5月6日に行われるイギリスのチャールズ国王の戴冠式に、秋篠宮ご夫妻が参列されることが正式に決まった。
「世界中から愛されていたエリザベス女王と比較すると、チャールズ国王は少し地味な印象です。戴冠式もあまり話題になっていませんでしたが、当日まで3週間を切り、関連報道が増えてきました」(在英ライターの名取由恵さん)
皇室の名誉挽回のチャンス
一方、日本では“どうして両陛下ではなく秋篠宮ご夫妻が出席されるのか”という批判がいまだに収まらない。
「英王室からの招待状には、“国家元首が出席できない場合は代理の出席が可能”とありました。昨年9月に行われたエリザベス女王の国葬には、両陛下が参列されましたし、皇室と関わりが深い英王室の戴冠式には、両陛下にお出ましになっていただきたかった」(皇室ジャーナリスト)
宮内庁は、秋篠宮ご夫妻が出席される理由として、(1)外国の戴冠式に天皇が参列した前例がないこと、(2)両陛下は、生前のエリザベス女王から国賓として招待を受けていたが、実現しなかったため、別の機会で訪英していただきたいことを示している。
「事実上の国家元首といえる陛下が、短期間に複数回、同じ国を訪問されるべきでないというのは納得できます。しかし、宮内庁の説明が説得力に欠けているのも事実。両陛下の訪英は“できるだけ早く”としつつも、具体的な時期は明かされておらず“敬愛する両陛下にイギリスを訪問していただきたい”と国民が願うのも当然です」(神道学者で皇室研究者の高森明勅氏)
皇室へのネガティブな国民感情を抑えるために、両陛下はそう遠くないうちに訪英されるのではとの見方が強い。
「秋篠宮ご夫妻に対する批判が相次ぐのは、皇室全体にとっても望ましくありません。両陛下が国賓として、イギリスへお出かけになれば、結果的に戴冠式騒動の火消しになる。いわば、皇室の名誉挽回のチャンスでもあるのです」(前出・皇室ジャーナリスト)
年内訪英が厳しい理由
前出の名取さんも、両陛下の訪英に期待を寄せる。
「一般の英国民にとって、日本の皇室はなじみが薄い存在ですが、両陛下が国賓として訪英されたあかつきには、いろいろな日本関連イベントが行われ、英国民からも歓迎されると思います」
コロナ禍がなければ両陛下は'20年に訪英し、エリザベス女王と面会される予定だった。
「4月5日には、アメリカのバイデン大統領が、チャールズ国王から国賓として招待を受けたと公表されました。これに続いて、両陛下の訪英も今年中に実現できればという意見が多数寄せられています」(宮内庁関係者)
しかし、訪英のハードルは、想像以上に高いようだ。
「両陛下は6月下旬、インドネシアを公式訪問される予定です。外国への親善訪問は即位後初、かつ雅子さまにとっては初のアジアとなり、ご体調の調整は大変でしょう。訪英されるとしても秋以降になると思いますが、年2回の外国訪問はさすがに厳しいのでは……」(前出・宮内庁OB)
秋には、両陛下が特に重きを置かれる“四大行幸啓”と呼ばれる地方公務のうち、国民体育大会、国民文化祭、全国豊かな海づくり大会の3つが行われる。
「開催地はそれぞれ鹿児島県、石川県、北海道と遠方です。雅子さまはいまもご回復の途上で、行事が続くと疲れが残りやすいとか。秋の公務ラッシュをこなした後、海外訪問されるとは考えにくく、一部では年内の訪英は現実的ではないといわれています」(前出・皇室ジャーナリスト)
来たるその日に向けて、国母の奮闘は続く。
高森明勅 國學院大學講師。神道学や日本古代史を専攻し、『天皇「生前退位」の真実』など著書多数
名取由恵 イギリス在住ライター。翻訳者。英国ドラマ愛好家。英国エンタメを中心に執筆を行う