今回ジャッジしたドラッグストアシャンプーたち(撮影/伊藤和幸)

 ドラッグストアに並ぶシャンプーといえば、かつてはカラフルで派手なパッケージが多かったが、最近シンプルなデザインのシャンプーが増えている。

ドラッグストアシャンプー全部試してジャッジ!

 その変化について、人気ヘアサロンの美容師で市販のシャンプーのレビュー動画も配信している米村敦貴さんは、「ドラッグストアのシャンプーのデザインが変わってきたのは、『ボタニスト』のヒット以降です」と分析する。

「『ボタニスト』が登場するまでは過剰広告ぎみの商品が多かったのですが、その反動とボタニストの後追いもあり、今は美容院で売られているサロンシャンプーのようにシンプルで、ナチュラルさを打ち出したシャンプーが人気に。

 最近では“ボタニカル”や“オーガニック”といった、より自然派にこだわったコピーも多く見かけます」(米村さん、以下同)

「ナチュラルな雰囲気を演出するための、いわばキャッチコピーです。実際は全体の1%しか入っていないなんてことも」(米村さん)(撮影/伊藤和幸)

 ボタニカル・オーガニックと聞けば、自然由来の成分を配合していて、髪や頭皮への刺激が少ない“よいシャンプー”に思える。しかし、プロに言わせると実はそれはイメージでしかない。

「海外では『オーガニック』や『ボタニカル』といった表示をするのに厳しい基準がありますが、現在の日本には基準も定義もありません。

 ドラッグストアシャンプーのなかには、極端な話、植物エキスを1%でも配合していれば『ボタニカルシャンプー』と名乗っているようなものもあります。

 もちろんそうでない商品もありますが、市販のシャンプーのキャッチコピーを鵜呑みにしないほうがいい」

自然派=髪にやさしいというイメージは誤解

 米村さんによればドラッグストアの自然派シャンプーは、洗浄力がマイルドな“アミノ酸系の界面活性剤”を使った製品が主流。つまりは髪にやさしい印象だが……。

「洗浄力が弱いシャンプーは、確かに頭皮への刺激は少ないです。でも、髪についた整髪料や皮脂汚れは、マイルドな洗浄力のシャンプーでは落ちきらないことも。

 それらが髪や頭皮に残ってしまうと、結局は髪のダメージに。『洗浄力が弱ければよいシャンプー』とは言えないのです」

 各メーカーも売り伸ばしのため、より斬新なキャッチコピーで「自然派」のイメージをアピール。

 ボトルに貼られたPOPシールには、「植物パワーオイル」や「ハチミツ美容」などの文字が躍るが、それがどう髪にいいのかは、よくわからず使っている人も多いだろう。

 その美髪効果や洗い心地は?

 髪のプロでシャンプーの成分解析を得意とする米村さんに、辛口ジャッジしてもらった!

イメージに踊らされがちキーワード
・「髪と頭皮にやさしい」→皮脂汚れや整髪料を落としきれない
・「無添加で安心」→長期間の使用では腐りやすいので注意
・「オーガニック成分配合」→該当成分が1%未満の場合も

プロでも難しい成分の見極め、数日間使って実感を確認して

 米村さんに検証してもらったシャンプーは10点。どの商品のパッケージも、情報をなるべく削ぎ落とした、シンプルなデザインが特徴。

「これらの“自然派”風シャンプーの多くが使用しているのが、今流行りの“アミノ酸系界面活性剤”。肌にはやさしいですが、洗浄力の物足りなさに加え、泡立ち・泡切れが悪く、使い心地がイマイチだと感じる人もいるかもしれません。

 “やさしい成分”という一面的な情報だけでなく、使用感なども踏まえて自分好みのものを選ぶといいでしょう。自分の髪に合うシャンプーを見極めるには、3日~1週間継続して使い、髪や頭皮の状態を確かめるのがベストです」

 今はお試し用の少量パッケージのシャンプーも売られているので、まずは数日試してみるのもアリだ。

「最近では、“ノンシリコン”のシャンプーをオーガニックと言っている場合もあります。一時期、“シリコンやラウレス硫酸Na(ナトリウム)は髪や身体によくない”という情報が出回りましたが、それも誤った認識ですね。

 他の成分との組み合わせも関わってくるので、成分の解析は単純ではない。正直プロでも難しいんですよ」

 今回は成分に加え、使い心地と仕上がりも検証。プロが認めたシャンプーはどれ!?

