《私の知り合いが「体当たり男」というのに体当たりされて転んで膝のお皿をわる大ケガをしました》
『ツレがうつになりまして。』の作者でイラストレーターの細川貂々さんが4月1日にSNSにそう投稿すると、同じ被害を訴えるリプライが相次いだ。
全国で「体当たり男」が急増している。男たちはその名のとおり、女性に体当たりをすることを目的とし、わざと突進してくるという。2018年ごろからSNS上で、男性が女性にぶつかっている様子が撮られた動画がアップされ、「ぶつかり男」、「体当たり男」などと名前が付けられるようになった。
「2018年にJR新宿駅で女性だけを狙って次々に体当たりしていく男性の姿を捉えた動画がSNS上で拡散され“新宿駅タックル男”と話題になったのが最初です。2019年に逮捕された男は歩きスマホ中の女性に体当たりを繰り返し、ケガを負わせた傷害の疑いで逮捕されました」(社会部記者)
被害者が公開した犯行手口と似顔絵
東京都に住む会社員の川田恵さん(仮名・29歳)は、3月上旬、自身のSNSに男の似顔絵画像とともに被害を投稿した。
《JR飯田橋駅でぶつかり男の被害に遭いました。改札付近で前から突進してきた男に体当たりされ、転んだ拍子に手を踏まれました。突然のことで、男の顔と黒い鞄をもっていたことを確認するのがやっとでした》
川田さんは他にも男が40代から50代に見えたこと、男は改札をくぐらずに東口へ向かったことなどを挙げ、同様の被害を募ったという。川田さんが週刊女性に詳しい被害状況を打ち明ける。
「仕事から帰宅中に被害に遭いました。時間も覚えています。夕方18時20分でした。23分の千葉行きの電車に乗ろうと改札からホームへの上りエスカレーターに急いでいたところ、ぶつかられました。すごい勢いで私のほうに向かってくる男がいたので避けようとしたら体当たりをされたんです。よろけて跪いた形になったらその男は戻ってきて私の手を踏んで去っていきました。そのときにわざとだと確信して男の顔を見たら、血走った目でこちらを振り返り走って逃げていきました」
川田さんは痛む右足を引きずりながら駅員に通報し、警察に被害届も出したが、いまだに犯人は捕まっていない。
「故意ではない」の言い訳は通用しない
「私が被害を投稿したら、同じように被害に遭ったという女性たちからメッセージが数件来ています」
と、明かす。
一方で突然のことで加害者の顔も見られないまま、泣き寝入りしている被害者も多い。また、相手が「故意ではない」と言い張った場合はどうしたらいいのか。
アディーレ法律事務所の長井健一弁護士は、
「故意かどうかは、本人の供述だけでなく客観的な状況や目撃者の証言などを総合的に考量して判断されます。したがって、故意でないと言い張ったから犯罪が成立しないとはなりません。また、うっかりだったとしても相手がケガをすれば、過失傷害罪が成立する可能性があります」
被害に遭ったらどうすればいい?
「被害者がケガをした段階で警察に被害届を出すことは可能です。故意に体当たりしたことが認められれば傷害罪となります。また、被害者や周囲の人間が現行犯逮捕することもできます」
人混みが戻ってきた今、体当たり男も増えている。