お住まいの玄関でお子さま方に見送られながら、イギリスへ出発された秋篠宮ご夫妻(5月4日)

 5月6日にイギリスのウェストミンスター寺院で執り行われたチャールズ国王の戴冠式。1953年のエリザベス女王の戴冠式以来、70年ぶりに行われる歴史的行事に世界中から注目が集まった。

「エリザベス女王のときは8200人超が出席したのに対し、今回は約2200人と小規模でした。チャールズ国王の次男で、今年1月に“暴露本”を出版したヘンリー王子の参列が大きな関心事となりましたが、各国の王室からも錚々たるメンバーが集結していましたね」(全国紙記者)

秋篠宮ご夫妻が戴冠式参列が妥当な理由

 オランダのウィレム・アレクサンダー国王夫妻やスペインのフェリペ6世国王夫妻、スウェーデンのグスタフ国王など豪華な顔ぶれの中、日本からは皇位継承順位が1位の『皇嗣』である秋篠宮さまが、妻の紀子さまとともに参列された。

「招待を受けたのは天皇陛下でしたが、“日本の天皇が戴冠式に出席した前例はない”ということを考慮し、両陛下と相談した結果、秋篠宮ご夫妻のご参列が決まったそうです」(同・全国紙記者)

 国民からは“なぜ両陛下ではなく、秋篠宮ご夫妻が参列されるのか”との批判が相次いだが、これには事情がある。

「両陛下はお代替わり後、エリザベス女王から国賓としてイギリスへの招待を受けました。ただ、新型コロナの影響で訪英が先延ばしに。そして昨年9月、再会が叶わぬままエリザベス女王がお亡くなりになりました」(皇室ジャーナリスト)

 イギリスで行われた女王の国葬には両陛下も参列されたが、生前に受けた招待がなかったことになるわけではない。訪英は近いうちに実現するとみられている。

「仮に戴冠式に両陛下が参列されたとすると、国葬、戴冠式、国賓としての公式訪問と、短期間に3回もイギリスを訪問されることになります。これでは諸外国との公平性が保たれず、秋篠宮ご夫妻のご出席は妥当だったといえます」(同・皇室ジャーナリスト)

 戴冠式当日が近づくにつれ、秋篠宮ご夫妻への逆風は強まっていったが、

「紀子さまは張り切っておられるご様子でした。政府専用機のご搭乗はもちろん、イギリスへの公式訪問も、他国の戴冠式へ出席されるのも初めて。日本の“次期天皇の妻”として、世界中に認知される貴重な機会を大切にしたいというお気持ちが感じられました」(宮内庁関係者)

紀子さまの「園遊会」への意気込み

 抜かりなく準備を進めてこられたが、出発前日には想定外のアクシデントも。

「5月3日、同行を予定していた職員のコロナ感染が判明したのです。ご夫妻は濃厚接触者ではありませんでしたが、緊迫した空気が漂ったことは言うまでもありません」(同・宮内庁関係者)

 こうして迎えた出発当日。赤坂御用地を後にした紀子さまは、沿道に集まった約20人の前で車窓を開け、最高の笑顔を披露されたのだった。

 イギリスには同4日から7日まで滞在し、5日にはバッキンガム宮殿で開かれたチャールズ国王主催のレセプションに、ご夫妻で出席された。紀子さまは、各国の王室と積極的に交流されていたという。

エリザベス女王の長男で、74歳のチャールズ国王

「皇室外交といえば、元外交官の雅子さまのイメージが強く、これまでの紀子さまは、控えめな印象でした。しかし今回の訪英により、悲願の“海外デビュー”を果たされたことで、皇嗣妃として自信をつけられたとお見受けします」(宮内庁OB)

 国内で湧き起こる批判を背に、イギリスで大役をこなされた秋篠宮ご夫妻。帰国後は、張りつめていた糸が一気に切れてしまいそうなものだが、

「5月11日には『園遊会』が'18年11月以来、4年半ぶりに開催されます。紀子さまには“園遊会でも存在感を示したい”との意気込みがうかがえますね」(前出・宮内庁関係者)

 春と秋の年2回、赤坂御苑で行われる園遊会。コロナ禍の影響で中止が続いていたため、令和になって初めての開催となる。

「感染状況などを踏まえて、参加者はマスク着用、ソフトドリンクの提供のみになるなどの対策が講じられます。例年だと約2000人の招待者も1300人ほどに絞られました。
今回は、国民栄誉賞を授与された車いすテニスの国枝慎吾さんや、スピードスケートの高木美帆選手など、多くのメダリストが出席する予定です」(皇室担当記者)

天皇家との二重権力化の懸念

 皇室の方々が勢ぞろいし、招待者と懇談されるシーンは華やかだが、対面する相手について、どれほどの情報を事前に収集なさっているかなど皇族としての“力量”が問われるという側面も持つ。

「療養中の雅子さまが、継続的に園遊会に出席されるようになったのは'15年からですが、それ以降も体調面の大事をとって中座されることは多かった。それほど、プレッシャーが大きい行事なのです」(前出・宮内庁OB)

 だが、こうした場面でこそ紀子さまの“真骨頂”が発揮されるという。

「紀子さまはこれまで、皇后時代の美智子さまをお手本として慕われてきました。公務に臨まれる映像を繰り返しご覧になり、所作を学んでこられたという話もあります。
訪英を経て“次期皇后”としての自負を強められたこともあり、余勢を駆って園遊会に臨まれるでしょう。そのお姿に、雅子さまが圧倒されてしまわれないかが少し心配です」
(秋篠宮家関係者)

園遊会には両陛下や秋篠宮ご夫妻をはじめとした皇族方が勢ぞろいする(写真は'18年4月)

 皇室制度に詳しい静岡福祉大学の小田部雄次名誉教授は、天皇家と秋篠宮家のバランスについて懸念を示す。

「戴冠式しかり、ここ最近は秋篠宮ご夫妻の活動が目立ち、“二重権力化”が危惧されます。初めての英国公式訪問、戴冠式出席を果たしたことで気分の高揚もおありでしょうが、両陛下より“一歩身を引いた立場”を意識なさることが大切だと思います」

 園遊会での“紀子さまスマイル”の裏に、どのような本音が隠されているのだろうか。


小田部雄次 静岡福祉大学名誉教授。日本近現代皇室史を専門とし、『皇室と学問 昭和天皇の粘菌学から秋篠宮の鳥学まで』など著書多数