なにかと出費の多い新年度の家計。待ったなしのピンチ、という人も多いのでは? そこで注目したいのが、国や地方自治体が行っている助成金や補助金だ。
誰も教えてくれない「もらえるお金2023」
「まずは、自分がどんな条件に該当するのか調べましょう。国や地方自治体には、申請しないともらえないお金の制度がかなりあります。向こうから、こんな制度がありますよと教えてくれないので、知っている人しかもらえない。
例えば、4月から出産育児一時金が42万円から50万円に増額されました。出産する子どもの数に応じて支給されるので、双子なら100万円。大きい額ですが、これも申請しなければもらえません。自分から情報を取りに行く必要があります」
そう話すのは、ファイナンシャルプランナーの福一由紀さんだ。
「自分が住んでいる市や区の広報を読んだり、ホームページをまめにチェックしたりするのは基本。例えば子育て系ですと、私が住んでいる神戸市には、高校生の高額定期券補助や妊産婦のタクシー券補助があります。
お子さんが学校に入る前、結婚・出産を控えた時期など、ライフイベントに応じて情報を確認するのを忘れずに」(福一さん、以下同)
申請のタイミングも重要。年度内で予算が終了すると申請期間内であっても、もらいそびれてしまうこともある。
【もらえるお金を管理できる便利なアプリ】
・Zaim
日本最大級のオンライン家計簿アプリ「Zaim」の中の「わたしの給付金」では、世帯構成や支出から国・地方自治体からもらえる給付金の情報をZaimが抽出。対象となる給付金がわかる。
ただし、地方自治体からの給付金の情報抽出にはプレミアム会員登録(有料)が必要。
・マチイロ
自治体アプリの決定版。約600を超える自治体の情報が1つのアプリで見られる。興味のある分野にしぼって、補助金や地域イベントなど、自分に合わせた情報が届くようにカスタマイズできる。
自治体独自の補助金制度がある
住んでいる地域や家族構成、年齢や収入によってもらえるお金は異なる。例を挙げると──。
大阪府茨木市では、多世代近居・同居支援事業補助制度(最大30万円)、高齢者世帯家賃助成金(最大5000円/月)、大学奨学金利子補給事業(最大2万円/年)。
群馬県桐生市では、電動アシスト自転車購入補助金(購入金額の4分の1(上限1万5000円)、空き家利活用助成(補助は条件によって上限70万円と100万円の2種類)、といった具合。
各自治体の支援の充実度を知ることは、今後の住まい選びのポイントにもなる。ただ、情報収集にたけていないシニア層はどうすればいいのか。
「役所に問い合わせるのが早道です。65歳以上の方なら、地域包括支援センターに足を運ぶのがおすすめです。
だいたい公立中学校の学区に一つはセンターがあります。そこではいろいろな情報を持っているので、日頃から仲良くしておくと何かあった時に、“こんなサービスが使えますよ”と教えてくれます。気楽な気持ちで利用してみてください」
地方自治体独自の注目の“もらえるお金”
医療・介護
補聴器の助成金制度
補聴器の購入時に補助が受けられる
東京都千代田区の場合上限5万円、など
住まい
住まいの防犯対策助成
玄関錠、防犯カメラや防犯灯の設置にあたり、助成金を支給
東京都荒川区、港区などの場合、購入金額の2分の1を助成、など
耐震化助成制度
耐震診断、耐震改修などに要する費用の一部を助成
東京都中央区の場合、工事費用の2分の1、など
暮らし
幼児同乗用自転車等の購入支援
3人乗り自転車の購入額の一部を負担
千葉県松戸市の場合、購入金額の2分の1、上限5万円まで助成など
生ごみ処理機購入助成制度
生ごみ処理機購入費の一部を助成
東京都千代田区の場合、購入価格の3分の2、上限3万円、など
介護・終活もサポートしてくれる
住まい関係では、3月31日から申請受け付けが始まった「住宅省エネ2023キャンペーン」に注目。
