『BACKBEAT』4/23江戸川区総合文化センター大ホールでのプレビュー公演を皮切りに、4/28~5/3兵庫、5/6~7熊本、5/20~21大阪、5/24~31東京にて全国公演。

 5人編成だった結成当時のビートルズ創成期を描いた舞台『BACKBEAT(バックビート)』が、4年ぶりに再演される。大きな見どころのひとつは、役者自身による20を超える楽曲の生演奏。2019年の初演メンバー5人が再結集しての公演に期待が高まる。

A.B.C−Z・戸塚祥太、加藤和樹にとって特別な舞台

 当時のベーシストで画家としての才能も発揮しながら、メジャーデビューを待たずに袂を分かつスチュアート・サトクリフ役の戸塚祥太(A.B.C−Z)とジョン・レノン役の加藤和樹は、彼らにとって特別な舞台の再演を喜ぶ。

戸塚「初演を終えたときから、すごく特別なつながりを感じて、この5人のメンバーでまたバンドをやりたいという思いはありました。なので現実になったときに、すごい喜びが襲ってきて。今、稽古をしていて、改めてむちゃくちゃハードルが高いことに挑戦させてもらえていたんだと気づいて、恐怖も感じています」

加藤「再演のお話をいただいて、10代を演じるのは年齢的にちょっと厳しいんじゃないって思ったりもしつつ、やっぱりこのメンバーが全員そろうなら、“もうやるしかないでしょう”って。ただ、みんなアラフォーになってきたので、稽古でも演出の石丸さち子さんに“若さが足りない”って言われます(笑)。だから今回、いかに年を重ねたわれわれが新鮮な気持ちで挑んでいくかってところは、課題のひとつではありますね。でも、5人で久々に音を出したときはもう、イェーイ!って学生バンドみたいなノリで(笑)」

戸塚「もう、これだね!って」

絆を深めた5人が仲良くなったきっかけ

 役者としてだけでなくバンドメンバーとして絆を深めた5人は、4年の歳月を経ても変わらず意気投合。仲良くなったきっかけは?

戸塚「加藤くんも、上口(耕平)くんも、JUONくんも、(辰巳)雄大も、稽古でも本番でも取り組み方が、全員すごくプロフェッショナルでありながらフレンドリーで。前回の本番のあとに、加藤くんが自宅で手作りのラーメンを振る舞ってくれて、5人で楽しい時間を過ごしたり。あんなに美味しいラーメン食べたことないよ」

加藤「ハハハ。前回もバンドの練習から始まったってこともあるし、今回もやっぱりみんなで一緒にやっていこうって意識がすごくあって。5人が同年代なので話題も合うし、本当に学生バンドのノリで練習して、音を重ねていったのがいちばん大きな要因じゃないかな」

 才能を認め合う親友、スチュアートとジョンを演じる2人。おたがいに役との共通点は?

戸塚「結成当時のビートルズは、何事もジョンの鶴の一声で動くので、その感覚で、初演のときからずっと加藤くんに頼っています。AかBどっちか、おまえら決めろってときには、みんなジョン(=加藤)を見るっていう(笑)」

加藤「ハハハ。それぞれが役に似てくるっていうのはあるのかもしれないですね。僕から見ても、とっつーはスチュですから。普段のつかみどころのないたたずまいとか、特にこちらを見ているようでその奥の別次元の何かを見ているような眼差しがね~、スチュだなって。近いんだけど手が届かない、そんな雰囲気を持っているので」

 実際の2人は、相思相愛の麺フレ(=ラーメンフレンド)。

戸塚「加藤くんはアスリートのようなストイックさでステージに立っていて、表現者としてすごく尊敬しています。ストイックなだけじゃなくて、共演者や作品への愛も感じるし、人としても興味がありますね」

加藤「とっつーは自分にないものをたくさん持っているからこそ惹かれるし、隣にいてすごく心地のよい存在です」

手応えを感じて「どんどんよくなっていく」

 最初の通し稽古で、初演以上のものができると手ごたえを感じ「どんどんよくなっていく予感しかない」と語る2人。

加藤「この『BACKBEAT』がすごく好きだと言ってくださるみなさんが多くて、再演されることになりました。僕らも大好きな作品ですので、より初演を超える感動と喜びがあるような作品に仕上げたいと思っております。ぜひ楽しみにしていただければと思います」

戸塚「前回見てくださった方も、見逃してしまった方も、絶対にここでしか体験できない素敵な時間になると思いますので、ぜひ劇場へいらしてください」

 最後におたがいへのエールを送り合ってもらった。

加藤「また、一緒に駆け上がって行こうぜ!っていう思いでいっぱいです」

戸塚「ハハハ。あのジョン・レノンを演じるという、とてつもないことにもう一度挑む加藤くん。誰よりも矢面に立って、誰よりも先頭で突っ走る彼のことを、僕は優しく、温かく、心の面でサポートできたらなと思っています」

加藤「ありがとう」

眠れない夜に聴いた『ビートルズ1』

戸塚「出会いは中学1年の教科書。でもビートルズより先に、英語の授業でジョン・レノンの『イマジン』を知りました。“天国もない地獄もない。想像してごらん?”という歌詞が心に引っかかったのを覚えています。音楽好きの兄が持っていたベスト盤『ザ・ビートルズ1』を、眠れない夜によく聴いていました。Jr.になってアルバムもひと通り聴きました。レッスンに通うのに家から最寄り駅まで自転車で、その道中に『リボルバー』と『ラバー・ソウル』の2枚のアルバムをよく聴いていましたね」

ビートルズとの出会いは音楽の教科書

加藤「僕が、最初に出会ったのは音楽の教科書なんですよね。たしか『レット・イット・ビー』だったと思います。そこから特段好きになって追いかけることはなかったんですけど。でも、逆に絶対的な存在っていうわけではないからこそ、この舞台をやれているのかなと思う。憧れを持ってしまうと演じられないので。僕の場合、もしB'zの稲葉浩志さんを演じてくださいって言われたら絶対無理ですから」

『BACKBEAT』4/23江戸川区総合文化センター大ホールでのプレビュー公演を皮切りに、4/28~5/3兵庫、5/6~7熊本、5/20~21大阪、5/24~31東京にて全国公演。詳しくはこちら
撮影/伊藤和幸 取材・文/井ノ口裕子 スタイリスト/ゴウダアツコ ヘアメイク/国府田雅子[b.sun]、田坂貴恵、伊藤こず恵