人気ウインナー20食べ比べ頂上対決!(撮影/矢島泰輔)

 朝食やお弁当のおかずとして大活躍のウインナー。料理研究家のさわけんさんによると「昔は皮なしのウインナーや魚肉ソーセージが広く流通していましたが、ある商品の登場により日本のウインナーのイメージが大きく変わりました」と言う。

 それが、1985年に発売された『シャウエッセン』だ。

スーパーやコンビニのNo.1ウインナーは?

「その年の日経流通新聞のヒット商品番付で『東の小結』に選ばれるほどの大ヒットを記録。その後、『シャウエッセン』は瞬く間に日本のウインナーのスタンダードになったんです。

 ケーシングには羊の腸を使い、噛んだ時の『パリッ』とした食感を重視しています。さらに、それまでは焼く調理法が一般的でしたが、シャウエッセンによってゆでる調理法が広がりました」※一般的に「皮」と呼ばれる部分、ソーセージを包む薄い膜のこと

 しっかりとした歯ごたえが楽しめる皮も、ゆでる調理法も、ウインナーの本場・ドイツのスタンダードスタイル。シャウエッセンは日本のウインナーを、より本場の味に近づけた存在といえる。

 フードプロデューサーの石川範子さんも「パリッとした食感で、燻製の香りをはっきりと押し出すウインナーが正統派になったことで、王道に近づけようとしている商品が続々と増えた印象。だからこそ、あえてメジャー路線から外れ、独自の個性を押し出した商品も登場していて二極化していますね」と話す。

20種のウインナーを食べ比べするさわけんさん(右)と石川範子さん(左)(撮影/矢島泰輔)

 今回は身近で手に入りやすい20商品をゆでて、食のプロ2人が実食。「味」「食感」「香り」の3項目をそれぞれ5点満点とし、合計点の順にランキング。プロをうならせたのはどれ!?

意外と知らないウインナー

1.ソーセージ・ウインナー・フランクフルト、その違いって何?

「ソーセージ」は、スパイスやハーブで味つけした肉を、動物の腸などのケーシングに詰めた食品の総称です。ソーセージの中で、ケーシングに羊の腸を使っているものが「ウインナー」、豚の腸を使っているものが「フランクフルト」と呼ばれます。

 そのためウインナーは細め、フランクフルトは太めのものが多いのです(さわけんさん)。(※以下、Sはさわけんさん、Iは石川さん)

2.袋の裏面の「特級」や「上級」にはどんな意味があるの?

 JAS(日本農林規格)が定めたウインナーの規格で、「標準」「上級」「特級」「特色JAS」の4種のランクがある。「特級」は原材料に豚肉および牛肉、それらの脂肪層、調味料、香辛料のみを使用。

「上級」は、特級の内容に加えつなぎが5%以下、「標準」は豚、牛、羊、うさぎ、あひるなどの肉につなぎが10%以下などと定められている。

袋の裏面の「特級」や「上級」にはどんな意味があるの?(撮影/矢島泰輔)

気になるウインナー食べ比べの結果は!?

〈第14位〉グリーンマーク あらびきポークウインナー
92g/信州ハム 321円

 ナチュラルさを貫く姿勢は高評価。

〈第14位〉グリーンマークあらびきポークウインナー(撮影/矢島泰輔)

「無塩せき(発色剤不使用)はうれしいけれど、味も香りも落ち着きすぎ。スパイスやハーブを足すとよさそう」(S)

「少し肉がぼそっとしますが、安全性では高評価」(I)

同率〈第14位〉シュマッツェン あらびきウインナー
117g×2袋/滝沢ハム 386円

 ジューシーが過ぎて若干オイリーに。

同率〈第14位〉シュマッツェンあらびきウインナー(撮影/矢島泰輔)

「滝沢ハムとマルエツが共同開発した商品。脂でジューシーさを作り出している感じがします」(S)

「ほかとかぶらない作りではあるけれど、やや脂っぽい」(I)

〈第13位〉燻製屋 熟成あらびき ポークウインナー
90g×2袋/丸大食品 311円

 こしょうの刺激がパンチをきかせる。

〈第13位〉燻製屋熟成あらびきポークウインナー(撮影/矢島泰輔) ※画像をクリックするとAmazonの商品ページにジャンプします。

「脂が少なめなのでジューシーさはもの足りないかも。こしょうの味が強いので、おつまみに最適です」(S)

「商品名のわりには燻製感や熟成感は控えめです」(I)

〈第12位〉朝のフレッシュ あらびき ポークウインナー
92g×2袋/伊藤ハム 321円

 塩気と皮のかたさが際立っている。

〈第12位〉朝のフレッシュあらびきポークウインナー(撮影/矢島泰輔) ※画像をクリックするとAmazonの商品ページにジャンプします。

「ハッキリとした強い味。噛み切るのに苦戦するほど皮がかたい」(S)

