4月12日、東京大学の入学式が東京武道館で行われ、38歳で合格を果たした現役吉本芸人・さんきゅう倉田の姿もあった。
睡眠時間以外はすべて勉強
「さんきゅう倉田さんは、2008年に日本大学理工学部を卒業し、2年間、東京国税局で働いていました。その後、2010年に吉本の東京NSCに15期生として入り、芸人として活動。同期にはニューヨークや鬼越トマホーク、横澤夏子さんらがいます。倉田さんは、お笑いトリオ・パンサー尾形さんが率いる軍団のメンバーで、名付け親も尾形さん。今年3月に、東京大学の文科二類に合格したことを発表していました」(お笑いライター)
入学式終了後に、さんきゅう倉田本人に話を聞いてみた。
「“3年以内に合格したい”と受験勉強を始めてからちょうど3度目の受験で合格しました。足切りされたことは1度もないですが、2次試験の点数がずっと足りなくて……。1年目は120点、2年目は50点届きませんでしたが、今年はギリギリ0.9889点上回って合格することができました」
合格のコツは、とにかく勉強についてだけ考えること。
「勉強時間は1年目が1日10時間、2年目が13時間、3年目が15時間でした。受験の1か月前からは20時間に増やして、食事中や歩いている時間、寝る前に目を閉じている少しの瞬間も、日本史の単語を頭に思い浮かべたりと、睡眠時間以外を全て勉強に捧げました。
外国語は英語で受験する人が多いのですが、20年近く英語の勉強をしていなかった僕が、東大レベルに追いつくのは難しい。ワインが好きだったこともあり(笑)、フランス語で受験することに決めて、ゼロから勉強しました」
コツコツと努力を重ねて掴んだ“東大合格”。今一番楽しみなのは目の前にある、人生で2度目のキャンパスライフだ。
早くもキャンパスライフを満喫中!?
「僕が入ったクラスは少し特殊で、結びつきが強いんです。先輩たちとの関わりも多くて、入学前にもみんなで遊びに行きました。クラスメートたちは僕のことを“若くて、38歳には見えない”と言ってくれたり、“おじさんじゃん”といじられたりしていて、すごく仲がいいです。
実は、書道サークルにも入ろうと思っていて、もう体験にも行きました。字が綺麗な人は賢く見えるなと思っているのに、自分はかなり字が汚いので、ずっと前から書道サークルに入ろうと決めていたんです」
かつて、お笑い芸人としては“ネタはもうやらないと決めた”とインタビューで語っていた倉田だが、本の発売や講演など、幅広く活動してきた。両立は大変そうだが、学業に対する気合も十分だ。
「現在は、前職の経験なども活かして、SNSなどで経済系の情報を発信していますが、これから行動経済学などを学んで、もっと皆さんの役に立てたらいいなと思っています。大学の授業では、賢い仲間たちとチームを組んで発表したり、フィールドワークをする機会がたくさんあるので、専門性を持った方々と一緒に勉強ができるのが本当に楽しみです。最初の学期は授業がパンパン。夕方までかかることもありますが、授業は休めないので芸人としての活動との比率は悩んでいるところです」
インタビューに応じた後“クラスメートたちと打ち上げがあるので”と去っていった倉田。早くもキャンパスライフを満喫しているようだ。