「おとなしくて真面目な人だったから、びっくりですよ」
愛知県常滑市にある容疑者の実家の近隣住民は、驚きを隠せない様子でそう話した。
愛知県警常滑署は4月18日、同県名古屋市中区に住む職業不詳の皆川琴美容疑者(29)を、実家の庭に嬰児(えいじ)(年齢不詳の女児)の遺体を土中に埋めたとして、死体遺棄の疑いで逮捕した。
「18日の午前中に庭の草むしりをしていた65歳の母親が発見して、容疑者の弟に連絡。その後、弟が110番通報した。遺体は裸のままピンク色のタオルに包まれていた。警察は容疑者が4月中旬に遺棄したとみて捜査中です」(全国紙社会部記者)
警察の取り調べに対して、皆川容疑者は、
「間違いありません」
と素直に容疑を認めているという。いったいなぜ、こんな悲惨な結末になったのか。
皆川容疑者は常滑市で共働きの両親の間に生まれた。
控えめでいい子、頭もよかった
「父親は会社員で、地元の子どもたちにサッカーを教えるような活発な方でした。琴ちゃんは幼いころから控えめないい子で、成績も優秀でしたよ」(近所の住民)
容疑者は地元の公立の小・中・高校に通っていた。
「母親はパート勤めしながら琴ちゃんを車で高校まで送っていました。娘に甘い印象がありますね」(同・住民)
高校卒業後、私立の中部大学幼児教育科へ進学したが、
「父親が精神的な病気で働けなくなったのよ。だから、大学には奨学金を借りて行かせていた。母親は懸命に家計を支えていた」(母親の知人)
大学時代、容疑者は弓道部などで青春を謳歌し、卒業後は同大学に職員として就職。その後、実家からそれほど遠くない保育園に保育士として勤務した。
ところが、ここ数年で変化があったという。
「男ができたぐらいしかない」
「両親と琴ちゃん、弟の一家4人で生活していたんですが、2年ほど前に琴ちゃんも弟も家を出て行った。弟は勤務先が遠いから家を出たんだけど、琴ちゃんのことはわからなくて……」(別の住民)
保育園を辞めた後、どこかに就職したという話はなく、
「家を出る理由なんて、あとは男ができたぐらいしかないでしょ。全然帰省していなかったみたいだし」(同・住民)
嬰児を遺棄したと思われる時期は、実家近くで祭りが行われていた。
「そのタイミングで、琴ちゃんも弟も実家に帰ってきたんじゃないかな。彼女はそこで両親に子どものことを相談するつもりだったのかも」(前出・母親の知人、以下同)
捜査関係者によると、嬰児の体重は2000gから2500gほどと新生児の平均体重より軽く、予定より早く出産した可能性があるという。
「道ならぬ恋でできた子だったのか、別れた男との子だったのか……。琴ちゃんは優しいから、親に心配をかけたくない一心だったのかも。かわいそう。妊娠させた男も罪を問われるべきよ!」
と、母親の知人は声を荒げた。嬰児の父親を探るため、名古屋市中区にある容疑者の自宅マンションを取材した。駅近で1K、家賃は月6万円。だが、容疑者は一人暮らしで、“無責任男”の情報を得ることはできなかった−−。