「炎上騒動を受けてのコメントを読みましたが、スープストックトーキョーの対応は完璧だったと思います」とは大手広告代理店勤務のコミュニケーションディレクターの談。自身も1歳の娘を絶賛育児中の母である。
「スープストックトーキョー」は、女性のおひとりさま客で混み合う人気スープ専門チェーン店だ。そのスープストックトーキョーが4月18日、生後9~11か月(目安)の赤ちゃん向けに離乳食を無料で提供すると発表。ネット上では「一部の客が優遇されるのはおかしい」「子連れで混むならもう行かない」と物議を醸したのだ。
「今回の炎上は、わかりやすく言ってしまえば、子ども施策にとことんネガティブな“アンチファミリー”の独身層が、“また子連れ優位施策かよ”とふてくされただけ。本質的にスープストックが問題視されたというよりは、その“独女vs子連れ”の対立構造の格好のネタになったんだろうなと思います」(同・コミュニケーションディレクター)
《すべての方々の体温をあげていきたい》見事な声明文
この炎上を受けて、1週間後の同月26日に公式HPに掲載された企業の声明文が見事だと話題に。
《私たちは、お客様を年齢や性別、お子さま連れかどうかで区別をし、ある特定のお客様だけを優遇するような考えはありません。私たちは、私たちのスープやサービスに価値を見出していただけるすべての方々の体温をあげていきたいと心から願っています。皆さまからのご意見を受け止めつつ、これからも変わらずひとりひとりのお客様を大切にしていきます。世の中の環境の変化が激しい中、社会が抱える課題もさまざまです。それらを私たちがすべて解決できるとは思っていません。でも、小さくてもできることもあるとまじめに思っています(一部抜粋・原文ママ)》
安易で定型的な謝罪表現は一切使わず、企業理念と具体的な過去の取り組みを改めて伝え、特定の立場のユーザーを切り捨てることもしなかったのだ。
今年の母の日ギフトは……? 噂の広報に尋ねた
「現状はどうあれ、“われわれは(ちまたで言われている)女性版・吉野家ではない”というスープストックのスタンスも明確ですし、今回の騒動は正直痛くもかゆくもないのかなとは思います。思慮分別のある子連れ層とは別に、迷惑子連れ客がいるのも事実なので、実際そういう迷惑客がどれほど店舗にダメージを与えるか、という問題はあるかも。ただ駅前の狭小スペースで営業しているようなスープストックは変わらず女性おひとりさま客でいっぱいだと思うので、子連れとなるとある程度大箱の店舗を選ぶだろうから、実際そんなに居合わせないのでは? と思います」(同・前)
むしろこの機会に企業イメージを爆上げすることに成功した感のあるスープストックトーキョー。今年の母の日ギフトは、さぞかし売れ行き好調なのでは? 噂の広報に尋ねたところ、
《年々大きな反響をいただいており、今年も例年どおりとても多くの方のお祝いとしてご利用いただいております》(株式会社スープストックトーキョーPR室、以下同)
LINEギフトなどの“デジタルギフト”はどうか。
《何かの反響であるかという点は抜きにしまして、年々大きな反響をいただくようになってきております。私たちのスープが“誰かの大切な気持ちをお届けするお手伝い”ができていると考えますと大変うれしく思っております。そのお気持ちをより多様な方法でお届けしやすくするための手法は日々模索しておりまして、デジタルのギフトは特にご利用者が増えております。今後新しいサービスも開始する予定です》─。
と、またしても完璧な返答。
子連れで飲食店に飛び込みで行くのはハードルが高い。キッズフレンドリーなお店かどうかはなかなか調べるのも大変なので、こういった表明は小さな子どもを持つ利用者としても安心だろう。
「今回の企業の姿勢は、実に凛としています。ただその凛とした姿勢を評価しすぎても、フェミ勢への批判とも捉えられかねないので慎重にならなければいけないところですね(笑)」(前出・コミュニケーションディレクター)