断熱窓への改修で最大200万円補助が受けられる「先進的窓リノベ事業」、省エネ効果の高い給湯器を設置する場合に上限5万~15万円補助が出る「給湯省エネ事業」、子育て・若者世帯を対象に省エネ性能の高い新築住宅の取得で100万円の補助などがある「こどもエコすまい支援事業」の3本柱。
それぞれ支給額が大きいので押さえておきたい。
ほかにも、生け垣を緑にする、庭を造るなどの工事費用が出る「生垣緑化助成」や、自宅をバリアフリーにするともらえる「介護保険住宅改修費」なども。
「介護リフォームでは、玄関や廊下に手すりを付ける、トイレを和式から洋式にする、床の段差をなくす、開き戸を引き戸にするなどの20万円までの改修費が給付対象で、最大9割支給されます」
ただし事前に要介護(要支援)認定の申請をする必要がある。介護保険は敷居が高い印象だが……。
「介護保険の適用範囲は広いので、ひとり暮らしで歩行に支障が出てきた場合などは要支援になります。本格的な介護が必要になる前に積極的に利用しましょう」
老いの先に待つのは終活。人生の最後にも申請しないともらえないお金がある。
「葬儀・埋葬に関する費用については、健康保険か国民保険かによって申請先と支給額が異なります。埋葬料(健保加入者)は5万円上限で実費支給、葬祭費(国保加入者)は数万~7万円程度(自治体による)です。
いずれも、葬祭を行った日から2年を過ぎると申請できません。火葬のみの場合は支給対象外となる自治体もあるので要注意です」
ゆりかごから墓場まで、もらえるお金は取りっぱぐれないようにしたい。
中高年世代が押さえたい“もらえるお金”
住まい
住宅省エネ2023キャンペーン
先進的な断熱性能の窓に交換するリフォーム、省エネ性能の高い高効率給湯器の設置、中古住宅の省エネ化リフォームなどに対する補助
窓の断熱化リフォームで最大200万円など
介護保険住宅改修費
国の介護保険を利用して、介護リフォームの補助金を受けられる
改修費用上限20万円、補助金の支給額はその9割の18万円まで(介護保険1割負担の場合)
生垣緑化助成
屋上や壁面などに緑化工事を行う民間の建築物に対する助成金を交付
自治体によって異なる(東京都世田谷区の場合、低木の生け垣1mあたり6000円など、上限25万円まで)
医療・介護
高額療養費制度
同一月の医療費の自己負担額のうち一定の金額を超えた分が、払い戻される
自己負担の限度額は個人や世帯の所得で異なる
高額介護サービス費
介護サービスの自己負担額のうち、同一月に一定の上限を超えた分が払い戻される
自己負担の限度額は個人や世帯の所得で異なる
家族介護慰労金
要介護度が高い高齢者を在宅介護している同居家族に支給
自治体によって異なる(大阪市、岡山市の場合、年額10万円など)
教育
高等学校等就学支援金制度
保護者の所得が一定以下の場合、高等学校の費用を国が一部負担
私立高校(全日制)の場合、上限額39万6000円
仕事
教育訓練給付金
雇用保険に加入している人で、教育訓練を修了した際に、受講費用の一部が支給
受講費用の20~50%相当額、上限10万~40万円(講座により変動)
高年齢求職者給付金
65歳以上の雇用保険に加入していた人が離職して「失業の状態」にあるときに支給
上限日額6835円(令和5年7月末日まで)×支給日数(30日or50日)
暮らし
出産育児一時金
公的医療保険の被保険者または被扶養者が出産した際、一定金額を支給
1児につき50万円
埋葬料・葬祭費
亡くなったときに健康保険から支給される(国民健康保険加入者:葬祭費。健康保険の被保険者:埋葬料。被扶養者:家族埋葬料)
葬祭費は2万~7万円、埋葬料・家族埋葬料は5万円
※申請には各種条件があります。詳しくは関係機関や自治体でご確認ください
(取材・文/ガンガーラ田津美)