最近は、再婚を希望する人の多くが、結婚相談所を訪ねてきます。結婚に失敗をしても、また再婚するために婚活するのは、“相手選びは間違えたけれど、結婚という制度はいいものだ”と思っているからではないでしょうか?
仲人をしながら婚活現場に関わる筆者が目の当たりにしている婚活事情を、さまざまなテーマ別に考えていく連載。今回は、再婚希望者2名に聞いた、“何が離婚の原因になったのか”。婚活中の人は、“こういうパートナーを選んではいけない”という参考にしてください。
神経質で心配性。冗談が通じない男性
ちえみさん(35歳)は、息子が小学校に入る前に、離婚をしました。再婚を希望されて面談に来られたのですが、離婚原因がなんだったのかを聞いてみました。
「元夫は、とにかく神経質で心配性。冗談が通じない人でした。私が笑い話になるなと思って話したことが彼には笑えない。笑うどころか、いきなりキレ出すんです」
こんなことがありました。
「私が自転車で保育園に息子をお迎えに行く途中、おやつのウエハースを買って行ったんですね。保育園の前に自転車を停めて、コンビニの袋を自転車のハンドルにかけたまま、園の中に迎えに行きました。息子に、『今日はおやつを買ってきたから、帰ったら一緒に食べようね』と言ったら、大喜び。2人で自転車のところに向かおうとしたら、カラスが飛んできて、袋の中のウエハースをくちばしで挟んで持っていってしまった」
息子さんは、楽しみにしていたおやつをカラスに横取りされて、その場で大泣き。ちえみさんは、その光景がなんだかギャグ漫画のようで、大笑いしてしまったと言います。そして、その夜、帰宅した元夫に笑いながらそのときの話をしました。すると元夫は、険しい顔つきになり、声を荒げて怒り出したのです。
「自転車のところにお菓子を置きっぱなしにするなんて、非常識にも程がある。世の中にはどんな悪いやつがいるかのわからないのだから、そこに毒物を入れられたり、針を埋め込まれたりしたら、子どもの命に関わる大惨事になるぞ」
以前起きたの毒入りカレーやコンビニのパンに針を刺した男の事件のことを、わが身に置き換えていたようでした。
「そんなこと、自分の身には起こるはずもないと思っている私がおおらかすぎるのかもしれないのですが、そのときの元夫のキレっぷりが尋常じゃなかった。鬼の形相になって、1時間くらい怒鳴り散らしていました」
次はおおらかな人がいい
そのほかにも、窓のカーテンが2〜3センチ空いていると、「外から覗かれる」と、シャッと閉める。ちえみさんが、窓や玄関の鍵をかけ忘れると、「防犯管理が甘い」とこれまた1時間近い説教をする。
「鈍感な私と暮らしていれば、その神経質な性格もいつかは和らぐかと思っていましたが、人の性格って変わらないんですね。私の収入も家計には必要な財源だったので、昼間は会社でハードワーク、帰ってきたら息子の世話や家事でヘトヘトの日々。それなのに細かいことばかりを指摘されたり、キレられたりして、結婚生活が段々と息苦しくなっていきました」
そして、息子さんが小学校に上がる前に、離婚を決意したといいます。
「息子にとっても、そこが環境を変えるチャンスだと思いました」
結婚していた土地を離れて、実家の近くにアパートをかり、息子さんもそこから通える小学校に入学の手続きをしました。息子さんに何かあったときも、近くに両親がいたらサポートしてもらえると思ったからです。
そして、新しい生活にも慣れたので、再婚に向けての婚活を始めることにしました。
「息子が小学校低学年のうちに、再婚しようと思っています。思春期に入ったら、難しい年頃になるから、ここ2、3年が勝負。次の結婚はおおらかな人を選びたいです」
アザはできなかったけれど立派なDV
ゆうみさん(35歳、仮名)は、マッチングアプリで知り合ったよしたかさん(36歳、仮名)と、6か月の交際の末に婚約、その2か月後に入籍をしました。
入籍後に一緒に暮らしてみると、付き合っていたときには気づかなかったよしたかさんの性格が見えてくるようになりました。
結局、10か月で離婚に至ったのです。
「実質一緒に暮らしていたのは、半年でした。まずは別居をして、その後の4か月は離婚する、しないでモメていました」
何が原因だったのでしょうか?