シャンプー検証方法

(1)裏面の成分をチェック

 界面活性剤、コンディショニング成分のほか、髪に効果的な植物由来成分が入っているか確認

(1)裏面の成分をチェック(撮影/伊藤和幸)

(2)テスト用の毛束で洗う

 使用量は1プッシュ。泡立ちや、すすいだときの泡切れのよさ、指通りなど、使い心地をお試し

(2)テスト用の毛束で洗う(撮影/伊藤和幸)

(3)ドライして仕上がりを確認

 ブラッシングしながら毛束を乾かしていく。からまったり、パサついて広がるものは減点

(3)ドライして仕上がりを確認(撮影/伊藤和幸)

(4)手触り、まとまり感を比較

 毛束を1本ずつ触って質感をチェック。毛先まで同じ質感に仕上がっているのが理想的

(4)手触り、まとまり感を比較(撮影/伊藤和幸)

週刊女性世代におすすめシャンプーBEST5!

 ハリ・コシ不足やうねりなどの悩みを解消してくれるシャンプーはコレ!

1位 Care me/ホーユー 500ml(1738円)

 サロンシャンプー並みのクオリティー!

1位Careme/ホーユー 500ml(1738円)(撮影/伊藤和幸) ※画像をクリックするとAmazonの商品ページにジャンプします。

「髪質改善トリートメントにも使われている『酒石酸』(ブドウに含まれるフルーツ酸)という最新の保護成分を配合しています。肌にやさしいのに、使い心地も仕上がりも文句なし。別格です!」(米村さん、以下同)

「酒石酸は薄毛が気になる人にもおすすめ!」(撮影/伊藤和幸)

【成分】★★★★
【使い心地】★★★★★
【仕上がり】★★★★★
【コスパ】★★★★

2位 ma & me Latte(ベーシックライン)/クラシエ 490ml(880円)

 どんな髪質の人にもおすすめできる

2位ma&meLatte(ベーシックライン)/クラシエ 490ml(880円)(撮影/伊藤和幸) ※画像をクリックするとAmazonの商品ページにジャンプします。

「指通りと泡立ちのよさを上げる『ラウロイルヒドロキシエチル-β-アラニンNa』というアミノ酸系洗浄剤が入っているのが特徴。どんな髪質にも合います」

【成分】★★★★
【使い心地】★★★★
【仕上がり】★★★★
【コスパ】★★★★★

3位 THE PUBLIC ORGANIC(スーパーシャイニー)
/カラーズ 480ml(1738円)

 髪のまとまりが欲しい人におすすめ。

3位THEPUBLICORGANIC(スーパーシャイニー)/カラーズ 480ml(1738円)(撮影/伊藤和幸) ※画像をクリックするとAmazonの商品ページにジャンプします。

「アミノ酸系の洗浄剤が複数使われています。どれも低刺激なので、さっぱりとした使用感が心地よいです。仕上がりもまとまりがありますが、泡立ちはあまりよくないと感じるかもしれません」

【成分】★★★★★
【使い心地】★★★★
【仕上がり】★★★★★
【コスパ】★★

4位 BOTANIST ROOTH(ストレート)/I-ne 490ml(1760円)

 うねりが気になる加齢ヘアにも最適。

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「メインの洗浄成分『ココイルメチルタウリンNa』の特徴で、低刺激なのに適度な洗浄力が発揮されています。“地肌もケアできる”という、POPのキャッチコピーに偽りなしです」

【成分】★★★★★
【使い心地】★★★★
【仕上がり】★★★★
【コスパ】★★★

5位 ARGELAN(モイストグロー)/カラーズ 480ml(1705円)

 本格オーガニックなのにお手頃価格。

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「刺激性&洗浄力がマイルドで、髪を内側からも外側からも補修してくれる成分が入っています。ダメージが気になる人、髪の毛が乾燥しがちな人におすすめのシャンプーです」

【成分】★★★★★
【使い心地】★★★★
【仕上がり】★★★★
【コスパ】★★★

ランキング6〜8位

 使う人によっては注意が必要!