「塩分とスパイスが結構アピールしています。野菜や目玉焼きと合わせるとちょうどいい濃さ」(I)

〈第11位〉香薫 あらびきポーク 90g×2袋/プリマハム 323円

「香薫」の名に恥じず、香りは二重丸。

〈第11位〉香薫あらびきポーク(撮影/矢島泰輔) ※画像をクリックするとAmazonの商品ページにジャンプします。

「燻製チップの香りを強調しすぎると酸っぱくなりがちなのですが、これは酸味は感じられずグッド」(S)

「香りはいいのですが、肉本来の味より砂糖と塩の味が前面に出すぎかも」(I)

〈第10位〉あらびきポークウインナー 75g/ローソンストア100 117円

 定番の食感と香りをこの値段で実現。

〈第10位〉あらびきポークウインナー(撮影/矢島泰輔)

「ウインナーはゆでると香りが飛びやすいのですが、これは燻製香がはっきりと残っています。食感はやわらかめです」(S)

「“ザ・ウインナー”という味と香りを味わえる商品です」(I)

〈第9位〉豊潤 あらびきウインナー 90g×2袋/ニッポンハム 278円

 ジューシーなお肉のうまみが広がります。

〈第9位〉豊潤あらびきウインナー(撮影/矢島泰輔)

「ジューシーさは上位のウインナーにも劣りません。羊腸を使っていますが、皮はやわらかめです」(S)

「食べた後も特製ブレンドのスパイスの風味を感じます」(I)

〈第8位〉あらびきウインナー 97g/ローソン 148円

 ハードな皮の食感が食べた後も余韻を残す。

〈第8位〉あらびきウインナー(撮影/矢島泰輔)

「直線的な形状は意外と珍しいですね。スモークの香りとジューシー感は強すぎずほどよいです」(S)

「皮のかたさのインパクトが強いです。味はシンプル」(I)

〈第7位〉溢れる肉汁 あらびきポークウインナー
90g×2袋/西友 278円

 その名のとおり肉汁があふれ出す!

〈第7位〉溢れる肉汁あらびきポークウインナー(撮影/矢島泰輔)

「燻製香の自然さやあふれ出る肉汁に、技術を結集して作り上げた感じがします」(S)

「やや甘めの味つけ。コスパがよく家計にやさしいですね」(I)

〈第6位〉森の薫りあらびきウインナー 170g/ニッポンハム 310円

 発色剤&保存料フリーの自然派ウインナー。

〈第6位〉森の薫りあらびきウインナー(撮影/矢島泰輔)

「塩せき剤不使用のやさしいウインナーで、総じて“おだやか”な印象」(S)

「スパイス感も強すぎなくて食べやすいです。自然派なウインナーを求める人に」(I)

ウインナー食べ比べランキングTOP5!

〈第5位〉御殿場高原あらびきポーク 190g/米久 321円

 無難でどんなシーンにも合わせやすい。

〈第5位〉御殿場高原あらびきポーク(撮影/矢島泰輔) ※画像をクリックするとAmazonの商品ページにジャンプします。

「スタンダードな仕上がりのウインナーです。パンに挟んでホットドッグにしても美味しそう」(S)

「最後までスパイス感が残りますね。食感もよく、ほどよくジューシー、万人受けする味です」(I)

〈第4位〉シャウエッセン 117g×2袋/ニッポンハム 429円

 天然羊腸使用でパリッと感は随一!

〈第4位〉シャウエッセン(撮影/矢島泰輔) ※画像をクリックするとAmazonの商品ページにジャンプします。

「弾けるようなパリッと感はダントツ。皮に天然の羊腸を使っているだけのことはあります」(S)

「粗びきで好まれる味わい、香りのインパクトも強烈です」(I)

〈第3位〉超あらびきソーセージ 144g/米久 321円

 さわやかなハーブの香りが魅力。

〈第3位〉超あらびきソーセージ(撮影/矢島泰輔)

「燻製香が強く感じられるウインナーが多いなか、ハーブの香りが際立っていました。肉感も十分に感じられます」(S)

「食感もやわらかく、味もマイルドな印象です。シンプルにそのまま食べるのはもちろん、料理の具材として使っても美味しいと思います」(I)

〈第2位〉7プレミアム あらびきウインナー
112g/セブン-イレブン 170円

 セブンのPBウインナーは王道の味わい。

〈第2位〉7プレミアムあらびきウインナー(撮影/矢島泰輔)

「個性が突出しているというよりはバランス型で、みんなが好きなスタンダードな味です。皮はややかためかもしれません」(S)

「この値段でこの美味しさは、コスパがいいですね。朝食やお弁当のおかずなど、日常的に食べるウインナーにピッタリではないでしょうか」(I)

〈第1位〉鎌倉ハム あらびきポークウインナー 180g/鎌倉ハム 419円

 味、香り、食感、すべてがハイクオリティー!

