新年度を迎えるこの春、テレビ局の花形アナウンサーの退社が続いている。
直近では、2月末でNHKを退局した武田真一アナ(55)が、4月から始まる日本テレビの朝の新帯番組『DayDay.』のMCに就任。フジテレビの三田友梨佳アナ(35)は出産のため3月末には退社。同じく3月末で退社するテレビ東京の森香澄アナ(27)はインフルエンサーへの転身が噂されるなど、古巣を離れるアナウンサーの去就が注目されている。
そこで、本誌では「次にフリーになりそうな局アナランキング」と題して全国の20〜60代の男女1000人を対象に調査。結果について、アナウンサー事情に詳しい芸能記者の佐々木博之氏は「芸能記者仲間の見立てと同じ」と述べる。
男女1000人に聞いた「フリーに転身しそうな局アナ」
「1位の日本テレビ・水卜麻美アナ(35)、2位のTBS・安住紳一郎アナ(49)は、かねて噂されていますが、退社はないでしょう。水卜アナは重要なポストを用意するなど日テレが大切に扱っていますし、安住アナも同様でさらに上に行くのではと噂されています。4位に入ったテレビ朝日の弘中綾香アナ(32)も今の状況に不満はないようですから辞める理由が見つかりません。
一方、3位のNHK・桑子真帆アナ(35)は、ずっと噂されています。というのも'21年に俳優・小澤征悦さん(48)と結婚していますから、いずれ家庭に入る可能性が高いと見られているからです」(佐々木氏)
読者の意見を見ると、水卜アナには「どの局での仕事でもこなせそう」(大阪府・50歳男性)、安住アナには「今年50歳の節目の年だからフリーになりそう」(東京都・40歳男性)と新天地での活躍を期待する声も。桑子アナには「雰囲気を見ていると有働(由美子)アナに続きそう」(神奈川県・32歳女性)といった意見があがった。
「人気がなければ世間的に『辞めるか辞めないか』という噂が出ない」と佐々木氏。やはり、視聴者側には「違う舞台で活躍する人気アナウンサーの姿をひと目見たい」という願望もあるのだろう。
一方、5位以下の結果はどうか。
「5位のテレビ朝日の下平さやかアナ(50)は、キャリア28年以上の大ベテラン。'15年3月にプロ野球の長野久義選手(38)と結婚して以降も仕事を続けていますし、辞める理由はもはや見当たりません。また、辞めてから活躍の場を広げられるかはベテランで知名度があるとはいえ疑問ですね」(佐々木氏、以下同)
6位の永島優美アナ(フジテレビ、31)は、朝の情報番組『めざまし8』の卒業時も退社が噂されたが……。
「夫が同局の情報制作局に勤める社員で、職場が一緒ですから退社しづらい事情もありそうです。フジテレビの中村光宏アナ(38)を夫に持つ10位の同局・生野陽子アナ(38)も同様です。局は違いますが、NHKの青井実アナ(42)との“同業者婚”でゴールインした8位のテレビ東京の相内優香アナ(37)も、似た理由で仕事を続ける可能性が高いです」
読者からは、下平アナに「そろそろフリーにならないとなれる機会を逃しそう」(山形県・39歳女性)と厳しい声も。永島アナには「結婚したし、落ち着いたらいつか自分で新たな道を切り開きそう」(奈良県・45歳女性)。生野アナは「子育て優先のために、フリーになってママタレみたいになりそう」(福岡県・29歳男性)と、結婚や出産を機に、いつかフリーになるのではという声もあった。
男性&女性アナそれぞれの退職事情の違い
一般企業の退社時と同様に、古巣を離れるアナウンサーには「給与面や待遇など、職場環境への不満を抱えるケースもあるのではないか」と述べる佐々木氏は、アナウンサーの退社事情について「女性アナと男性アナでは異なる」と見解を示す。
「かつて、女性アナの頂点は報道番組のMCだといわれていた時代がありました。ですが、民放では『30歳定年説』というのが囁かれていて、30歳を過ぎるとMCどころかお呼びがかからなくなり、またアナウンス職以外の部署に異動になることもありました。それを機会にフリーとなるケースが多かったですね。
ただ現在では、女性アナの場合、各局ともほぼ毎年採用しており飽和状態。しかも、夕方のTBSの帯情報番組『Nスタ』でキャスターを務めるホラン千秋さん(34)のように、フリーで活躍する元アナウンサー志望の人材も大勢いますし、局を離れてアナウンサーを続けるのは難しい。
元TBSアナの田中みな実さん(36)みたいに女優へ転身する選択肢もありますし、SNSなど自己発信の手段もあるため、前出のテレビ東京の森アナのように、局を退社したあともアナウンサーを続ける理由がなくなってきているのかなと思います」(佐々木氏、以下同)
かたや、男性アナの場合は、フリーに転身しても女性アナより選択肢の幅が狭まると佐々木氏。
「男性アナウンサーも飽和状態。元NHKアナでテレビ朝日の『報道ステーション』でキャスターを務める大越健介氏(61)のように活躍できるのは、そもそもごく一部です。
家庭の大黒柱として給与や待遇をより考える立場の方もいるでしょうし、退社の裏では素直に『もっと稼げる場所へ行きたい』という希望もあると思います。アナウンサーたちも1人の“会社員”として、同様の悩みを抱えているということなのでしょう。なので、昨今では、アナウンサーから転身して他業種へ転職するケースも目立ってきているのだと思います」
最近では、元・TBSの国山ハセン氏(32)が、ビジネス映像メディアを手がける企業・PIVOTの映像プロデューサーへ転身。『報道ステーション』のメインキャスターを務めた元・テレビ朝日の富川悠太氏(46)が自動車メーカーのトヨタへ転職、元・日本テレビの桝太一氏(41)が退社後に同志社大学で助教になったことも話題を集めた。表舞台に別れを告げて、違う世界でのキャリアアップを図る。そういったケースも増えてくるのかもしれない。
今後もアナウンサーの退社はより加速するのか。佐々木氏は見解を示す。
「加速することはないでしょう。毎年、数人のアナウンサーがテレビ局から退社するのは変わりませんし、今後もその状態は続くだろうと思います。ただ、退社する年齢が低下しているのは、昨今の傾向です。以前は30歳前後で辞めるアナウンサーが目立っていましたが、最近は入社2〜3年目で退社するケースも増えていて、もしかするとこのあたりの年代から今年フリーになる人がいるかもしれません」
今や、転職が当たり前の時代となった。メディアも多様化し、アナウンサーが活躍する場もテレビだけとは限らない。セカンドキャリアの選択肢は、今後もより広がり続けるのだろう。
【次にフリーになりそうな局アナランキング】
1位 水卜麻美 日本テレビ 140票
2位 安住紳一郎 TBS 123票
3位 桑子真帆 NHK 102票
4位 弘中綾香 テレビ朝日 98票
5位 下平さやか テレビ朝日 48票
6位 永島優美 フジテレビ 42票
7位 田中瞳 テレビ東京 34票
8位 相内優香 テレビ東京 32票
9位 岩田絵里奈 日本テレビ 25票
10位 生野陽子 フジテレビ 22票
(取材・文/スズキノリオ)