41年の歴史を持つ人気番組『タモリ倶楽部』が3月31日深夜の放送を持って終了する。
タモリ倶楽部と聞いて連想するものは何だろうか? 多くの人が“オープニングと空耳アワー”と答えるだろう。空耳アワーでのイラストレーター・安斎肇とタモリのチルいやりとりを見られなくなるのは寂しい。
だが、あれだけの名コーナー、きっといつか特番などでよみがえるだろう。本当に悲しいのは、毎週金曜の深夜にオープニング曲『ショート・ショーツ』とともに流れたお尻映像が見られなくなることだ。
ハイサワーが全国区となった“倉庫飲み”
かつては深履きパンツからTバック、ノーパンまで――。ちょっぴりおバカな曲に合わせて振られた、いくつものお尻。41年間、多くの人に元気と癒しを与えたであろうお尻だ。2016年には、お尻好きを公言する斉藤和義と星野源が審査員として『お尻オーディション』に参加したことも話題になった。
あの映像によく似たお尻がある。関東地方の居酒屋で多く見られるお尻の広告。それが『ハイサワー』のポスター、カレンダーである。
「わ・る・な・ら・ハイサワー♪」のCMで有名な割り材、ハイサワーの博水社が手掛ける広告だが、そもそもタモリ倶楽部にインスパイアされたものだという。これらもやはり、タモリ倶楽部の消滅とともになくなってしまうのではないか……!? 焦燥心にかられた取材班は、ただちに取材を決行した――。
「タモリ倶楽部が終わっても、ハイサワーのクールなお尻広告はなくなりません!」
直撃に答えてくれたのは博水社3代目社長・田中秀子さんだ。自ら“割り材ね―さん”を名乗る田中さんは20年ほど前、自社倉庫を利用した『ハイサワー倉庫飲み』を企画したアイデアマンである。
地域の人やお酒関係者を招いての“倉庫飲み”は2009年、タモリ倶楽部のロケで取材された。倉庫飲みの様子はテレビで放映され、それがもとでハイサワーの名称は全国区になったという。
「タモリさん、ガダルカナル・タカさん、井筒監督、真鍋かおりさんが倉庫飲みに来てくださいました。めいめい好きなお酒をハイサワーで割っていただいたのですが、真鍋さんが“泡盛にも合いそう♪”と言ってくださって。そしたら次の日すぐに、沖縄の大手スーパーから大量の受注があったんですよ」(前出・田中社長、以下同)
今まで沖縄ではハイサワーは売れていなかった。一般的に甲類焼酎で割ることが多いハイサワーだったが、その売り上げもやはり甲類焼酎にならって“西低東高”型――つまり関西より関東で売れている状況だった。
「沖縄でハイサワーはほぼ無名だったのに、テレビに出てすぐ大量オーダー。テレビってすごい、タモリさんすごいって感動しました(笑)」
社長自ら“美尻の持ち主”をスカウト
タモリの所属事務所は所在地が目黒区。博水社の本社も目黒区だ。近隣企業同士の付き合いがはじまり、お礼の意味を込めて作ったのが件のお尻ポスターだった。
「それをお世話になっている近所の飲食店に配り始めると、貼ったそばから盗まれる大人気ポスターになったんです」
好評を受け、2010年からはカレンダーとして本格的に飲食店に配りはじめた。すると飲食店の客から“どうしてもほしい。どこで買えるのか”と問い合わせが殺到。
「それで2011年からは一般のお客さまでも買えるよう、通販がスタートしました。男性からはもちろん、若い女性からも、すごく人気があったんですよね」
いまでこそお尻は注目パーツであり、ヨガやジムで美尻育成をうたうコースなどもあるが、当時そこに着目する企業は少なかった。そんななか、博水社は社内に女子だけで構成した『美尻グッズ部』を設立。毎年のカレンダー撮影には、社長自ら“美尻の持ち主”をスカウトに出向くという気持ちの入れようだった。
「スポーツジムで日々鍛えている女性を紹介してもらって、そのお尻を見に行ったり……(笑)。カレンダーの撮影では部内の女子全員で水着やアクセ、つける小物なども用意しているんですよ」
社長の愛とこだわりが詰まった美尻カレンダーは大好評。現在ではカレンダーはもちろん、タンブラー、タオル、スマホスタンドなどさまざまな美尻グッズが通販で購入できる。一番人気の商品は?
「やはりカレンダーですね。毎年、夏くらいから予約のお電話などをいただく人気商品になりました」
高名なデザイナーから“秀逸なデザイン。シンプルでいい”とお褒めの言葉をもらったことも。グッズが出るたびにタモリの所属事務所にプレゼントするなど、今でも交流は続いている。
「可愛くてカッコイイお尻はみんなの憧れ。鍛えぬいた“ハイサワーガール”たちのお尻で元気をもらったり、癒されたりしてください!」
タモリ倶楽部が終わる今こそ、ハイサワーの美尻たちから日々の活力を分けてもらおう!