「今年の目標は…………キングオブコント優勝です!」
そう語るのは、今年で結成9年目を迎えたお笑いコンビ・かが屋だ。
アルバイト先で知り合い、2015年にコンビを結成した2人は、19年と22年のキングオブコントのファイナリストに選出されるなど活躍。コントに心血を注ぎ、全盛期は月に100本ものネタを作っていたという2人は、4月8日から全国4都市を巡る単独ライブ『瀬戸内海のカロカロ貝屋』を開催中だ。
今ではチケットが即完売するコンビの1組として定評がある彼らに、今年の意気込みを聞いた。
「今年は原点回帰」
加賀:コロナを経て、より一層ライブしたい欲が高まりました。「やっぱ僕ライブが好きなんだな」と。
賀屋:お笑い界全体も、コロナで色んな配信番組が増えてレベルが上がってきてますよね。僕らもこの勢いに乗っていきたいですね。
加賀:今年は気合入ってます! 今年は、個人的にやりたいネタとか、これまでもずっとやってたけどあまり表向きにやらなくなってたことを原点回帰でやるつもりです!
賀屋:でも、攻めすぎて「めっちゃすべるかも」と心配な部分もあります(笑)
加賀:もう今年は守りに入っているネタが少ないかもしれないです。例えば、お寿司屋さんで大トロ一貫だけ食べて、「ごちそうさまでした」って言って帰るネタもあるんですよ。大トロ一貫だけ食べに来るっておかしいけど、自分の好きなように振る舞っているのがかっこいいみたいなネタで。お客さんも笑いづらいかもしれないんですけど、僕らがやりたいネタをやろうと思います。
かが屋のコントは、大掛かりな設定や勢いで押していくようなセリフの掛け合いもなく、シンプルな味付けでコントを展開されていく。日常の気まずいワンシーンを切り取ったようなシュールなネタで、絶妙な笑いを生み出していく。
こうした芸風はどこから生まれたのか。
加賀:ウチの家庭が離婚した関係で、おばあちゃんの家で暮らしてた時期があったんです。その時におばあちゃんがお菓子とか出してくれるんですけど、大体おかきとか濡れせんで、子どもが思っている美味しいお菓子とじゃないんですよ。いや嬉しいんですけど、やっぱポテチとか食べたいじゃないですか。でもおばあちゃんの善意も無駄にできない。だから本心からは喜べないんだけど、とりあえず喜ぶ演技をするみたいな体験が、コントにも染み付いているのかもしれません。
楽をするとダメにになっていく
下積み時代には、月に100本ものネタを作り、毎日ライブをしていたと明かす2人。こうした場数の多さも、大きな武器の1つになっているはずだ。
加賀:もう当時は、数打たないと面白いものは出てこないと思ってたんです。いちばんネタを作っていたときは、なんとなく200本書いたら、賀屋に刺さるような面白いネタが1本できるっていう肌感覚です。僕はネタ作りができなくなってNSC大阪を中退しているんですけど、だからこそウジウジしていても良いネタって出てこないっていうのを痛感していて。
賀屋:もう全盛期は、毎日ライブに出て、しかも毎回違うネタやってましたもん。
加賀:バイトもライブに合わせてシフト入れて。バイト中にネタを作って、ライブ前に集まってネタつめて、そのまま舞台でやって。で、次の日はもう違うやつを作ってみたいな流れです。
賀屋:いや~めっちゃスベってましたね(笑)。お客さんからは「完成させてから(ネタ)おろせよ。変えなきゃいいじゃん」っていう人もいるんですけど、割と毎日来てくれるお客さんもいて。同じライブに出る全員、顔見知りなぐらいなんです。だからこそネタも全部変えて、少しでも目立とうとしてました。
加賀:NSCの時も、ずっと同じネタしているコンビとかいたんですけど、それって自分たちがこれ以上に面白いと思えるネタを作れてないっていう証拠だと思ってて。それで臆病になって、スベることが怖くなって、置きにいっちゃうみたいな。やっぱ楽してるとダメになっていくってポリシーがあるんです。
賀屋:マセキ(現在の所属事務所)のオーディションとかも、本当はダメなのに色々とネタを変えて披露してましたから(笑)。
加賀:マセキに入るときは、まずオーディションでネタ見せして、通ったら同じネタで事務所ライブに出演する流れだったんです。それでライブを何か月か繰り返して、認められれば所属が決まる感じでした。でも僕らは、オーディションで通ったネタと、全く違うネタを毎回ライブでやってました(笑)。ライブスベったらどうしようって思ってギリギリまで考えてたらなんか全然違う内容になってて。
賀屋:だから普通に違うネタやったら駄目なんですよ。でも毎回違うネタやろうと決めてたので、よくワードだけ残したり、考えすぎて原型無くなっちゃいましたみたいな言い訳をして、うまく誤魔化してました(笑)。
KOCの優勝賞金の配分は6:4!?
加賀:いやーいま考えると酷かったな(笑)。
賀屋:毎回ドキドキしてたもんな。
数多のライブで確立されてきたかが屋の芸風。最後に、今年の目標として掲げたキングオブコントの手応えについて聞いた。
加賀:ん~勝算がありそうなのは、来年か再来年あたりだと思うんですけど、もちろん早めに優勝しておきたい気持ちもあります。
賀屋:難しいよな。その辺りは。
加賀:まあでも、今年の目標はキングオブコント優勝です! 今年のうちに優勝して600万持って帰りたいですね!
賀屋:おい、なんでそこ500万ずつで山分けじゃないんだよ!
ライブシーンでも賞レースでも、2人の活躍から目が離せない。