春空の下で見つめ合ってロマンチックムード♪(撮影/山田智絵)

 “デブカリ”をご存じだろうか? 体重100キロ以上の人をレンタルできるサービスで、今ジワジワと話題を呼んでいる。「太っている人といっぱいごはんを食べたい」「悩み相談したい」「おいしいお店を教えてほしい」など、ぽっちゃり好きの夢が1時間2000円で現実に! 気になりまくりのこのサービス、実際にレンタルしてみると……?

「今日はよろしくお願いします!」

 この日、ライターのいくまきがレンタルしたのは、「笑う重低音ボイスデブ」がキャッチコピーの“れき”さん。明るい笑顔で第一印象から好感度大!

「食べることが大好きで、夢は食べることで食べていくこと。僕のSNSで紹介するお店はハズレなし。絶対的においしいです」と自己紹介。特にラーメンが好きなんだとか。たしかに太っている。加えて“ちょび髭”なのだが、どこか “さわやか”というワードが似合う。

 まずお願いしたのは、“お姫様抱っこ”。スッと立て膝をついて、「まずはここ(立てているほうの腿)にお座りください」とエスコートをするれきさん。「立ったままでいきなりヒョイっと持ち上げるのは危ないですからね」と思いやりも抜群だ。

お姫様抱っこはスッと立て膝をついてエスコート(撮影/山田智絵)

 韓流ドラマお決まりのキラーコンテンツを難なくこなし、続いてオーダーした“おんぶ”も、立て膝からゆっくり立ち上がる。うーん、ふかふかの背中だ。

「意外に筋肉質なんですよ。体重は138キロですが、鍛えていたので割合的には(脂肪ではなく)筋肉が多めなんです」

 平野紫耀にされる“お姫様抱っこ”や“おんぶ”を想像する、それはそれは至福だろう。でも、彼がペシャンコになっちゃうんじゃないか!?と妄想でもヒヤヒヤしちゃいそう。その点、れきさんのビーズクッション的な背中や腕なら安心感もひとしおだ。

ふかふかの背中は心地よさ満点!(撮影/山田智絵)

「依頼される内容は、“一緒に食べてください”が多いですね。先日は、朝9時に新宿の思い出横丁で、“一緒にたんと飲んで食べてください!”と。おしゃべりしたり、ちょこっとお悩み相談に乗ったり。ストレスもばくばく食べちゃいますよ。

 あとは、YouTuberからのお願いで、フードファイターをやるから一緒に、というのがあったり、アイドルやアニメとのコラボメニューについてくる限定グッズを集めたいから一緒にたくさん食べてほしい、とか。みなさん、ごはんを残すのはイヤだから僕に食べきってほしいみたいです」

 おいしそうにたくさん食べている姿を見るのは、みんな楽しいのだ。帰り際、その得意分野へGO。1キロのチャーハンをあっという間に食べた彼は、とってもうれしそう。思わず、“可愛い!”と感じてしまった自分。新鮮なひとときでした♪

テーブルいっぱいの料理にニコニコ!(撮影/山田智絵)

“デブ”がポジティブワードになったら最高にうれしい

 この斬新なサービスを始めたのは、株式会社Mr.Blissのマイコー社長。もともとは広告のデザイナーだったが、'16年3月、40歳で大きいサイズ専門のメンズ服オンラインショップ「QZILLA by Mr.Bliss」を立ち上げ、'21年4月に「デブカリ」を開始した。

株式会社Mr.Blissのマイコー社長

「もともと僕自身が、デブに対してめちゃくちゃ愛情があるんです。ニコニコ食べている姿を見ていると、こっちも幸せになるんですよね。キーホルダーにしたいくらい好き(笑)。

 アニメやドラマには必ずと言っていいほどデブの人が1人は出てくるじゃないですか。それくらい重要だけど、実際にはなかなか活躍できる場面が少ない。そういう場を作りたいなと思って、デブカリを立ち上げました。

 “デブ”って、今は悪口とかネガティブな言葉ですけど、実はひとつの個性。ポジティブワードとしてみんなが使うようになったら、最高にうれしいですね」

 登録者は現在、日本全国で約150人。一緒に食事をしたいという依頼が多いそうだが、なぜなのだろう?

「おいしいお店を知っているからというのもあるでしょうし、周りに大食いの人がいないので気を使わずにたくさん食べたい、という方もいらっしゃいます。

 珍しかった依頼は、消費期限が迫っていて食べきれなくてもったいないので、一緒に食べてほしいというもの。すごくすてきな発想だなとびっくりしました」

 よかったなと思う瞬間は?

「“自分たちが活躍できる場を作ってくれてありがとう”ってめっちゃ感謝されるんですよ。それは本当にうれしいですね。

 あと、みんながメディアで活躍しているのを見るとすごく幸せ。今年も1月1日からテレビの仕事で8人くらい派遣して。テレビを見ながら最高の気分に浸ってました」

 個人依頼の場合、料金はその場での支払い。手数料ゼロというから驚きだ。

「うちは服がメインなので、その宣伝になればいいと思ってるんです。あと、個人のやりとりの中で企業が入るとおもしろくないと僕は感じるので。ビジネス案件では法人様から手数料をいただいていて、そこで回収できているので大丈夫ですよ(笑)」

 目標は「デブのエンターテインメント会社になること」という。

「ファッションだったら僕らに頼ってくれたらカッコよくなれるし、デブが必要であれば派遣しますし。エンタメのど真ん中として、総重量225キロの2人組女性アーティストDelicious Renaissanceのプロデュースも始めました。僕らと関わったらデブのみんなのライフスタイルがちょっとよくなる、そんな存在になれたらなと思ってます」

デブカリ公式HP→https://www.debucari.com/
れきさんのツイッター→https://twitter.com/rekisitekirrrr

〈取材・文/いくしままき(体験リポート)〉