〈第1位〉鎌倉ハムあらびきポークウインナー(撮影/矢島泰輔)

「燻製の香りが強いですが酸っぱさや雑味はなく、味つけで使われているこしょうの主張もちょうどいい。味、香り、食感、それぞれの調和がとれていて、文句なしの1位だと思います」(S)

「わざとらしくない皮のパリッと感が素晴らしい!いい意味でマスタードなどをつけたくなる味」(I)

 値段は比較的高いがそれに見合った味わいで納得の1位。

惜しい! ランク外の商品はこちら

グランドアルトバイエルン 120g×2袋/伊藤ハム 409円

グランドアルトバイエルン(撮影/矢島泰輔) ※画像をクリックするとAmazonの商品ページにジャンプします。

「やや人工的な感じもしますが、うまみはしっかり感じられます。肉汁の量もほどよいですね」(I)

あらびきウインナー 98g/ファミリーマート 175円

あらびきウインナー(撮影/矢島泰輔)

「砂糖で甘めに味つけされています。やわらかいのでお年寄りや子どもにはうれしいかも」(S)

クレイジーソルト 特級あらびきウインナースモークタイプ
114g/丸大ハム 331円

クレイジーソルト特級あらびきウインナースモークタイプ(撮影/矢島泰輔)

「オレガノの味が強いのでお酒のおつまみに」(S)、「『クレイジーソルト』の味わいそのままです」(I)

あらびきポークウインナー 130g/トップバリュ 194円

あらびきポークウインナー(撮影/矢島泰輔)

「なぜかコーヒーのような独特な香りがします。ほかよりロングサイズなのはうれしいです」(I)

パリッと朝食ウインナー 210g/フードリエ 301円

パリッと朝食ウインナー(撮影/矢島泰輔)

「マスタードやケチャップをつけることありきで作っているのか、味つけが甘すぎます」(S)

さわけんさんに聞くウインナーの一押しレシピ

ボイルウインナーのホットドッグ

 ウインナー、パン、キャベツの異なる食感を楽しんで♪

ボイルウインナーのホットドッグ(撮影/矢島泰輔)

材料と【作り方】(2個分)

(1)フライパンに、せん切りカットキャベツ(1/2袋)を入れ、中火で火を通す。しんなりしたらカレー粉小さじ1/2を加えて炒める。

(2)ウインナー4本は袋の表示どおりにゆでて水けをきる。

(3)ホットドッグ用のパン2個に、(1)、(2)を等分に挟む。お好みでケチャップやマスタードをかける。

「ゆでる」と「焼く」では美味しいのはどっち?

「歯ごたえを楽しみたいならゆでるのがいちばんです。焼くと皮が破けてしまうことがあるので、カットせずそのままで食べる場合はあまりおすすめしません」とさわけんさん。

 焼く場合は、コールドスタートで常に焼き面を変えながら焼き、軽く色づいたら破れる前に取り出すのがコツ。

「ゆでる」と「焼く」では美味しいのはどっち?(撮影/矢島泰輔)

試食を終えて……

「今回はパリッと感の強いウインナーを上位にしましたが、食べる人、食べるシーンによっては、やわらかいもののほうが良い場合も。種類が豊富なので、TPOに合わせて選んだり、みなさんも食べ比べを楽しんでほしいです」(S&I)

食のプロが人気のウインナーを分析!

さわけんさん●科学する料理研究家。キッチンまわり評論家。科学的に料理を考え、「狙ったとおりの料理」を作るレシピの達人。あらゆるメディアで多数の食品を食べ比べている。関西弁とメガネがトレードマーク。
さわけんさん●科学する料理研究家。キッチンまわり評論家。科学的に料理を考え、「狙ったとおりの料理」を作るレシピの達人。あらゆるメディアで多数の食品を食べ比べている。関西弁とメガネがトレードマーク。
石川範子さん●NHKの人気番組『ガッテン!』において、23年間にわたり食専門のディレクターとして活躍。大反響を呼ぶヒット回を多数生み出した。食材が持つ美味しさを引き出す食のスペシャリスト。
石川範子さん●NHKの人気番組『ガッテン!』において、23年間にわたり食専門のディレクターとして活躍。大反響を呼ぶヒット回を多数生み出した。食材が持つ美味しさを引き出す食のスペシャリスト。
取材・文/山中千絵(清談社) 撮影/矢島泰輔
※商品の価格(税込み)は編集部調べ(2023年3月現在)