平沼菜穂子容疑者(SNSより)

「院長が医療業務以外で麻薬を違法に所持している」

 関係者からの情報提供が闇を暴くきっかけとなった。

 神奈川県警薬物銃器対策課と同県警中原署、関東信越厚生局麻薬取締部横浜分室が3月22日、麻薬取締法違反(所持)の疑いで逮捕したのは同県川崎市中原区の『武蔵小杉平沼クリニック』院長で内科医・平沼菜穂子容疑者(51)。

 昨年12月3日午後4時20分ごろ、クリニックの外で医療用麻薬『ペチジン』が含まれた液体約6・6ミリリットルを所持したとされる。

医療用麻薬『ペチジン』を病院外に持ち出した

「昨秋の情報提供をもとに内偵を進め、帰宅するためクリニックを出た平沼容疑者のバッグを確認。容器に入れたペチジンを含む液体が出てきた。病院外に持ち出すことは原則禁じられている」(全国紙社会部記者)

 ペチジンは内視鏡検査で痛みが強いとき、麻酔を補助する鎮痛剤などとして使われる。

 問題は医療目的以外の乱用だ。厚労省麻薬対策課がまとめた『薬物乱用の現状と対策』などによると、MDMAやLSDと同じ合成麻薬に該当する。多幸感などが得られるとされ、医師であっても麻薬施用者免許がなければ患者に処方できない。免許は最大3年の更新制で、業務所内に固定した堅固な保管設備にカギをかけて管理する必要がある。スチール製のロッカーや事務机の引き出しでは認められず、“麻薬金庫”と呼ばれるほど厳重な管理が求められる。

麻薬を扱える内視鏡検査のプロだった(クリニックのホームページより)

 平沼容疑者は聖マリアンナ医科大卒。専門は消化器内科で'18年に同クリニックを開業した。内視鏡検査約2万件とする臨床実績を謳う。

 クリニックのホームページでは、

《鎮静剤を用い、できる限り苦痛の少ない内視鏡検査を実施しています。イメージとしては寝ている間に検査が終わる、という感じでしょうか》

 とペチジンを巧みに扱うかのように検査手腕をアピールしていた。

「捜査当局は容疑者宅からもペチジンとみられるブツを押収しており鑑定中。捜査に支障をきたすとして容疑者の認否や尿鑑定の結果は明らかにしていないが、私的に使う目的があったとみて調べている」(前出・記者)

医者の夫とタワマン暮らし、趣味は欧州旅行

 7年前に同業の夫と結婚し、クリニックに近いタワマンで暮らす。自己紹介では、欧州旅行やクラシック音楽鑑賞などを趣味に挙げている。

「気さくで身ぎれいにしていて親切な先生です。清潔感のある院内にはプラセンタやにんにく注射などをすすめるポスターが貼られ、女性患者のニーズを把握してアンチエイジングに力を入れていました」

 と50代の女性患者。

 近隣に大規模病院や個人病院が林立するなか、《気軽に相談のできるかかりつけ医でありたい》と地域医療を支える覚悟を示していた。

 60代の女性患者は、

「古い住民はとっくにかかりつけ医を持っている地域だから新規患者の獲得は大変だったはず」と気苦労を察する。

『コード・ブルー』に憧れて…

 新型コロナウイルスの感染者増で医療従事者の負担が大きかったころ、同クリニックはあえて発熱外来を受け付けていたという。

「院外の通路で完全防護スタイルで検査をしてもらいました。麻薬所持といっても、妙にテンションが高いような違和感はなかったし、話が噛み合わないこともなかった」(50代の男性患者)

 好きな言葉は《努力に勝る才能なし》。好きな映画は人気テレビドラマの劇場版『コード・ブルー』。山下智久ら若き救命救急医らが奮闘するドラマに触発され、無理をする部分があったのか。つらさから逃れるため麻薬を持ち出したのなら、本末転倒だ。

海外旅行を楽しむ平沼容疑者。隣には夫の姿も(SNSより)

 

麻薬を扱える内視鏡検査のプロだった(クリニックのホームページより)

 

海外旅行を楽しむ平沼容疑者(SNSより)

 

平沼菜穂子容疑者(SNSより)