今大会では4年ぶりに声出し応援が解禁された

 山梨学院高等学校の初優勝で幕を閉じた第95回選抜高校野球大会。高校球児たちが熱戦を繰り広げる中、グラウンド外の風物詩に以前と変わった景色が見られた。

「近年、高校生チアリーダーへの盗撮が問題になっていますが、ベスト8で敗退した千葉県代表・専修大学松戸高等学校は、盗撮対策のため、スカートにかえて選手のユニフォームを模したパンツスタイルをチアリーダーに採用しました。ネットでは“爽やかで選手と一体感があっていい”と評判でしたが、それでも彼女たちを性の対象としてとらえる“ファン”は絶えません」(同・スポーツ誌記者)

 この問題について、中学から大学にかけて約10年間チアリーディング部に所属していた女性に話を聞いた。

「高校、大学関係なく、野球観戦を目的にしているというよりも、推しのチアリーダーを見つけて“会いに行けるアイドル”感覚で球場に来ている方も多くいました。純粋に野球やチアを応援してくださっている方との線引きをしにくくて対策がかなり難しいんです」

 不適切なファン同士の交流場所となっているのがSNSやウェブサイトだ。

『5ちゃんねる』に作られた悪質なスレッド

「掲示板サイト『5ちゃんねる』では“チアリーディングを観る会”といった、専用のスレッドが作られ、試合が行われるたびに《ムチムチ感がたまらん》《舐めまわしたい》といったコメントがあふれています。そういう目線から、実際に自分の学校名やチアユニフォームの背番号を名指しされていると本当に気持ち悪くて……」(前出・チアリーダー、以下同)

 ネット上では、彼女たちのスカートの中などを盗撮した動画がアップされているサイトも見られる。

「野球場でのチアリーダーの盗撮は、現行犯で逮捕することが難しいんです。反対側の応援席から望遠レンズを使って、足をあげる瞬間をズームで撮影していたりもするので、正直全く気づきません」

 これらの問題を受けて学校側は“撮影禁止”のプラカードを掲げたり、衣装を露出の少ないものに変えるといった対策を講じている。

「たしかに、ズボンのユニフォームの着用やスカートの下にレギンスを履くことによって“私たちは気をつけている”というポーズを取ることはできます。ただ“パンツスタイルが逆に萌える”“タイツはタイツでむほほ”といったコメントはなくなりません」

 盗撮被害が取り上げられることが多いが、それ以外の問題も深刻だという。

ハイタッチに乗じてセクハラ発言も

「観客からのハイタッチに応じると、そのまま数秒間手を離してくれなかったり“大好きだよ”“会えて嬉しいよ”と声をかけられることもありました。それがエスカレートして“あの人とばっかり喋っていてずるい。もう来ないから”と、まるでアイドルに会いにきたかのような人も目立つように。連絡先をしつこく聞かれたり、自分とチアガールの相合傘や“付き合ってください”と書かれたボールを手渡される部員も続出していました。嫌だなと思っても、応援ムードを盛り下げないように、ハイタッチや肩組みを断れない子も多いんです」

“常に笑顔で愛想よく”と教え込まれている彼女たちの、観客に快く楽しんでもらうための対応が、こうした勘違いを引き起こす原因にもなっているようだ。

「高校生のチアは、盗撮対策のノウハウが整っていない印象です。応援に特化しているというより、ダンス部の延長上でやっていたりと、不特定多数の人から近くで見られるということにまだ慣れていない。学校側が生徒たちを守るための対策を徹底していくとともに、こういう問題を報道して当事者たちの意識を少しでも変えていくことが解決に繋がると思います」

 チアリーダーたちを不埒な目的でチアする輩たちには猛省を促したい。


 
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