女子児童らにわいせつな行為をしたとして、罪に問われている大阪狭山市の元市議会議員・井上健太郎被告。4月26日、大阪地裁で行われた初公判で、井上被告は「とてもひどいことをした。反省している」と述べ、起訴内容を認めた。
事件当時、『週刊女性PRIME』は元市議が起こしたおぞましい事件を追っていた。
(以下は、2023年2月13日に配信した記事の再掲載です)
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3年前の9月中旬。大阪府内で地元政治家が主催する1泊2日のレクリエーションイベントに参加した小学生の男女8人は、宿泊施設で消灯時間を迎え、それぞれに割り振られた2段ベッドにもぐりこんだ。
非日常生活の興奮もあってか、横になってもなかなか寝つけない。
すると、引率責任者の政治家がスマートフォンのライトを頼りに部屋に入ってきた。おとなしく寝ているか“見回り”に来たのだと思い、寝たふりをすることに。自分のベッドに近づいてくる――。
女児4人の身体を順繰りに触る
「“修学旅行あるある”のような展開ですが、このあとの展開がひどい。寝ているかどうかスマホで照らして確認した上で、当時10〜11歳の女児4人の身体を順繰りに触ったというんです。子育てや教育・青少年育成政策に力を入れる政治家だったため、信頼を裏切る犯行に保護者や支援者らは大きなショックを受けています」(全国紙社会部記者)
イベントに参加した女児4人の身体を触ったとして大阪府警捜査1課が2日、強制わいせつの疑いで逮捕したのは大阪狭山市の市議会副議長を務めるベテラン市議・井上健太郎容疑者(54)。
同課によると、「わいせつな行為はしていない」と容疑を否認している。
井上容疑者は女児が寝ていると思い込んで犯行におよんだのだろうが、実際は“うそ寝”だったため、女児は何をされたかわかっていたという。
捜査関係者はこう話す。
「照らした光で起きてしまった子もいる。被害者心情を考えると犯行の詳細は明かせないが、何かの拍子にサッと身体に触れてしまったとか、肩をポンと叩くような触れ方ではない。女児は寝たふりをしながら、触られるのが嫌で、抵抗するように身体を動かしたりしている」
“お触り”キャンプのおぞましい実態
女児が身体を動かすと、起きてしまうことを警戒してか、いったんベッドを離れるなど手を止めたという。それでも諦めず、3、4回戻って来てまた触ったというからひどい。
「被害女児はそれぞれ“気持ち悪かった”と言っている。“顔を見るのもイヤ”と拒絶反応を示したり、“気分が悪くなった”と体調不良に陥ったことを打ち明けた子もいる」(前出の捜査関係者)
犯行の発覚が遅れた大きな要因のひとつが、市議会議員という肩書きだ。
井上容疑者は議員活動のかたわら、おもに小・中学生を対象とするキャンプやネイチャーゲームなどの自然体験教室を20年以上も主催。自ら「健ちゃんキャンプ」と名付けて参加者を募り、地元ではアウトドア指導者としても知られていた。府内のほか京都府や兵庫県にも活動の幅を広げ、同市のこども会副会長も務めるなど信頼の置ける人物のはずだった。
前出の記者は言う。
「犯行の翌日、女児同士は被害に遭ったことを互いに話したようです。解散後、車で迎えに来た親にも被害を話したものの、勘違いではないかと深刻に受け止められなかった。なにしろ子ども政策に真剣に取り組む市議ですしね。それで心の奥に封印していたようですが、昨年春、被害女児同士がこの“悪い思い出”についてSNSでやりとりしているのに親が気付き、あらためて話を聞いたところ、複数が涙ながらに被害を訴えたといいます」
保護者は連絡を取り合い、被害者が複数いることを確認。4人もそろって「勘違い」することはないだろうと昨年9月、警察に被害相談したのが捜査のきっかけとなった。
「逮捕後、被害女児の保護者らが出した声明にも驚きました。井上容疑者は『女の子たちの入浴中に風呂場に入ってきたり、写真を撮ったりした事があった』というんです」
と前出の記者。
そもそも、女性スタッフと同行していたのだから、あえて女児の寝室や風呂場に入る正当な理由は見当たらない。
また、容疑者は警察に対し、過去に引率してきた女児を念頭に「寝ている女の子を着替えさせてあげたことはある」とも話しているという。
仮に寝汗をかいていたとしても、起こさずに着替えさせるのは不自然な行動だ。
