「いろいろなダイエットに挫折してきた私ですが、16時間断食で40kgのダイエットに成功しました!」
揚げ物が好物、SNSで話題のダイエッター
そう話すのは、現役の歯科衛生士であり、SNSで話題のダイエッターでもある小堀智未さん(33歳)。子どものころから揚げ物が好物で、小学校高学年には肥満ぎみになり、進学を機に1人暮らしを始めてからは体重増加に拍車がかかったという。
「面倒くさがりなので自炊はほとんどしたことがなくて。専門学校時代から、お昼ごはんはコンビニのお弁当プラス菓子パン。とにかく、お腹がすくのがイヤで。就職してお酒を覚えてからはさらに太って、職場の制服が入らなくなったことも……」
自分が肥満であることを自覚しつつも、太っている自分をイヤだと思ったことはなかった。しかし、日常生活の中では困る場面に多々、遭遇していた。
「かわいい洋服が好きなのに、着たい服はサイズがなくて試着すらできず……。靴や小物で“かわいい”を満足させていましたね。あと、歩くのが大変で、移動は電車やタクシーが基本でした」
コロナ禍でウーバーイーツ漬けの日々
過去にはいくつかのダイエットを試みたこともあった。
「りんごだけを食べるものや、朝起きてすぐに白湯を飲むもの、ジムで水中ウォーキングなどをしてみたことも。でも、全然やせないのですぐにやめちゃいました」
コロナ禍で外食や飲み会がなくなってからは近所のコンビニさえもおっくうになり、宅配の「ウーバーイーツ」漬けの日々に。体重は人生最高の98kgを記録、そこで今度こそ、とダイエットを決意する。
「といっても、『98kg、ヤバイ!』と思ったわけではなくって。飲み会も外食もなくなり夜がヒマになったので、『今ならやせられるかも』って思ったんです」
その方法として選んだのが16時間断食だった。
「以前、行きつけのお店で顔なじみの方から、『16時間断食をすると内臓脂肪が減ってやせられるんだよ』という話を聞いたことがあったんです。ネットでやり方を調べて、『16時間なにも食べないだけなら、できるかも』と思い、『やってみよ!』って」
小堀さんは2020年7月から、朝食と昼食を遅めの時間にとり、夕食をスキップする形で16時間断食をスタート。
「食べない16時間には睡眠も含まれます。なので、思ったほどつらくありませんでした。翌朝、お腹がペタンコになっていたのがうれしくて、続けてみようって」
恋人ができたけどデートでまた太る
16時間断食を始めて2か月後には体重が8kg減った。
「身体を動かすのが前よりもラクになったので、ウォーキングを始めたんです。通勤も徒歩で片道40分歩いてます。帰りは寄り道をして1時間くらい歩くようにしていて、毎日、1万2千歩くらいは歩いているかも。雨の日や歩けなかった日は家でエアロバイクを1時間くらい漕ぐようにしています」
体重が落ちるにつれて、食への意識も変わっていった。
「身体にいい発酵食品をとりたくて、冷蔵庫にはキムチと納豆を常備。朝はそれをおかずに軽めにごはんを食べています。お昼はまとめ買いをしてゆでて冷凍していた鶏むね肉と、ブロッコリーや玄米、ゆで卵などをその日の気分でチョイス。タンパク質を多く、脂質は少なめになるように気をつけています」
以前は毎日のように飲んでいたジュースや炭酸飲料には手を出さなくなった。
「太っていたころは、味がついていない飲み物にお金を払うのがバカらしいと思っていたんです。でもある日、ジュースのカロリーを見て『このカロリーを消費するには2時間ウォーキングが必要』と気づいてしまい(笑)。以来、飲み物はお水かお茶です」
16時間断食を続ける秘訣のひとつは、メリハリだという。
「私の場合、普段の食事にはおいしさよりも、栄養を摂取することをいちばんに意識しています。でも、外食や飲み会のときにはちゃんと食事を楽しんで、次の日からまた16時間断食に戻しています」
とはいうものの、58kgまで落ちた体重が少し増えてしまった時期もあったそう。
「実は、40kgやせてから彼氏ができまして。デートで外食が続いて16時間断食ができない日が増えたんです。でも最近は、『今日は夕ごはんの代わりにウォーキングしよっ!』って、彼と一緒に断食をするようになりました」
40kgの減量に成功したことで、心身共に大きな変化があったという。
「好きな洋服を着られるようになったし、健康診断の数値もよくなりました。何より、40kgやせて身体にいいことを続けられている自分に自信を持てるようになりました」
小堀さんは現在も40kg減の体重をキープ中で、楽しく16時間断食に取り組んでいる。
「16時間断食を始めたとき、友達や同僚、患者さんに『ダイエットします!』と宣言したんです。『頑張って!』と応援してもらったり、やせたねと褒めてもらえることがありがたくて、続けられています。簡単でお金もかからない16時間断食は、私に合っているダイエット方法だと思います」
「16時間断食」の提唱者・青木医師のアドバイス
夜行うのがおすすめ週1日でも効果あり!
ダイエットはもちろん、美容や健康、アンチエイジングの観点からも医学界で注目されている16時間断食。メインのルールは“16時間連続して、なにも食べない時間をつくること”だけ。
「それ以外の8時間は好きなものを食べて構いません。今までと同じような食事を楽しんでOKです」(青木医師、以下同)
なぜ、16時間なにも食べない時間をつくることが身体にいい影響をもたらすのだろう。
「自然に食べすぎを防ぐことができます。また10時間、ものを食べずにいると、身体は脂肪を分解してエネルギー源に変えようとします。さらに16時間に達するとオートファジーという仕組みによって細胞が新しく生まれ変わり、病気や肌のコンディションを改善に向かわせます」
青木先生いわく、16時間断食は週に1回でも効果が期待できるという。
「1日3回食事をすると、内臓はノンストップでフル稼働状態。内臓が疲れて動きが鈍くなると栄養をしっかり吸収できなくなったり、老廃物がきちんと排出されなくなったりします。働きすぎの内臓を休めるためにも、週に1日でも16時間なにも食べない時間をつくってあげることは大切です」
医学博士の青木厚先生
医学博士。自治医科大学附属さいたま医療センター内分泌代謝科などを経て、あおき内科さいたま糖尿病クリニックを開設。著書『「空腹」こそ最強のクスリ』(アスコム)がベストセラーに。
1年で40kgやせた小堀さんの実体験を青木医師の解説とともにわかりやすく紹介。『98キロの私が1年で40キロやせた16時間断食』青木厚・小堀智未著(アスコム)
<取材・文/熊谷あづさ>