「いい歳して気味悪いことをして、何が楽しいんやろか。そんな男が近所に住んでいたなんて知らんかった。おばちゃん呆れて何も言われへんわ」(嶋津容疑者宅近くに住む70代女性)
大手牛丼チェーン『吉野家』の大阪市住之江区内の店舗で、卓上の紅しょうが共用容器に自分の箸を突っ込んでかきこむようにして食べ、その様子を動画撮影しSNSに投稿した事件が急展開したのは4月4日のこと。
大阪府警住之江署は、店の業務を妨害したなどとしていずれも大阪市西成区に住む自営業・嶋津龍容疑者(35)と同・岡敏秀容疑者(34)を器物損壊と威力業務妨害の疑いで逮捕したと発表した。
「昨年9月29日午前3時すぎの犯行。直箸で紅しょうがを食べたのが嶋津容疑者で、それをスマホで撮影してSNSに投稿したのが岡容疑者。拡散した動画によって店側は犯行店舗を特定し、清潔・安全に紅しょうがを提供するために営業中の店を約2時間45分閉め、清掃、消毒、食品の廃棄・交換などを強いられた」(捜査関係者)
岡容疑者が「おもろいことをやってや」と無茶ぶりすると、嶋津容疑者がいきなり自分の箸で紅しょうがを食べ始めたという。
犯行動機は「みんなを笑かしたかった」
警察の取り調べに対して、両容疑者はいずれも容疑を認めていて、嶋津容疑者は「みんなを笑かしたいなあと考えた」と供述。岡容疑者は「私はめっちゃおもしろくて、みんなに見てほしかったので動画をSNSに上げた」と話している。
「迷惑動画の投稿を見た知人から“これアカンで、たいへんなことやで”と注意され、やばいなと思って動画を削除したと話している」(前出・捜査関係者)
時すでに遅く、動画はネットで拡散。事件と関係のない客が別の店舗に「こんな動画が上がっていますよ」と情報提供して同社の知るところとなり、2月22日に警察に被害届を提出していた。
嶋津容疑者は建築業を営んでおり、築20年以上のオートロック式デザイナーズ賃貸マンションで暮らす。
同じマンションの男性住人は、
「付き合いはない。マンション内で目立つ住民トラブルは発生していないが、そんな幼稚な男とかかわらなくてよかった」
としみじみ。
2010年にプロボクサーのC級ライセンスを取得している。しかし、拳で生きていく覚悟はなかったようで同じ年に所属ジムを去った。
嶋津容疑者は礼儀正しいプロボクサー
「いまはそういう子が多いんです。プロボクサーと名乗りたいだけで、プロテストに合格するとすぐ辞めてしまう。彼(嶋津容疑者)はおとなしくて礼儀正しい人物でした。少なくともイヤなイメージはひとつもありません」(当時の所属ジム指導者)
人材登用に優れた幕末の薩摩藩主・島津斉彬の子孫を名乗る。容疑者の親族もボクシングをしており、プロ戦績がよかった親族はそのルーツを絡めて新聞に取り上げられたこともあるほど。話題性はあったのに容疑者はフェードアウトしてしまった。
「プライベートで交流はなく、ジムを辞めてから会っていないんです。ボクサーの友人から事件を知らされ、なんてバカなことをしたんだとショックです。悪ふざけしたり、人に迷惑をかける子には思えなかった。トレーナーに悪態をついたり、反発することもありませんでしたから」(同・指導者)
一方、岡容疑者は地元の住宅街でバーを経営している。7年前に開店にこぎつけ、昼間は欧風カレーショップ、夜はバーと業態を変え切り盛りしていた。
「髪の毛は金髪とか茶髪で派手だけど、まじめに一生懸命やっていましたよ。前職は介護ヘルパーさんで、そのときの同僚や知り合った方が開業を応援しようと店にちょくちょく来てくれてたみたいです」(近所の女性)
同年輩とみられる妻がいる。開店にあたっては夫婦で近所に挨拶回りし、少し離れた自宅からふたりして自転車で通うなど仲睦まじい様子だったという。テレビ番組の企画でタレント・西川ヘレンさんが来店したこともあった。リピーターを獲得する狙いか、開店当初は来店客への感謝や突っ込みをSNSにマメに綴っていた。しかし……。
岡容疑者は夜中までドンちゃん騒ぎのパリピ
「夜中まで、何人も集まってようドンちゃん騒ぎしとったわ。近所迷惑や。派手な若い客が多く、アルコールが入って店の外に飛び出して叫んだり。ケンカしないだけまだマシやったけど」(近所の男性)
ノリがいいと言うよりも、笑いを欲しがるタイプなのだろう。例えば来店した知人女性の飲みっぷりについて、
《瓶ビール15本空け、泥酔の後、柿ピー両鼻の穴に詰め、外をヒールでダッシュ。見応えのある奴や》
とSNSに投稿。
カレーショップだというのに、
《楽しかったひととき!! この後3人とも下痢になった!! ジャスティン・ビーバー!! 本日の夜も、明日の昼も、明日の夜も遊びに来てくださいね〜!! ジャスティン・ビーバー!!》
と不適切な言葉を交え、妙にテンションをあげる投稿もあった。
近隣住民らによると、ここ最近は昼間のカレータイムをやめ、バー一本に絞って営業していたようだ。
両容疑者は小・中学校時代の同級生。犯行当夜は複数の友人と酒を飲んだ後、ふたりで“シメのラーメン”を食べようとしたが、店が休みだったため“シメの牛丼”に変更したという。
容疑者逮捕について吉野家は、
「捜査いただいた警察関係者へ御礼申し上げます。お客様へ不快・不安な思いをさせ、当社だけでなく外食全体の安全安心が問われる大きなニュースとなったことは誠に遺憾でした。今後このようなことが再び起きないことを切に願っています」と取材に回答。
犯行から逮捕されるまで時間があったため、両容疑者から謝罪の申し出がなかったか尋ねると、
「当社や店舗へ両者から連絡は頂戴しておりません」(吉野家の担当者)
とのことだった。
前出の捜査関係者はこう話す。
「取り調べに対し、両容疑者とも素直に事実を述べている様子はみてとれる。犯行については“懲りとる”ように言っている」
いい大人が何をしているのかーー。