5月4日、エンゼルスの大谷翔平はメジャー通算「500奪三振&100本塁打」に到達し、ベーブ・ルース以来史上2人目となる偉業を成し遂げた。
「メジャーで本格的に二刀流に挑戦した'21年以降、大谷選手は投打で記録を次々と打ち立てていき、いまや“野球の神様”ベーブ・ルース以来か史上初かという状況になっています。二刀流の難しさは誰もが認めるところですが、過去2シーズンを戦い抜いて今季も好調な滑り出し。もはや、その活躍が日常茶飯事になってしまい、見ている側の感覚がマヒしていますよ(笑)」(スポーツ紙記者、以下同)
『鬼滅の刃』も“ほぼ読んだ”
3月に行われたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では、侍ジャパンを優勝に導く活躍で大会MVPに輝いた。シーズン開幕前の大会とあって調整が難しく、代表メンバーの中には現在調子を落としている選手もいるが、大谷には関係がない。
「継続的に高いパフォーマンスを発揮できるのは、毎日のストイックな体調管理やトレーニングがあってこそ。そのように自分を律することができるのは、読書で精神面を鍛えているからだともいわれています」
'18年までの日本ハム在籍時には、寮の自室に多くの本が置かれており、トレーニングや栄養に関するものだけでなく、自己啓発本やビジネス書も愛読。
「かなりの読書家で、移動の合間などに時間があれば本を開き、1日に1冊を読み終えてしまうこともあるとか。そもそも読書が好きなので、専門書だけでなく、漫画も楽しんでいるようです」
過去のインタビューで、当時日本でブームとなっていた『鬼滅の刃』について聞かれた際には、“漫画でほぼ読んだ”と語り、ファンを驚かせた。
アニメも好きで、'21年には“毎週楽しみにしていた”というアニメ『呪術廻戦』の楽曲を、打席に立つ際の登場曲に採用していたことも。
「エンゼルスの同僚からおすすめのアニメを聞かれ、『進撃の巨人』や『キングダム』、『HUNTER×HUNTER』を教えたそうです。インドア派なので必要がなければ外出はせず、ニューヨークに遠征で訪れても、一度も街に繰り出したことがないそうです。身体を休めながら、いろいろな漫画やアニメを楽しんでいるのでしょう」
映画版『スラムダンク』はアメリカ上映がない
そんな大谷が、特にハマっている作品が『スラムダンク』。日本ハム時代、寮の風呂の脱衣所には、『スラムダンク』の単行本が置かれており、ここで全巻読破して夢中になったという。
「井上雄彦さんによるバスケットボール漫画で、累計発行部数は1億2000万部以上。大谷選手は全巻を買いそろえていて、これまで何十回と読み返したとか。日本ハム退団時に『スラムダンク』のキャラクターのイラストを描き残したり、インスタグラムのストーリーでは漫画に登場する名言を引用したり。
私生活をオープンにしない大谷選手にしては珍しく“偏愛っぷり”をアピールしています。同じく井上さんの作品で、車いすバスケットボールを題材にした漫画『リアル』も読んでおり、井上さんのSNSをフォローするなど、並々ならぬ思い入れがあるんです」(漫画誌ライター、以下同)
過去にはインタビューでも井上作品について、
《面白いというより、本当にいいマンガで、感じるものがあるなって》
と語っていた大谷。
昨年12月8日には、スラムダンクの新作アニメ映画『THE FIRST SLAM DUNK』が公開。日本での興行収入は130億円を突破し、中国や韓国などのアジア各国でも大ヒット。だが、この映画はアメリカでの公開が“未定”となっている。
「実は、『スラムダンク』は日本国内の人気に反して、アメリカでは人気がほとんどありません。そのために、映画の公開予定はないそうです」
アメリカでの人気がいまひとつな理由について、漫画評論家の島田一志氏に話を聞いた。
「『ドラゴンボール』や『ナルト』などは昔からアメリカでも人気ですが、共通しているのは“超能力バトル”や“SF”といった現実離れした要素があること。一方、『スラムダンク』は“超人”が登場するわけではなく、初心者の主人公が練習してのし上がっていくという、王道の“スポ根漫画”です。
NBAやMLBなど、日常的に世界最高峰のプロスポーツを観戦できるアメリカ人にとって、リアリティーのあるスポーツ漫画は地味に見えてしまい、手を伸ばしにくいのでしょう」
帰国時にお忍びで映画館に!?
現時点で映画『スラムダンク』はネット配信が行われていないため、アメリカでは観賞する方法はない。これには大谷もさぞかし悔しがっているだろう……と思いきや、すでに映画にもどハマりの様子。
「1月にインスタグラムに自身のトレーニング映像をアップしたのですが、映画のエンディング主題歌がBGMとして流れていました。シーズン前に行われた3月後半のオープン戦でも、オープニング主題歌を打席に向かう際の登場曲として採用。これには“大谷は『スラムダンク』の映画をどこで見たんだ!?”とSNSがざわつきました。大谷選手クラスであれば、特別に映画会社から試写映像をもらえたのかもしれませんが……」(前出・スポーツ紙記者)
そこで、『週刊女性』は配給会社の東映に問い合わせたが、
「試写映像の提供は行っておりません」
との回答。
そうなると、大谷は日本のどこかの映画館で観賞していた……?
「大谷選手は昨年の10月半ばに帰国してから、1月半ばにキャンプインのために渡米するまでの3か月間、オフシーズンを日本で過ごしました。基本的には都内の自宅マンションとジムを往復する日々で、この間に外食したのはわずか4回だといいます。相変わらずのストイックぶりですが、高校の同級生や友人と食事で息抜きもしていましたし、年末にジムが休館していた間に、お忍びで映画館を訪れていた可能性は十分考えられます」(前出・スポーツ紙記者)
“野球ファースト”を貫いて前人未到の域に到達したスーパースターが夢中の『THE FIRST SLAM DUNK』。大谷の影響力で、アメリカでも『スラムダンク』を流行らせてほしい!!
島田一志 1969年生まれ。漫画評論家、編集者。著書・共著に『コロナと漫画〜7人の漫画家が語るパンデミックと創作〜』『ワルの漫画術』『漫画家、映画を語る。』『マンガの現在地!』など