芸術系国立大学の最高峰・東京藝術大学学内のアートギャラリー「藝大アートプラザ」が3月28日、公式サイトで、業務委託中のスタッフが個人のTwitterアカウントに≪非常に不適切な投稿≫を行ったとして、契約を解除したと報告した。
このスタッフ・Aさんは同26日、乃木坂46・池田瑛紗(いけだ・てれさ)が同大学に合格したというネットニュースを引用リツイートし、≪職権をついに濫用する時が来ました≫と投稿しており、SNS上でセクハラやアカハラに該当するのではないかと物議を醸していたが、これを問題視した大学側が、今回の処分を下したものとみられる。Aさんは過去に、セクハラに関する持論を個人のTwitterで投稿していたが、「ハラスメントに対する意識が著しく低い内容だった」(芸能記者)という。
「わずか2日」で契約解除
池田は同26日、公式ブログで、2浪の末≪学生の頃から恋焦がれ、何度も挑戦し続けた場所≫という東京藝大の合格を発表。≪今後は乃木坂46の活動と大学の生活を両立出来るように頑張りたいと思います≫と決意表明していた。
「池田さんは浪人中に乃木坂46の5期生オーディションを受け、見事合格。アイドル活動と並行して受験勉強に励み、今年ついに東京藝大の合格も手にしたのです。4月の入学を前に、期待と不安に胸を膨らませていることでしょうが、そんな中、同大学施設のスタッフから“職権乱用”宣言が飛び出したとあって、本人も困惑していると思います」(前・同)
Aさんは、問題のツイートをすぐさま削除し、その後、≪先ほどのツイートで誤解を招きそうな表現がありましたので削除しました≫と投稿していたが……。
「それでも炎上は収まらず、投稿のスクリーンショットがSNS上で拡散される事態に。藝大アートプラザもこの騒動をすぐさま把握したようで、28日には≪当該スタッフには以後このようなことがないよう厳重に注意するとともに、学生、および、卒業生の方々に接触する可能性がある職分を解除しました≫と報告。
あわせて≪この投稿に関してまずは投稿の対象となった方に深くお詫びするとともに、東京藝術大学に在籍する方々、これから入学する方々、大学関係者の方々、発言に関して恐怖や憤り、悲しみや辛さを感じた方々に対して、謹んでお詫び申し上げます≫と謝罪しました。問題の投稿があってから、わずか2日で契約解除という藝大アートプラザ側の迅速な対応には、SNS上で称賛の声が上がっています」(同・前)
「セクハラもまた偉大な文化」
東京藝大といえば今年1月、ニュースサイト「文春オンライン」に掲載された弁護士ドットムニュース記者・猪谷千香氏の新刊『ギャラリーストーカー 美術業界を蝕む女性差別と性被害』(中央公論社)の抜粋記事が話題を呼んだ。
「本書は≪美術業界で権力を握る美術家やキュレーター、学芸員による、女性作家に対する壮絶なセクハラや性暴力の実態≫を明らかにしたもの。記事内では、東京藝大の美術学部彫刻科に入学した女性が、新歓で新入生たちは、セクシャルな一発芸をしなければいけなかったという体験談を語っていました。
≪女子学生はレオタードやスクール水着など、できるだけ身体が露出するような衣装を身につけたり、亀甲縛りをした女子学生もいました≫というショッキングなエピソードは、多くの人に衝撃を与えたものです。同記事が注目を集めたこともあって、Aさんの“職権乱用”ツイートがより物議を醸したのかもしれません」(ウェブメディア編集者)
そんなAさんは、過去に個人のTwitterでセクハラに関する持論を展開。その内容が、「かなり問題含み」(同・前)なのだという。
例えば2019年7月、音楽グループ「レペゼン地球(現・Repezen Foxx)」のDJ社長が、自身の経営するLife group所属の女性タレント・ジャスミンゆまから、セクハラ・パワハラ被害を告発され、謝罪を行ったのち、すべてが「炎上商法」と明かした一件について、Aさんは、
≪セクハラもまた偉大な文化であった。初夜権など、それがあるからこそ生まれる文化がかつてあった。シェークスピアはまさに、それな案件。しかし優れた文化が生まれるからといってそのまま肯定されるかは話が別である。タバコやアルコール同様、セクハラも好きな人だけで楽しむ嗜好になりつつある。≫
と投稿していた。
「ぷりっぷりの女子中学生たちと絡んでいる」
「セクハラを肯定することは否定しつつも、≪セクハラもまた偉大な文化≫≪セクハラも好きな人だけで楽しむ嗜好≫という発言からは、Aさんがセクハラ問題を軽視していることが伝わってきます。実際に被害に遭ったことがある人にとっては、とても受け入れられないものでしょう」(同・前)
またAさんは、2019年3月にも、≪炎上を怖がって発言しないのではなく、謝ったらすぐに間違いを認め、新しく出発すればいい。セクハラを怖がるな。セクハラを学べ。≫と投稿していた。
「これも、セクハラ発言をして炎上しても謝って間違いを認めればいい……というふうに読めてしまいます。≪セクハラを怖がるな。セクハラを学べ。≫という発言には、やはり被害者の存在がまったく見えていないように感じますし、ハラスメントに対する意識の低さが、件の“職権乱用”ツイートにつながったのではと思えてなりません。
なお10年前に遡ると、Aさんはおそらく教育実習中に、≪普段から、ぴっちぴちの女子大生と関わっていたから俺、結構若いぜ、へへ、みたいな感覚でいたけど、やっぱり上には上がいて、今ではぷりっぷりの女子中学生たちと絡んでいるから、心(思考回路)も身体もぷりっぷりな厨二病使用になってるなうなう。≫といったウケ狙いでは済まされないような投稿も行っています。過去のSNS投稿が掘り起こされると、さらなる炎上を巻き起こしそうです」(同・前)
1人のスタッフにより、東京藝大全体のイメージまで下げてしまいかねない事態だが、昨年12月、現役学生と卒業生が、学内で性暴力やハラスメント被害に遭った人をサポートする団体「V.W.」を設立。学内にハラスメント問題に取り組む動きがあるのも事実だ。東京藝大がハラスメントのないクリーンな大学に生まれ変わることを祈りたい。