マスク解禁!……だけど、顔はシミだらけ。これでは、マスクが外せない!?
「シミが消えない!」クリニックの選択ミスが命取りに
「コロナ禍が収束しシミの相談が増えました。マスクのこすれからくる肝斑やくすみ、ニキビ悪化によるシミなど、マスク着用もシミの悪化につながっているようです」
と、銀座ケイスキンクリニック院長、皮膚科医の慶田朋子先生。さらに、「コロナ禍も3年以上。年齢を重ねれば、マスクに関係なく、シミは確実に増えていきます」(慶田先生、以下同)
せめて目立つシミだけでもなんとかしたい、と願うのがミドル世代。
コスメやサプリメントで日頃対策はしていても、美容クリニックでのシミ消しは即効性がありそうで、ニーズは高い。しかし、お金をかけたが「シミが消えない」、「シミが濃くなった」などの口コミも。
「施術でシミが消えなかった、濃くなったと相談に来る患者さんは少なくありません。最近では、レーザー治療後にまだらに色が抜けてしまったという患者さんも増えています。これは明らかに治療ミス。残念ながら完全に元に戻すことは難しいです」
レーザー光線を照射してシミの原因となっているメラニン色素を破壊するのが美容クリニックでのシミ治療の主流。
しかし、医師がシミの診断とレーザー治療器の選択や操作を誤ると、“シミが消えない”“濃くなった”“色ムラになった”という事態が起こってしまう。
【シミの種類で治療は異なる!】
シミの種類や原因は1つではなく、複合的に重なり合っている。シミの状態を見極めて、適切な治療を行わないと、効果が表れなかったり、逆に濃くなったりすることがある
老人性いぼ(脂漏性角化症)
老化や紫外線ダメージで生じる良性腫瘍。シミのように見えることもある
肝斑
主な原因は女性ホルモンや物理的刺激。30代~更年期に出ることがほとんど
老人性色素斑(日光性色素斑)
紫外線のダメージにより、メラニン色素の過剰産生が続き蓄積
炎症後色素沈着
ニキビ、湿疹など炎症を契機に起こる色素沈着。過度なこすれも原因に
そばかす
幼少期から現れる遺伝性の細かいシミ。紫外線で悪化する
ホクロの初期
隆起せずシミのような茶色で斑点状のホクロもある
茶アザ(扁平母斑)
メラニン色素が多いアザ。生まれつき、または思春期に出る色素斑
治療説明が不十分ならやめる勇気も必要
シミの種類は主に4つ。紫外線のダメージが蓄積されたことによって発生する老人性色素斑。ニキビ・湿疹などの炎症が痕となる炎症後色素沈着。ホルモンバランスの乱れで浮き出る肝斑。幼少期から現れるが、紫外線でも悪化するそばかすだ。
シミの原因は、さまざまあり、それらが複合的に作用。こうした多岐にわたるシミそれぞれに適切な治療が必要だが、それを見分けるのは、シミ治療に習熟した皮膚科専門医でないと難しいという。
トラブルの多くは、レーザー光線の照射後に起こる一過性の色素沈着だ。
「照射後は、一時的に色素増強が起こります。半年程度で消えていきますが、事前に説明がないと、治療後にシミが濃くなったのでは、と不安を訴える患者さんも少なくありません。
また、シミの代表格、老人性色素斑は紫外線で細胞に遺伝子異常が生じた状態ですから、一度消えたように見えても再発する場合もあります」
これらを、治療前にきちんと説明しているかどうか、患者さんが納得しているかどうかが問題だと慶田先生。
クリニックを選ぶ際は、皮膚科専門医の資格を取得しているかなど、しっかりと医師の経歴を見ることがポイント。
「ベストは、皮膚病のスペシャリストである日本皮膚科学会認定皮膚科専門医です」
2023年3月3日現在、全国の皮膚科専門医は6947名。日本皮膚科学会公式ホームページには専門医の実名が公開されており、医師の名字や地域別に検索できるので参考にしたい。
「クリニックのHPには、経験豊富な医師が名を連ねていても、実際には医師免許がないカウンセラーが施術内容まで決定することもあります。
医師の判断なしにカウンセラーの治療計画を受け入れると適切な治療が受けられないこともあるため、説明に納得がいかなければいったんやめる勇気も必要です」
クリニックの上手な選び方5か条
・安すぎる治療は慎重に
・クーポン内容が自分のシミ対策に合っているかの確認を
・カウンセラーの話ではなく医師が治療方針を決めているかどうか
・皮膚科専門医が常駐
・初診で回数や費用などの説明が明確
シミ取りは熟練した技が必要な施術
シミ治療には、がんに関わる恐ろしい一面もある。
「ホクロとシミを見分け、さらに皮膚がんの可能性のあるものは、専門の医療機関を紹介するといった対応が必要です。しかし、経験が浅い医師では見落とすこともあり、がんとわからずにレーザーを照射してしまうこともあります」
照射したことでがん細胞が転移する可能性もある。
クリニックの中には、集客のために安値クーポンを出しているところもあるが、つられて訪れたら、よく確認しないまま高額なシミ治療を契約してしまったというケースも少なくない。
「クーポンはクリニック選びに便利な反面、安いからといって安易に利用してレーザー照射をしてしまうと、肌へ負担がかかるだけでなく、適切なケアがされないことも。
また、シミ治療のレーザーも看護師が照射を行っているところが少なくありません。治療の難しさを考えると適切とはいえません」
最初に費用や回数、デメリットの説明などに納得できるか、など自分に合うところかを見極めることが大切だ。
さらにクリニック選びを追求するなら、所有するレーザー機器レベルのチェックも。
「一般的にシミ治療に用いるQスイッチレーザーはシミ治療の効果は十分高いけれど、治療後のかさぶたが目立ち、炎症後色素沈着が長いというデメリットもあります。最新式は“ピコセカンドレーザー”です。
メーカーによって切れ味にも違いがありますが、治療後のダウンタイムが最小限に抑えられ、シミ治療の上位機種といえます」
ただ、高い最新式の機材を持っていても、シミの診断や技術が伴っていなければやはりトラブルにつながる。
「シミ治療だけなら、レーザー治療を行っている町の皮膚科クリニックでもトラブルは少ないと思います。シミ取りは照射設定や角度など、熟練した技が必要な治療です。経験豊富な皮膚科専門クリニックでの治療をオススメします」
シミはなんといっても日焼け対策が大切。特にこれからの季節は“うっかり日焼け”が致命的。
できてしまったシミのケアをしながら、予防もぬかりなく、自分の肌をいたわろう。
◆ 最新シミ取り施術 ◆
超短パルスで切れ味最高“ピコレーザー”。
ピコレーザーはパルス幅が従来機の1000分の1、ピコ秒(1兆分の1秒)単位。パルス幅とはレーザーを一発発振したときの照射時間だ。Qスイッチレーザーと比べて強い衝撃波を発振し、薄いシミまで消せる画期的なレーザー。
「熱によるダメージが大幅に減少し、痛みや照射後のかさぶた、炎症後色素沈着が最小限に抑えられます」(慶田先生)
(取材・文/ますみかん)