いじめを受けた被害者

 

 4月1日、少子化対策や子育て支援など、子どもを取り巻く課題に取り組むことを目的とした『こども家庭庁』が発足した。2021年度には、小中高等学校における認知件数が過去最大となった“いじめ”は、喫緊の課題として対策がなされていくとのこと。

 ニュースで報じられる凄惨ないじめの実態や、学校側の対応が問題視されるなか、愛知県にある名古屋市立『A中学校』もいじめ問題に揺れている。

「お前がいるから大会で勝てない」

「ひとりの生徒の親が、同級生からのいじめを告発したんです。日常的に殴られたり、タックルをされたりしていたようで、なかには“ナイフで殺すと脅された”という衝撃的な内容もありました。学校側が対応することで解決……とはならず、事態は泥沼化しています」(地元紙記者)

 いったいどういうことか。

「学校側が適切な再発防止策を取らなかったようです。担任から“いじめは解決した”という連絡を受けた被害者の両親は、後日、加害者側の両親と生徒による自宅訪問を受け入れたのですが、加害生徒は“俺にとって殺すなんて言葉は日常”と啖呵を切り、謝罪どころか“俺のほうがいじめの被害者だ”と主張。その両親も納得の表情で聞き入っていたそうで、被害者側の両親は唖然としたようです」(同・地元紙記者、以下同)

 いじめに関する情報共有や、加害者側への指導が適切でなかったため、このような事態になってしまったのか。「解決した」とはとても言い難い状況だが、この『A中学校』が抱える問題はそれだけではないという。

「昨年まで吹奏楽部の顧問をしていた教師が、4人の生徒を不登校にしたと言われているんです。この教師は、生徒に対して日常的に暴言や陰湿な嫌がらせをしており、“お前がいるから大会で勝てない”などと吐き捨てたこともあったとか。生徒たちの親からも苦情が寄せられ、校長とともに今年度からは別の中学に異動となりました」

 さらに、こうした教育上の不手際だけでなく“お金”に関する疑惑もある。

校長「保護者の方が…」

「PTAの決算報告書を読んで、『繰越金』の金額について疑問をもった親が学校に追及したところ、校長から“上納金としてPTA協議会などに年30万円程度振り込んでいる”との説明があったそうです。しかし、この親が直接、PTA協議会に問い合わせたところ“まったく身に覚えがない”と否定された。子どもの教育のために使われるはずのお金が“使途不明”になっているんです」

 積み重なった疑惑に対して真相を尋ねるべく、A中学校の校長を直撃した。

――PTAの繰越金について、使途不明金がある?

「繰越金は、PTA協議会や部活動の登録費等に使うためにお金を残しているだけで、やましいことは何もしていません。管理しているのはPTAの会計さんです」

――いじめについての対応が不適切だという指摘があるが?

「何度も保護者と話し合いをして、対策をしてほしいと言われて解決しましたし、怪我などの重大事案はないと認識している。ふざけ合いで軽く叩いたことはあると加害者から聞いています」

※画像はイメージです

――吹奏楽部の顧問によって生徒4人が不登校になったのか?

「吹奏楽部のことだけではなく、様々な要因で不登校になったので、簡単に原因は突き止められない」

――学校への不満の声が多いのはなぜか?

「なぜですかね……。保護者が学校の指導方針についてうまく擦り寄れなかったんだと思います。信頼関係が築けなかったことは否定できません」

 こども家庭庁は前途多難の船出となりそうだ。