6位 LUX ルミニーク ボタニカルリペアシャンプー
/ユニリーバ・ジャパン 450ml(880円)

 一応ボタニカル系のエキスは配合してるけど……。

6位LUXルミニークボタニカルリペアシャンプー/ユニリーバ・ジャパン 450ml(880円)(撮影/伊藤和幸)

「洗浄力の強い『ラウレス硫酸Na』という界面活性剤配合で、やさしいシャンプーとは言いがたい。コンディショニング成分がしっかりしているので総合的な質はそこそこですが、敏感肌の人は注意」

【成分】★
【使い心地】★★★★
【仕上がり】★★★
【コスパ】★★★★★

7位 無添加シャンプー(さらさら)/牛乳石鹸共進社 500ml(877円)

 整髪料や皮脂を落としきれない懸念も。

7位無添加シャンプー(さらさら)/牛乳石鹸共進社 500ml(877円)(撮影/伊藤和幸) ※画像をクリックするとAmazonの商品ページにジャンプします。

「コスパが最強です! 防腐剤フリーで安心感がありますが、腐りやすいというリスクもあります。成分がシンプルすぎるので、カラーなどでダメージがある髪のリカバーには不向き」

【成分】★★★★
【使い心地】★★
【仕上がり】★★
【コスパ】★★★★★

8位 スカルプDボーテ ナチュラスター/アンファー 350ml(1986円)

 スカルプ系特有の殺菌成分の刺激が難点。

8位スカルプDボーテナチュラスター/アンファー 350ml(1986円)(撮影/伊藤和幸) ※画像をクリックするとAmazonの商品ページにジャンプします。

「育毛ブランドだけあり、高機能な成分を複数配合していますがコスパが残念。殺菌成分が入っているので敏感肌の人は肌荒れでフケが出たり、かゆみを感じたりする可能性も」

【成分】★★★★
【使い心地】★★★★
【仕上がり】★★★★
【コスパ】★

残念!選外の2本

「ハチミツは髪によい効果はないですよ」

THERATIS by mixim(ナイトリペアシャンプー)
/ViCREA 435ml(1540円)

 やさしいというより洗浄力が物足りない。

THERATIS by mixim(ナイトリペアシャンプー)/ViCREA 435ml(1540円)(撮影/伊藤和幸) ※画像をクリックするとAmazonの商品ページにジャンプします。

「洗浄力が弱すぎるあまり、“やさしい”というより“弱々しい”感じがします。頭皮のベタつきが気になる人、スタイリング剤をしっかり使う人には不向き」

&honey(シルキー)/ViCREA 440ml(1540円)

 しっとりはするけど頭皮への刺激が強め。

&honey(シルキー)/ViCREA 440ml(1540円)(撮影/伊藤和幸) ※画像をクリックするとAmazonの商品ページにジャンプします。

「保湿力を重視した結果、バランスをとるために刺激が強い界面活性剤を使っていて、頭皮への負担が結構気になります。美容師から見れば、『ハチミツ=高保湿な成分』ではありません」

米村敦貴さん●原宿のヘアサロン・Curaのスタイリスト。YouTubeチャンネル「美容師の夜」では、プロ目線での商品レビューや、ヘアケアに役立つ情報を発信している。
教えてくれたのは……米村敦貴さん●原宿のヘアサロン・Curaのスタイリスト。YouTubeチャンネル「美容師の夜」では、プロ目線での商品レビューや、ヘアケアに役立つ情報を発信している。
取材・文/山中千絵(清談社) 撮影/伊藤和幸
※価格は編集部調べ。
※ランキングは成分・使い心地・仕上がり・コスパの星評価に加え、米村さんの判定で決定。