「今年のヘッドライナーは美川憲一さんに決定しました。ryuchellさんやミラクルひかるさんも参加されました」
4月22日・23日、『東京レインボープライド2023』が開催された。LGBTQなど性的少数者が、差別や偏見にさらされず、前向きに生活できる社会の実現を目指すイベントで、毎年恒例となっている。今年は参加団体が過去最多数となり、冒頭に上げたように数々の著名人が登壇。
楽しんご「LGBT法案は絶対にダメ」の真意
LGBTQといえば、LGBT理解増進法案についてが議論を呼んだ。
女優の橋本愛は、SNSでで出生時の身体的性別と性自認が異なるトランスジェンダーの女性が、公共のトイレや入浴施設を利用することについて、当事者の痛みに配慮しながらも女性として「心の性別ではなく身体の性別で区分するのが“ベター”」と率直な意見を述べた。すると差別発言だと非難され、3月5日に謝罪。ツイッター上では「橋本愛さん」「擁護の声」「女子風呂」などの関連ワードがトレンド入りをした。
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《ゲイだけどLGBT法案は絶対にダメ》
《ダメ絶対!大変な事になる心は女じゃねーよ!アホ!#lgbt法案》
と、3月2日に強く反対の意向を示したのは、お笑い芸人で整体師の楽しんご(44)。このツイートを支持するコメントが多く集まった。
《全国の旅館・温泉組合・銭湯・旅行会社の経営者や責任者はLGBT法反対を表明すべき》とインスタグラムのストーリーズでも主張していたが、なぜ、そこまで強く訴えたのか本人に聞いてみるとーー。
「銭湯などは大変なことになると思います。もし『私の心は女性です』と証明できるものがあっても、男性器のある人が女湯に入ってきたら……。逆に、もともと女性だった方が男性の身体になったからといって、男湯に入ってきたら……。特に高齢者の方など、理解できない人は多くいると思います」
楽しんごが問題だと指摘したのはお風呂や温泉で起こり得るトラブル。特にT=トランスジェンダーについてだ。
「おっぱいはあっても男性器のついた人とかいると、女性からすれば、やっぱり気になると思うし。差別というわけではなく、トランスジェンダーを理解してくれる温泉施設や、自分たちだけで入れるところへ行けばいい」
トランスジェンダーは一般の人の迷惑になることは控えるべきだと話す。
「アメリカでの話ですが、女性として生きるトランスジェンダーの人が、女子更衣室で裸に。その姿を見て『男性だ』と思い、物陰に隠れた女の子が、施設に苦情を伝えたという話がありました。
それに対して、施設職員から『トランスジェンダーの女性にも使用する権利はある』ときつく叱られたとか。トランスジェンダーの権利を守るのは大事だけれど、女性の気持ちも理解してあげてと」
反感を買っても貫いた意志
さらに、スポーツ競技についても指摘。
「トランスの方が競技に出て、圧勝するといった話題もありますよね。これもアメリカの話ですが、ずっと練習に励んできた女の子が、優勝する実力はあるのに大会では1位と2位をトランス女性が獲得して、奨学金を得る機会も失ったりしたという話も。それを聞いて、真剣に頑張ってきた女の子がかわいそうだなと思ったんですね」
身体的には異性のアスリートが参加する場合は、公平性に疑問の声も上がっている。そして、偽装による猥褻行為が増えるのではと心配もする。
「性的な興味がないと油断させて女性たちに近づき、覗きをするなどといったニュースも見かけます。本当に気持ち悪い。日本でもこんなことが起きたら女性だったら怖いと思うんです」
女性の立場を考え、現時点では問題が多いと語る。ただ、楽しんごはトランスジェンダーだけでなく、B(バイセクシャル)に対しても違和感を覚えることを明かす。
「男が男のことを好きということや、女性が女性を好きというのもわかりますが、どちらも好きというのはどうなのかと思ってしまうことも。知り合いのゲイたちの中でも、どっちつかずで中途半端だと、バイセクシャルをイメージする人は少なくありません」
一方で、バイセクシャルの人はゲイやレズビアンの人には事実をカミングアウトできないという理由で、ゲイやレズビアンと偽って、バイセクシャルであることは隠している、というケースもあるよう。
だが、こうした発言をすると、当事者の人たちからは反感を買うのでは?
「嫌われると思ったんですが、『しんごちゃんすごいね』と言ってくれる人は多くいました。僕は男性として生きているし、男が好き。バイセクシャルのことはわからないですし、トランスジェンダーのことも完全に理解しようというのは無理なことなのかもしれません。LGBTと一括りにする言葉も違和感があるし、一人歩きしているところがある」
しかし、それぞれの性自認を差別しているというわけではないという。楽しんごは『LGBTQ+イコール』という横浜で新しく立ち上がる団体をアンバサダーとなり支持している。
「昔に比べて、ゲイは受け入れてもらえるようになったけど、性的マイノリティの種類はさらに増えていて、当事者といわれる僕でもわからない部分はある。けど、応援はしているんです。僕も小学校や中学校で、『オカマ』と暴力やいじめを相当受けていました。どうにか、それを乗り越えてきたけど、昨今の若い人たちを見ていると、メンタルはさらに弱く思えるから……」
ちなみに、ツイッターで「入籍することになりました」とつぶやき、それがフォロワーの間で騒がれたが、この発言の真相は? やはり冗談?
「はい(笑)。結婚する知り合いから『しんごちゃん、証人になってください』と言われたんですが、次の日がエープリルフールだったので、ネタにしていいか確認したところ、いいよと。あんなにバズるとは思いませんでした」
同性婚はまだ難しい状況だが、楽しんごが本当に結婚届を出す日が来るのか。