警察はほかに被害者がいないかなどを含め慎重に調べを進めている。
井上容疑者は大阪狭山市の出身。地元の公立小・中学校を経て府立高校を卒業。市内で郵便配達職員として15年勤務し、2003年の市議選で初当選した。11年選挙では落選の憂き目に遭ったが、現在4期目の無所属のベテラン議員だ。議会では小会派を組んで代表を務め、昨年5月には副議長職に就いた。
同僚の市議はこう話す。
「事件を起こしたとされるのは、彼がライフワークとして取り組んできた子どもの自然体験指導の場。ボーイスカウト経験があるため野外活動は手慣れており、火おこしも着火剤など使わない本格派だった。欲しがるものを安易に与える過保護は子どもをダメにすると言い、自己判断力を養うために熱中症対策の水分補給のタイミングや摂取量も子どもたち自身に考えさせていた。イベントの最後には必ず集合して総括と反省をする。暴力は振るっていないだろうが、言い方はキツかったかもしれない。好きなテレビ番組は朝ドラと大河ドラマという昭和のマジメ男なので、逮捕は信じられない」
「もうあのキャンプには行かない」拒否する子どもも
井上容疑者の主催する野外イベントに子どもを参加させたことがある女性は「規律に厳しすぎる印象を持った」と話す。
「周囲の子どもと少し違うことをしたら、“何を勝手なことしとんのや!”と叱り飛ばされたらしい。親以外の大人から怒られることに慣れていないから怖かったようで、“もうあのキャンプには行かない”とビビっていました」(同女性)
厳しいのはアウトドアのフィールドだけではない。議員としても骨太だったようだ。
前出の市議は言う。
「同僚市議のなかでは最もことの善悪について意見が鋭く、市長側からすればうるさい議員だったろう。イエスマンの真逆だから市の提案を簡単には受け入れない。本来、市政をチェックする市議はそうあるべきなんだが」
市長をしつこく糾弾することもあったという。
別の会派の同僚議員はこう話す。
「真摯に議員活動に取り組み、彼が提案して実現にこぎつけた政策もある。子どもへの性的関心を匂わすことなど全くなかった。強いて問題点を挙げるならば何にでも熱心すぎる傾向があることぐらい。逮捕後、市民からは“なんでそんな人物を副議長にしたんや”とお叱りを受けている。勾留中も議員報酬は支払われ続けるため、市民感覚で納得してもらえる対応ができないか検討する必要がある」
市内ニュータウンの一角にある集合住宅で暮らす。同じ集合住宅に住む女性は井上容疑者について「健康的だった」と話す。
「夜明け前からジョギングに出かけるなどストイックなスポーツマンです。1年を通じて日焼けしていて、奥さんと成人した息子さん、娘さんがいます。家族でサッカーのガンバ大阪の応援に出かけるなど仲はよさそうでしたよ」(同女性)
実際、愛妻家なのだろう。
議員活動などをつぶさに報告する日々のブログでも触れている。その日が何の日であるかをテーマに、問いかけを自分で考え、自分で答えるのがお決まりのパターンなのだが、
昨年11月22日には、
《今日は「いい夫婦の日」。パートナーの我慢できない・許せるところは? そういうのとは、無縁だなぁ。本当にありがたいことに、あるがままに最高のパートナー》
とベタ褒め。
今年1月31日は、
《今日は「愛妻家の日」。夫婦内のルールある? ルールっていうより、あるのは、一途な愛くらいかな》
とノロけるほどだった。
キャッチフレーズは「こどもたちに夢と希望を」
少年時代はどんな存在だったのか。中学時代はサッカー部で活動し、当時からまじめ一本だったという。
「秀才ではなかったが、勉強ができないわけでもなかった。筋の通らないことが大嫌いな熱血漢。リーダータイプだったから、市民に尽くす政治家は天職かもしれないと思っていたのに」
と中学の同級生。
納得できないことがあると、相手が先生であっても物怖じせず「それはおかしいんとちゃいますか」などと食い下がったという。
前回19年選挙は議員定数15のうち11番目の得票で当選。キャッチフレーズは「こどもたちに夢と希望を。しあわせ・笑顔あふれるまちに」だった。
約束します!と市民に強調したのは、
《安心して子育てできるまちにします》
《青少年のために教育に力を入れます》
《いつまでも安心して暮らせるまちづくり》
4月の統一地方選で改選を控える中、公約を見事に裏切る嫌疑での逮捕となった。