1983年4月15日の東京ディズニーランド開園から40周年を迎える今年、東京ディズニーリゾートでは『40周年“ドリームゴーラウンド”』の開幕を4月15日に控え、お祭りムードに包まれている。
そんなアニバーサリーイヤーをさらに盛り上げるべく、4月10日からはリゾート内の各所で「40周年スペシャルグッズ」の販売をスタート。多くの来園者や買い物客が押し寄せる中で、とあるSNSユーザーが投稿したツイートが物議を醸している。
《ボンボでフェイク赤ちゃん連れてる人いた、、、 40周年グッズ大量にカゴに入れていたから恐らく転売目的かと、、》
どうやら、目撃したのはリゾート内にある、ファンからは“ボンボ”として親しまれるディズニーショップ『ボン・ヴォヤージュ』で起きたという出来事。
なんでもボンボで販売されたばかりの40周年関連グッズを手にして回っていた客を、転売目的で購入する“転売ヤー”と見受けたよう。そして疑った理由というのが、ツイートと共に投稿された2枚の画像。
オリジナルカチューシャなどの記念グッズが並ぶ棚に寄りかかるように、体勢がやや斜めになりながらも直立するベビー服を着込んだ赤ちゃん。その横には親だろうか、グッズを品定めするような足元が映り込んでいる。
画像から察すると身長は60cm〜70cmくらいか、1歳にも満たないような赤ちゃんが親の買い物が終わるのをじっと立って待っている、ように見える。しかし、その表情からは生気が感じられない。
フェイク赤ちゃんも成長するのね
なんと店内を人形を、“フェイク赤ちゃん”を連れて回る買い物客だったようだ。すると画像を見たネットユーザーからは、
《ついにディズニー転売ヤーフェイク赤ちゃん立ったのか》
《1年経って立てるようになったのかw フェイク赤ちゃんも成長するのね》
実は、この“フェイク赤ちゃん”騒動は昨年にも起きており、テレビ朝日系のニュース番組『グッド!モーニング』内でも様子が伝えられていた。
2022年4月7日、東京ディズニーシーが開園する5時間半前からできていた長蛇の列。この日に発売される新グッズ購入が目的で、並んでいたのはショップに入るための整理券を求める人々。
ところが、新グッズは「お一人様1点限り」の購入制限がかけられていたため、大勢で押しかける人、そしてベビーカーに“フェイク赤ちゃん”を乗せて、2人分と偽って購入を画策する人も。しかし、店員に声をかけられて“赤ちゃん”が人形であることが発覚。未遂に終わったという。
この時に話題になった、ベビーカーに乗せられた“赤ちゃん”が1年経って「立っている」などと、まるで本当の赤ちゃんが成長したかのように揶揄する声が上がっているというわけだ。
冒頭のツイートの他にも、40周年記念グッズ販売が開始されて以降、ベビーカーに赤ちゃん人形を乗せてリゾート内を闊歩する別の来園客、さらには“赤ちゃん”が寝ているであろうベビーカーの上に大量の買い物袋を無造作に積み上げる買い物客の姿も報告されている。
赤ちゃんも人数分に数えられる
近年、限定グッズやコンサートチケット、はたまた日用品に至るまで、転売品と思われる多数の商品がフリマアプリ『メルカリ』やネットオークションに出品され、企業や店舗が対策に追われる現状がある。
世界中にファンがいるディズニーグッズも同様にターゲットとされているため、新グッズのたびに売り場では争奪戦が起きる大混乱に見舞われていた。その対策の一環として、購入時の個数を制限する措置が取られることに。
流通とマーケティング事情に詳しい物流ジャーナリストに聞くと、
「ディズニーの場合は新グッズや限定グッズによって対応が異なり、例えば、おー人様1点限りだったり、1回の会計につき1商品を1個から3個までといった具合ですね。よって人数が多いほどにその分だけ多く購入できることになります。
その(転売を疑われた)方が、どんな理由で人形を連れていたのかはわかりませんが、仮に“本物の赤ちゃん”と人数分を数えて購入していたのならば、一人分多くグッズを買えたことになりますね」
とはいえ、“赤ちゃん人形”を連れ歩く人がみな転売目的とは言い切れない事情もある。というのも赤ちゃんを授かれない、また亡くした夫婦のために精巧に作られた“ドール”も実在し、本当の赤ちゃんのように可愛がられている現実もあるからだ。
そのためか、“フェイク赤ちゃん”との同行を批判する、おもしろがる一方で、“ドール”であった場合に、勝手に“赤ちゃん”を撮って晒したことを批判する論争もSNS上で巻き起こっている。
さらに4月13日、記者が実際に『ボン・ヴォヤージュ』を訪れてみると、たしかに40周年記念グッズを買い物かごいっぱいに詰め込んでいる客は多い。が、一部のグッズには《こちらの商品は、1回の会計でおひとり様3点までご購入いただけます。》との注意書きが見受けられるも、ほとんどが個数制限なく購入できるという。
外国人転売ヤーには影響がない
1度会計を済ませた後に再入店して、同じグッズを購入するのも可能とのことで、『ボン・ヴォヤージュ』に限っては販売される記念グッズは転売ヤーにとって“うまみ”がないように思える。
ということは、ツイート投稿された“フェイク赤ちゃん”一行は、やはり一概に転売ヤーとも言い切れないような……。
「40周年の関連グッズは、発売日の4月10日から12日までの間は混雑緩和のために予約制とする入店制限が設けられていました。いち早く手にしたいファン、そして遠方に住んでいて来られないファンにとってはやはり“レア”に映ると思います」(前出・物流ライター、以下同)
たしかに『メルカリ』では、すでに大量の記念グッズが出品されている。
「また昨年もそうでしたが、ディズニー関連グッズを転売しているのは外国人も多く、中でも中華圏が多数をしめる印象です。彼らの市場はもとより海外に住むファンであるため、個数制限に関係なく買える分だけ買っていくんですね。
また元締めの指示による買い付けであれば、事前に詳細を調べることはしないでしょうし、購入制限があった場合の保険としての人形持参もあるかもしれません。まあ、本当に“ドール”として、家族として大事にされている人形であれば雑に扱うことはしないと思いますが、どうなんでしょう(苦笑)」
1年後にはどうなっていることやら。