冷蔵庫の中を見られるのは恥ずかしいもの。しかし、この空間にこそ、貯金を増やすヒミツがあるのだ。
食材を捨てながらお金を捨てていると痛感
主婦の海老原葉月さんは冷蔵庫を整えたところ、食費が年間で72万円も減り、今も家族3人で月2万円以内の食費をキープしているという。
「以前の私は“お金はあればあるだけ使う”タイプ。しかも、掃除が苦手で子どもが生まれてからも家はゴミ屋敷状態でひっちゃかめっちゃか(笑)。
家に居たくないから毎日、ショッピングモールに出かけては予算も決めず食材を買いまくり……。夕飯はフードコートですますという無計画な生活をしていました」
ところが政府の“働き方改革”で夫の残業代が減り、収入が半減。家は汚い、貯金もない……。何かを変えなければと焦る日々。
「思えばこのどん底が契機になりました。家の中からなんとかしたいと、最初は『片づけ』を学び、その一環で冷蔵庫を整理し始めたんです」
おびただしい量の賞味期限の切れた調味料や食材。次から次へとゴミ袋に放り込みながら、「いったい、これらは全部でいくらなの?ムダにしていなかったら、どれだけ貯金ができていたのか……」と情けなくなったという。
まずは「食材を捨てない」という目標を立て、冷蔵庫の管理をスタートさせる。スカスカの冷蔵庫に最初は不安を覚えたものの、そのうち「これがあるべき姿では?」と気づいた。
捨てない、使い切るを徹底
「入っている食材が把握できるから管理もしやすく、使い残しもない。出し入れもしやすいから、とにかく料理がラクになり、負担ではなくなりました」
材料が使い切れるようになってくると、保存法や買い物法でも試行錯誤を繰り返す。
「一週間献立を立てたり、下味をつけて冷凍したり、作り置きもやったのですが、どれも私には合わず。使い残し、食べ残しにつながってしまうことがよくわかったんです」
食材は基本的にはカットして冷凍保存。月末に向け、冷蔵庫の中身を食べ尽くす生活に行き着いた。さっそく、その方法を紹介していこう。
1か月のサイクルで冷蔵庫を空にする!
貯まる冷蔵庫にチェンジするには、まず冷蔵庫の役割自体を捉え直すことが必要だ。
「冷蔵庫は『常時食べ物を保存するところ』『いつか食べるものを入れておくところ』だと思っていましたが、そうではなく、『1か月分の食材を保存するところ』だと考えると意識が変わります」
ひと月の食費はその月内に使い切るもの。同様に考えれば、ひと月分の食材も使い切り、最後は冷蔵庫の中がスカスカになるのが正解。
つまり、残っているものは“余計だった”ということになる。
「使い切れる量って思っているより少ない。食べ切れるかを意識して管理すると、だんだん適量がわかってきます」
また、使い切るためには、「自分が使いやすい食材」のみに絞り、「使いやすい状態」で保存することも大切。
「例えば賞味期限切れになってしまった食材があったら、それは活用しにくいということ。それを省いていくだけでもスッキリします。
また、置き方や保存方法にも工夫が必要。すぐ食べないといけないものは、目につきやすい場所に置くといいですよ」
そもそも入っている量が少なくなればそれだけで見通しはよくなる。さらに置き方、入れ方を工夫すれば、より使い残しは少なくなるだろう。
とどめは月末に買い物をしないという海老原流のルールだ。予算上はもちろん、使い切りにも効果テキメン。
「残っている材料と乾物を使うと、料理の腕も上がります。最後、空っぽになった冷蔵庫をきれいに拭いて達成感を味わうのが最高です」
食費は3分の1になり、年間100万円の貯金もできるようになったという貯まる冷蔵庫、ぜひまねしてほしい。
冷凍室フル活用で食材を1か月で使い切る!
給料日直後は満タンの冷凍室も、約1か月後の給料日直前にはこのようにしっかり使いつつ、在庫管理を徹底。
「ちょっとずつ食材を残しておくと、『食べるものがない』とならず、気持ち的にも安心しますし、意外といろんな料理が作れます」(海老原さん)
“節約が叶う!”冷蔵庫の作り方
今は調味料をすべて冷蔵庫で保存。賞味期限はこまめにチェックします。冷蔵庫に空間があると、電気代も節約できるという利点も!
1. 手がつけやすい調味料から整理!
「まずは調味料から整理するのがおすすめ。消費期限切れのものを捨てるだけでかなりスッキリします」(海老原さん、以下同)。
捨てるだけではなく「使い切れないものは『必要ないものなんだ』と理解してもう買わないこと。うちでは“〇〇の素”が余っていたので今は使わなくなり、いつも数本あったドレッシングが1本になりました」
2. 冷蔵庫内に“すぐ食べコーナー”を作る
食べずにダメにして捨てることが多かった加工品や豆腐など……。
海老原さんがムダにしないために考え出したのが、1つのかごにまとめて入れ、期限の近いものから使っていく方法。
「料理する前に、まずはここをのぞくことを習慣に。これだけで絶対使い切れます!」
3. 野菜・肉・魚は基本、冷凍室で保存
足が早い生鮮食料品は冷蔵せず、ほぼ冷凍。
「それも使い切れるとわかっている定番の食材だけ、使いやすく切って冷凍しています。下味をつけたり、ゆでたりするのは手間がかかるくせに使い道も限られる。切っただけ!が結局いちばん使い切れます」
左には定番の野菜や薬味類を密閉容器で。葉物野菜やサケ、ひき肉、豚肉などはジッパー式袋で保存。100円均一の金属製のブックエンドやかごで立てて出し入れしやすく。
野菜室には……
野菜は最初に使用したあと、すぐ冷凍するので生野菜や果物、日持ちする野菜が入っている。早く食べたいものは見やすい上段に。小麦粉などの粉類、米なども余裕で入る。
4. 給料日前は買わずにあるものを使い切る!
使い切り終盤の数日間は食材も少なくなってくるが、買い足しはしない。
「冷蔵庫に残しておいた食材で作れるレシピをネットで検索。ムダなものがなくて中が見渡せるから、とことん使い切れるんです」
食費2万円の予算分け
1か月を5つのサイクルに分けて、食費を分配。スタートの週はまんべんなくまとめ買いして基盤を作り、3サイクルは予定を把握しつつ、ほぼ均等な予算で牛乳やヨーグルトなどのデイリー食品を買い足す。そしてラストのサイクルは0円で乗り切る!
ムダ買いしない食材の買い方
ムダが入り込む余地がない超効率的な買い方。まねするだけで自然と買い物額がダウン!
買い物の前は必ず冷蔵庫を確認
2重買いこそムダの最たるもの。
「あらかじめ買うものは携帯にチェックリスト化していて、買い物前に在庫を確認」
これで2重買いはもちろん、リストのおかげで予定外のものを買うこともない。
持っていくのはそのサイクルの食費のみ
食費専用の財布に現金だけを入れて買い物へ。
「ポイントカードやクレジットカード、電子マネーの類いは一切使いません。ポイント欲しさに余計なものも買うのがムダだし、管理しにくくて私には不向きでした(笑)」
買う店を決めて滞在時間を短く
「私はあれこれ見ると欲しくなるから、とにかく接触機会を減らす」と、海老原さんはまとめ買いのスーパーは1軒、日々の買い物はドラッグストアと決めている。
さらに「買い物リストは陳列順にしておくと最短で回れます!」
(取材・文/野沢恭恵)