「夫婦ゲンカは、どんな夫婦でもしていると思うんです。ただ、喧嘩したときの彼の怒り方に異常性を感じたんです」
結婚して1週間経ったころ、ゆうみさんが夕食後に食器の洗い物をしていたとき、手を滑らせて、よしたかさんのご飯茶碗を割ってしまいました。それは、彼の幼なじみが、「結婚のお祝いに」と送ってくれた夫婦茶碗でした。
「ごめんなさい。河野さん(仮名)にいただいた、夫婦茶碗のよっちゃんの方、手が滑って割ってしまったの」と謝ると、よしたかさんは、「なんてことをしてくれたんだ」と、ゆうみさんを睨みつけ、その後は無言でお風呂場にいきました。
お風呂に入ったようなのですが、お風呂場から桶を床に叩きつける音が何度か聞こえてきました。物にあたって怒りを発散させているようでした。ゆうみさんは、怖かったのと、今ここで何かを言ったら、よしたかさんの怒りが増幅すると思い、無視をしていました。
そして、お風呂から出てくると、髪を乾かすドライヤーの音が聞こえ、その後は、ゆうみさんを無視して寝てしまったというのです。
ゆうみさんは嫌な気持ちになりましたが、「今夜は何も言わずに、明日話そう」と自分に言い聞かせました。
そして、洗い物を終えてからゆうみさんがお風呂に入ろうと洗面所に行くと、ゆうみさんの歯ブラシとヘアブラシが、ゴミ箱に捨てられているのを見つけました。何かの拍子に誤って落ちたのかとも思いましたが、2つがゴミ箱にうまく入るはずもなく、よしたかさんが故意に捨てたのは明らかなことでした。
茶碗を割ったから、仕返し? そう思うと背筋がゾッとしました。
寝室に行くとよしたかさんは、寝息を立てていたので、翌朝歯ブラシとヘアブラシのことを聞いてみました。すると、よしたかさんは悪びれる様子もなく、こう言ったのです。
「僕の友達からもらった大事なご飯茶碗を割ったんだから、おあいこでしょう? というか拾って洗えば、まだ使えるでしょう」
その言葉に、またゾッとしました。
妻の顔にビールをかける夫
その週末に、よしたかさんの大学時代の友人、江森さん(仮名)が、家に遊びに来ました。ゆうみさんは、お昼ごはん用意し、手料理作りとお酒を振る舞ってもてなしました。3人で食事をしながら、ゆうみさんはその場を盛り上げようと江森さんにいろいろ話題を振ったのですが、的外れな答えばかり返してくるので、話が噛み合いませんでした。
そしてその夜、2人で夕食を食べているときに、ゆうみさんがよしたかさんに言いました。
「江森さんって、ちょっと変わった人だったね」
すると、よしたかさは、飲んでいたコップのビールをゆうみさんの顔にめがけてひっかけたのです。ゆうみさんは、何が起こったのか、わかりませんでした。あまりのショックに、顔にかかったビールをタオルで拭いた後、その日は家を出て、ホテルに泊まったといいます。
「なんでこんなことで? と思うようなところで怒るんです。そして、怒りの表し方に異常性を感じました。彼は、決して私のことを殴ったりはしないから、痛い思いをしたり、身体にあざができたりすることはないんです。ただ身体が傷つかなくても心が傷つく。これって、立派なDVだとも思ったんですね」
“一緒に暮らしてみないと、本来の人間性はわからない”。それが最初の結婚で学んだことでした。
「再婚するときには、まずは一緒に暮らしてみて、そこから入籍をしようと思います」
結婚を考える相手にチェックすべきこと
結婚相談所には、仮交際と真剣交際の区分があります。仮交際は、お見合いを終えて入る交際で、 “人柄を見る”期間なので、何人と仮交際をしていてもいいですし、新しいお見合いもできます。そして、“この人となら、結婚に向かいたい”という方が現れたら、“真剣交際”に入ります。
真剣交際は、1対1で向き合い、結婚に向かっていく交際なので、ほかに仮交際している方がいたらお断りをしますし、新しいお見合いもできなくなります。
真剣交際に入ったら、結婚後はどこに住むか、お互いの仕事はどうするか、1か月の家計費や貯金額などのお金の話、親が老いたときにどうするかなど、結婚に向けてのすり合わせをしていきます。
そこからプロポーズを経て婚約したら、親への挨拶や職場、友達への結婚報告とともに、結婚式や新婚旅行の計画を立てるようになります。
やるべきことが目の前にたくさんあるので、そちらに目がいきがちですが、いちばん目を向けないといけないのは、パートナーになるお相手の性格だと思います。怒りやすかったり、ネガティブ思考だったり、自分では物事が決められない他力本願だったり……。
“この人と結婚して大丈夫かな”という気持ちが芽生えたとしたら、どうするか。
“もう決まってしまったことだから引き戻すことはできない”と、前に進んでいくのではなく、そこはじっくりと考えて、ときには辞めることも大切です。
鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。新刊『100日で結婚』(星海社)好評発売中。公式サイト『最短結婚ナビ』 YouTube『仲人はミタチャンネル』