コロナ禍でフードデリバリーの需要が増加したが、ある調査によると一番利用されたのはデリバリーのパイオニアである宅配ピザだった。
日本でピザの宅配サービスが始まったのは約40年前。それ以来デリバリーピザの会社も増えたが、今回は大手3社のピザを食べ比べる。
フードデリバリーで絶対的人気!
人気ピザ各5種類を実食し、それぞれ10点満点で評価してくれるのは「子どものころ、宅配ピザはご褒美的な憧れの食べ物でした」という山本尚徳さん。
材料から生地の手のばしにまでこだわったセブン-イレブンの冷凍ピザ「金のマルゲリータ」の監修でも知られるピザ職人だ。フードプロデューサーの石川範子さんは「宅配ピザはママ友会など、人が集まるときにも便利ですよね」と話す。
3社のうちドミノピザとピザハットは、ピザが国民食ともいわれるアメリカの企業、ピザーラは日本の企業で、味にその違いは出るのかは気になるところ。各部門で一番オススメのピザはこれだ!
テリヤキ部門
甘辛味のテリヤキチキンが具材の主役。 食べごたえのあるハンドトスの生地とテリヤキやマヨソースの味のバランスが勝敗のカギ。
〈第3位〉炭火焼チキテリ/ドミノピザ 3419円
生地とチキン、どっちも重たい。
「マヨソースの味とテリヤキチキンの甘みが強く、厚みのあるハンドトスと合わせるとかなりヘビー。トマトソース、ほうれん草、コーンの印象は薄い」
〈第2位〉直火焼テリマヨチキン/ピザハット 2980円
具材のシンプルさがイイ!
「具材はチキンとコーンだけで、シンプルさが好印象。子ども層を意識しているためか、直火焼テリヤキチキンは甘みが強く、大人の好みは分かれそう」
〈第1位〉テリヤキチキン/ピザーラ 2480円
バツグンのバランスで圧勝!5部門全体でも1位の高評価。
「生地はハンドトスでも重すぎず、テリヤキチキンの甘み、マヨソースの味、マッシュルームやコーンなど具材の存在感もちょうどよく、別添えののりまで含めて全体の調和がとれている。日本人に合う軽いテイストなので、さらっと食べられて次のピースに手が伸びる」(山本さん&石川さん、以下同)
チキンの扱いは三者三様
3社のチキンを比べてみると、ピザーラは程よい厚さで味も絶妙。2位のピザハットは他社と比べて小さめ。ドミノピザは薄めのスライスながら甘さが強め。
マルゲリータ部門
生地はクリスピーをチョイス。生地、トマトソース、チーズ、バジルが調和した軽やかなおいしさがマルゲリータの神髄だが、3社とも合格ラインに及ばず!
〈第3位〉マルゲリータ/ドミノピザ 2779円
マルゲリータと呼ぶのは違和感アリ。
「全体の調和がとれた軽やかさがなく、とんがった味。ピザ味のスナック菓子を食べている印象」
〈第2位〉ピザハット・マルゲリータ/ピザハット 1990円
シンプルだがバランスがイマイチ。
「具材はイタリアントマト、トマトソース、バジルソースで一番シンプルだが、トマトの印象が強く、全体のバランスが微妙」
〈第1位〉マルゲリータ/ピザーラ 2140円
マルゲリータらしい見た目で勝利。
「ピザは見た目も大事で、3社の中で一番マルゲリータらしさを感じる。チーズの印象が強く、チェリートマトやオニオンなど具材が充実しているが、マルゲリータの材料はなるべくシンプルなほうがいい」
ビーフ部門
テリヤキと並ぶ人気の“お肉系”ピザ。生地はハンドトスを選んだが、3社とも厚めの生地に合わせるには具材が重め。焼き具合なども微妙で、シビアな評価に。
同率〈第2位〉ジューシーステーキ/ピザーラ 2980円
具も全体のバランスも残念!
「肉はかたくてジューシーさはなく、生地にもあまり合っていない。ポテトの食感も惜しい」
同率〈第2位〉炭火焼ビーフ/ドミノピザ 3819円
炭の香りが個性的。
「炭火焼ビーフの炭の香りが強く、好き嫌いがありそう。生地と具材のバランスがもう少しよければ評価アップ」
〈第1位〉あぶり炭火牛カルビ/ピザハット 3540円
がっつり食べたいときはアリ!
