者への弁済金は美容外科医・麻生泰氏が一時的に肩代わりした。では、今でも続くトラブルとは……。
「当初、ガーシーはYouTubeで有名人に関する“暴露”動画を投稿していましたが、アカウントが凍結されてからは会員制のオンラインサロン『GASYLE』を立ち上げて、会員のみ閲覧できる動画で暴露を続けていました。当然、有料のサロンなのですが、その月額料金についてのトラブルが多発し、現在においても解決していない人がたくさんいるんです」(前出・『GASYLE』で金銭トラブルに巻き込まれた女性、以下同)
『GASYLE』の月額料金は当初は3980円。今年2月からは30ドルとなっている。
数百人が返金されていない可能性も
「月額の変更がなされた2月時点は非常に円安ドル高が続いていたため“実質的な値上げ”と言われていました。この変更も不可解なのですが、それ以上に実害が生じています。ケースは人それぞれですが、“解約後に月額料金の引き落としがあった”という人が多い。ガーシーがライブ配信などで“返金対応をしている”と話しているので、“あるはずのない引き落とし”が発生していることは彼も認めている事実です。そして対応していると言っていますが、未だに返金されていない人が多数います。『被害者の会』が立ち上がっており、現在そのメンバーは240人ほどいるので、実際には数百人単位の人に返金されていないと推測できます」
そもそも『GASYLE』は、 サイトとしてずさんな点があるという指摘があり、そのために問題が解決されない面がある。
「月額料金を取る会員制サイトなのに、入退会時のどちらも“完了メール”などが届くことはありません。また、ガーシーは“返金されていない人は連絡してくれ”など生配信で言っていましたが、『GASYLE』サイト上には問い合わせ先窓口がありません。公式インスタグラムのダイレクトメッセージだけ。さらにメッセージを送ってもなかなか対応がなされません。そもそもネットの“販売サイト”で問い合わせ先の記載がないのは違法のはずです」
『特定商取引法』は、通信販売を行う者に対して一定の規制をかける法律。この法律により、ネットショップ上に氏名や住所、電話番号などの『特定商取引法に基づく表記』をすることが義務付けられている。だが『GASYLE』にはそれがない。特商法に基づく表記は“情報”を売るサイトでも“モノ”を売るサイトでも必ず必要であり、“法律違反”だ。
そんななか、この金銭トラブルの解決に立ち上がった“政党”がある。『政治家女子48党』(旧称・NHK党)だ。“NHKをぶっ壊す!”で知られる立花孝志氏が事務局長を務めている。
現在、『政治家女子48党』のホームページには『GASYLE返金について』という記載がある。
《GASYLEに退会後、何らかの事情で誤って支払われてしまった分を返金してほしい方はこちらの誓約書兼請求書に必要事項を記入の上、GASYLEに料金を支払ったことが証明できる書類を添付して下記へ郵送してください》
ガーシーが引き起こした金銭トラブルにこの政党が対応するというのだ。ホームページからは《誓約書兼請求書》がダウンロードできる。
誓約書兼請求書には、《返金希望額》や《返金を希望する理由》などを記入、また《GASYLEに支払った証明書のコピー》を添付する。
立花氏本人から記者に直接、電話が…
なぜ、容疑者のトラブルの対応をこの党が行うのか。政治家女子48党にその理由を問い合わせると、党の事務局長である立花孝志氏本人から記者に直接、電話が入った。コール時に出られずにいると、その数分後に記者に電話をかけるところから撮影された動画がYouTubeの立花氏のチャンネルに投稿された。動画では週刊女性からの質問に立花氏が答えている。
立花氏いわく「週刊誌はですね、切り取って適当なことを書けちゃうので」ということなので、その全文を記載する(質問事項の読み上げなどは省略)。
「すいません今日ですね、問い合わせが来ておりまして、今電話してるんですが繋がらないので回答をそのままYouTubeで流していきます」(立花氏、以下同)
――ガーシー容疑者の金銭トラブルを政治家女子48党が対応するという認識でよいのか。
「ホームページに載せている通り対応しておりますので、その認識でOKです」
――返金が必要だと立証されたユーザーへの返金は政治家女子48党がするのか。
「当然ですね、立証された場合っていうか、お申し出がいただければと。請求書と誓約書ですね。ここにサインをいただいて、“ガーシーにお金を払った”という証明書を付けていただければ、ホームページの通りですね、返金いたします。ただし、虚偽の申告などがあった場合においては警察に詐欺罪などの届け出をするということで、返金希望の方においてはそこは誓約書の方にしっかりと書いていただくということになります」
――政治家女子48党としてガーシー容疑者の金銭トラブルをどのように考えているのか。また、なぜ彼が起こしたトラブルの返金に対応するのか。
「返金トラブルをどうお考えでしょうかについては、正直もうお金返してくれと言われれば僕は返すという考え方をこれはもう常にそうしておりますので、当時ですね、私が党首をしてた頃にですね、お金返して欲しいって言うんだったらお金返しますよということを言っているので、それをやるだけのことです。これまでもね、例えば視聴料とかああいうのも返してくれれば返していますし、今現在も参政党の党費を返してくれという人に対してはお返しをしておりますので、もらったお金を返せと言われれば基本返しています。それだけじゃなくてNHKから裁判された人の受信料も支払いをしてたり、生活保護の方への白物家電の無料提供やガス代電気代などもお支払いしていますので、これまでの党の考え方から照らせば、『GASYLE』で被害を受けたとおっしゃる方については、お金を返すということですね」
「“『GASYLE』おける金銭トラブルをどう考えているのか”についてはよくわかりません。もうこんなのいちいち調べてられないのでね。クレームがあった方について複数名いらっしゃいましたので、月額3980円ということもあって、もうお金を返して終わらせようということです。我々はNHKの被害者を守るのがメインなので、これちょっとこれ調べてもわからないので、お金を返してくれという人には返すということです」
――『GASYLE』に特定商取引法に基づく表記がないことについて。『GASYLE』の商標登録権利所在地は、政治家女子48党の所在地となっている。記載がないのは違法といえないか。
「特定商取引法違反になるんじゃないかなと思いますね。はい。そこについては政治家女子48党とNHK党が関与しているものではありませんので、そのように思うのであればですね、警察に被害届を出すなり、消費者センターに問い合わせいただければと思います」
立花氏及び政治家女子48党が、ガーシー容疑者の金銭トラブルになぜ協力・対応するのか。その理由については明確な返答はなかった。
政治家女子48党も、ある意味で“当事者”
立花氏はこれまで“返金を求められたら対応してきた”と話している。返金に対応してきたという“経歴”は、自身の党に関するものや活動に関するものに対してのものだったはずだ。現状、ガーシー容疑者は国会議員からは“除名”されており、政治家女子48党(ガーシー容疑者出馬時は『NHK党』)の党員ではなく、党籍もない。
もともと党の所属であったガーシー容疑者によって生まれた金銭トラブルだから対応している、と言っているのかもしれないが、返金の“原資”にあてられるのは、政治家女子48党の資金となるはずだ。それは政党として為すべきことなのだろうか。ガーシー容疑者が引き起こしたこのような金銭トラブルに協力するのは、“かつての同志”への優しさなのか。一時在籍した党が“肩代わり”するほどの理由があるのか。『GASYLE』の商標登録権利所在地が、政治家女子48党の所在地と同じである以上、ある意味で“当事者”とも言える。
いずれにせよ政治家女子48党の協力により、トラブルは早期解決を見せるか。“苦しんでいる”のは、ガーシー容疑者の母親だけではない。彼が苦しめ続けている人たちがいるのだから……。