しじみの扱いをめぐって、とある論争が起こっている。
しじみの身、食べるor食べない?
「20代の女性がデートでとんかつを食べにいった際、みそ汁に入っているしじみの身を食べたら恋人に驚かれたという内容の記事を3月にマネーポストWEBが公開しました。その記事をきっかけに、SNSでは食べる派と食べない派にわかれて、さまざまな意見が飛び交っています。
食べる派は《もったいないから》《栄養があるから》、食べない派は《出汁だから食べるものではない》《食べるのは貧乏くさい》などの主張をしています」(ネットニュース編集者)
他の貝類と比べて身も小さいしじみ。みそ汁に入っていることが多いが、このしじみを食べるのは、食事のマナーとして正解なのか。
「結論としては、食べても食べなくても、マナーとしては問題ありません。ですが、食べる場合のマナーはあります。
貝類はお椀の中で、箸を使って取るのがマナーですが、しじみの場合は身が小さいため、汁がこぼれたり、音が出てしまうと、それがマナー違反になってしまいます。なので、片手でしじみの殻を支え、もう片方の手で箸を使って取りましょう。また、身を取った殻はお椀に戻すのが正しいマナーです。殻をお椀のふたに置くのはマナー違反になってしまいます」(マナー講師)
では、栄養の面ではどうなのか。しじみに含まれる栄養について、管理栄養士の広田千尋さんに話を聞いた。
「しじみにふくまれる栄養成分は、オルニチンやタウリンといった肝機能をサポートしてくれるものが代表的です。他にも、タンパク質やカルシウム、鉄分、亜鉛、ビタミンB12などのビタミンやミネラルも豊富に含まれています。
亜鉛やタンパク質は、免疫機能の維持や向上に役立ちます。また、カルシウムは骨粗しょう症の予防、鉄分は貧血予防などの効果が期待されます」
しじみを食べずにだし汁からもこういった栄養を摂ることができるのか。
「オルニチンやタウリンなど、肝機能をサポートする成分は水溶性のため、流れ出て汁にも含まれます。ただ、全てが流れ出るわけではなく、タンパク質や鉄分などは、身に含まれますので、 身も食べていただいた方が栄養面ではよろしいかなと思います」(広田さん、以下同)
ほかにも食べる派と食べない派に分かれるものでは、エビフライの尻尾や焼き魚の皮などがあるが……。
「エビの尻尾や魚の皮にも栄養が含まれているので、お好きな方はぜひ食べていただきたいですね。エビの尻尾の殻の部分には、カルシウムが含まれています。また、エビの赤い色味の成分であるアスタキサンチンは、抗酸化作用という動脈硬化やがんなどを予防してくれる成分が含まれています。
魚の皮もタンパク質やカルシウム、亜鉛などの栄養素が入っているので、苦手でなければ、ぜひ食べていただければと思います」
好き嫌いもあると思うが、アレルギーがないのであれば、栄養面だけでなく、食材を無駄にしないという意味でも、食してみるのがよさそうだ。