「炭火牛カルビの甘みの強さは好みが分かれるかもしれないが、具材のおいしさはトップ。ハンドトスと合わせるとボリューミーなので、空腹時にオススメ」
ドミノピザのハンドトスは生地が厚め
宅配ピザは生地を選べるうれしいサービスがあり、今回はオーソドックスなハンドトスと薄めのクリスピーをセレクトした。
ハンドトスは厚めの生地で、特にドミノは食べごたえがあり、テリヤキチキンやビーフなどがっつり系の具材と合わせるとかなりボリューミー。ピザパン好きや育ち盛りの子どもがいる家庭にはよさそう。
エビ部門
マヨソース、クリーム系、ガーリックと3社それぞれの味を楽しめる好勝負は、意外性でピザハットがトップ。生地はハンドトスを選んだ。
〈第3位〉マヨシュリンプ/ドミノピザ 3159円
マヨ感強く全体的にヘビー。
「マヨソースの味が強く、生地も厚いので重すぎる印象。ピーマンはやや生っぽく、トマトソースは最初に口に入らず印象が薄かった」
〈第2位〉大海老のガーリックシュリンプ/ピザーラ 2980円
強めのガーリック感は好みが分かれる。
「エビは焼くときにチーズでふたをするとしっとりするが、むき出しのまま焼いているので水分が抜けてパサつきが。ガーリックはもう少し抑えて、ガーリックソースを別添えして調整できるといいかも」
エビの大きさ≠おいしさ!
ピザハットとドミノのエビに比べて、ピザーラは名前どおりの大海老だが、焼き方がイマイチでパサパサしている。大きさよりも焼き具合が大事!
〈第1位〉特製オマールソースのダブル・シュリンプ
/ピザハット 3540円
シチューのようなクリーミーな一品。
「ホワイトソースを使っていて、魚介のクリームシチューのような味わい。意外性があってこれもアリ。オマールソースの印象が弱かったので、どこを食べても最初に口に入るように考えられていたらより高評価に」
チーズ部門
生地はクリスピー。 チーズの使い方が3社それぞれ個性的な好カードを制したのは、ピザには珍しいチーズを効果的に使ったピザーラ!
〈第3位〉とろける4種チーズのフォルマッジ/ピザハット 3380円
チーズの扱いが惜しい。
「生地の存在感は弱く、溶けて固まったチーズを食べているような印象。パッと見でチーズの主張が強すぎる見た目も気になる」
〈第2位〉3種のチーズ・シュプリーム/ドミノピザ 3289円
ビールが欲しくなるツマミ感がグッド。
「生地は薄くて軽さがあり、全体的にスナック感があってビールのツマミにぴったりなアメリカンテイスト。3種のチーズのなかでは、チェダーチーズが効いている」
〈第1位〉ピザーラチーズラバー/ピザーラ 2580円
高価なチーズ使いにワザアリ!
「クリスピー生地とベーコンやトマト、オニオンなど充実した具材のバランスもよくおいしい。特に冷めてもかたくなりにくい、まろやかな風味のマスカルポーネが効果的。宅配時間を考慮して、あえて高価な食材を使っているところに企業努力を感じる」
食材の位置も重要!
ピザは最初のひと口の印象が大事だが、このピザは口どけのいいマスカルポーネが2口目に入るので、味わいの変化を楽しめる。
一緒に注文したデザートはコレ!
焼きたてフォンダンショコラ/ドミノピザ 420円
焼きたてアップルパイ/ピザーラ 490円
もちっと!ハニーフォカッチャ/ピザハット 460円
3社ともデザートなどのサイドメニューも豊富。注文後に焼くというドミノのフォンダンショコラは、とろりとしたチョコレートが印象的。
ピザハットのハニーメープルシロップ付きのフォカッチャは、一般的なフォカッチャとは違うイメージで「油っぽさがちょっと気になった」。
山本さんのオススメはピザーラのシナモン風味のアップルパイ。程よい甘みのシンプルな味で、「このままでもいいが温め直すとよりおいしい」と山本さん。ぜひお試しを!
余ったピザを次の日おいしく食べるには?
ピザが余ったらジッパー付き保存袋などに入れて冷蔵庫へ!
1.トースターを使う方法
ピザの耳を水でちょっと濡らし、トースターでチーズがふつふつとするまで温める。または、あえてカリカリになるまで焼いてもおいしい!
2.フライパンを使う方法
フッ素樹脂加工のフライパンに、油をひかずにピザを並べ、ふたをして中火にかける。ふたに蒸気がついてきたら弱火にして温める。
実食を終えて
「3社を比べるとピザーラが一番日本人の好みに合う印象。ピザは生地と具材のバランスが大事なので、そこをもっと考慮すれば、と思うものも多くシビアに評価しました。各社とも研究されていると思いますが、さらにおいしくなって宅配ピザがご褒美になるといいですね」(山本さん)
「インパクトやバリエーションがあって楽しいですが、味もボリュームも足し算されている印象で、食べきれずに残ってしまうのはもったいないと思いました。家で焼きたてを食べられる冷凍やチルドのピザも充実しているいま、宅配ピザにも期待します!」(石川さん)
実食してくれたのは……
※ピザは全品Mサイズ、商品の税込み価格は編集部調べ(2023年3月現在)