勝地涼が4月14日放送の『あさイチ』(NHK総合)に生出演。役者としての転機を振り返った。
2013年、NHKの朝ドラ『あまちゃん』第128話に「前髪クネ男」ことTOSHIYA役で登場。わずか1回きりの出演ながら、おバカでチャラいナルシストなアイドルを振り切って演じ、
「(事務所の)ホームページのサーバーがパンクしたとか。起きたら夢のよう。突然、世界が変わってたというか」
と、本人も驚くほどのブレイクを果たした。ちなみに『あまちゃん』は現在、BSプレミアムで再放送中。予定どおりなら、8月末に「前髪クネ男」がまた見られるはずだ。
何かと大変だった私生活も話題に
とまあ、まるで一発屋みたいな書き方をしてしまったが─。彼は中1で俳優デビュー。『あまちゃん』の年には大河ドラマやフジテレビの月9ドラマにも出演していたし、若いころには蜷川幸雄さんの薫陶も受けた。けっこう本格的な役者なのだ。
とはいえ、芸能人として第一線でいられるのは、私生活で話題を振りまいたおかげでもあるだろう。
'18年に、元AKB48のセンター・前田敦子と結婚。翌年には息子も生まれたが、'21年に離婚した。うまくいかなかった理由としては、前田の浮き沈みの激しい性格も指摘されている。'19年には、路上で前田がブチギレ、制止を振り切って走り出し、勝地をにらみつける姿も激写された。
この夫婦に限らず、時代をつくった女性スターの夫というのは何かと大変なようだ。
山口百恵にせよ、松田聖子にせよ、気が強くて自分の生き方にこだわりがあるので、そのあたりを尊重できるような人格者、あるいはお人よしじゃないと務まらない。三浦友和しかり、神田正輝しかり。広末涼子の最初の夫についてはよくわからないが、現在の夫であるキャンドル・ジュンもきっといい人なのだろう。
美空ひばりさんの夫だった小林旭も、ひばりさん側の求めるまま結婚して、求めるまま離婚したことをのちに明かしている。
元妻に振り回されて…
なお、前田は気が合う男を振り回す「クセ」があるようで、柄本時生はかつて週2ペースで呼び出され、愚痴の聞き役になっていたという。実は勝地と前田を引き合わせたのが柄本。'21年に『ボクらの時代』(フジテレビ系)で離婚した勝地と共演した際には「お疲れさまです」とねぎらっていた。
ただ、勝地は今も振り回されているのかもしれない。『あさイチ』では前田や息子と休日を過ごすこともあるとして、
「突然連絡来て、え、今日会えんの? みたいな。全部予定すっ飛ばして会いに行ったりとかしてます」
と、うれしそうに語っていた。
そんな勝地は芸能界入りにあたって、父から「こびるな、でもかわいがられろ」と教えられたという。また、母はドラマのロケにも使われるような生花店を経営。NHKの園芸番組に講師として出たりしている。どこか憎めず、物おじしないキャラはこうした家庭で育まれたのだろう。
一昨年、ドラマで加藤茶を演じたときもそのキャラが大いに活かされていた。『あさイチ』のラストでは、視聴者からの「(『全員集合』エンディングの)加トちゃんで“仕事しろよ”と言ってほしい」というリクエストに、
「いやー、わかんないですよ。役でやっただけだから」
と困惑しながら、チャレンジ。最後は「加トちゃんペ」のポーズで締めてみせた。
前髪クネ男に前田敦子の元ダンナ。勝地は今後も「前」向きに生きていけそうだ。
ほうせん・かおる アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。著書に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)。