「子連れ出勤」を豊明市職員が率先する(市役所HPより)

 5月1日から愛知県の豊明市役所で、「子連れ出勤OK」とする試みが始まった。市役所や図書館の職員が子どもや孫を連れて職場で働く「ワークwithチャイルド」(通称ワチャ)というこの制度。子育て家庭に温かい地域づくりを目指したもので、自治体として全国初の試みとなる。

 3月から約1か月間の試行期間後に行った調査では、7割が賛成意見だったという。しかし、ワチャの実施についてネットの書き込みでは「反対」の意見が目立っていた。

 そこで『週刊女性』では子連れ出勤についての意見を問うアンケートを実施(5月1日Freeasyにて調査)。子連れ出勤を利用する可能性が高い18歳~70歳の子どものいる全国の女性300人を対象に行った。結果は「賛成、どちらかというと賛成」と答えたのは81人(27%)。「反対、どちらかというと反対」と答えたのは197人(66%)。「どちらとも言えない、無効回答」が22人(7%)。約6割以上が反対だった。

賛成派・反対派の声

 賛成派の意見としては、

「私自身、離婚してひとり親になってからは、仕事との両立が本当に大変だったので」(48歳・福岡県)など、こういった制度があると助かるという意見。一方、反対派の意見は、「やめてほしい。泣いたりしたら迷惑をかける。自分も仕事に集中できなさそうなので」(28歳・岩手県)、「コンセプトは素晴らしいと思うが、理想論だけな気もするし、子連れで満員電車での出勤となったら危険が伴う」(52歳・神奈川県)

 周囲への影響や、仕事効率の低下、子どもの安全性などへの懸念が挙がった。豊明市の調査でも少数派ながら反対と答えた人がいた。どのような意見があったのか豊明市の担当者に聞いた。

利用者の中には『自分の子どもには困難だった』、周囲の意見にも『個人情報の取り扱い上、反対』といったものはありました

 だが、そうした声にも対策を講じている。

受け入れ側の気持ちが肯定的に変化

本格導入後は、緊急一時的な利用となるため、ほとんどの職員が短時間の利用となると見込んでおります。また、職務に専念できない場合は、早退するなど年次有給休暇を取得することとしております。その他、帯同場所は所属課(室)の事務室内のみでなく、サテライトオフィスも設置しており、業務内容により選択可能としています」(豊明市役所担当者、以下同)

 サテライトオフィスとは、子どもがぐずったときなどに使用できる市役所内の別室。『週刊女性』で調査したアンケートには「子連れOKの制度より先に休みを取れる環境を整えるべき」という意見。

休みやすい環境づくりにも取り組んでおります。人事部門において、毎年、年間の年次有給休暇取得日数の目標を定め、市役所全体としては目標を達成しています

 次第に子どものいる雰囲気に慣れていくのかも。

7割が賛成と答えた、というのは3月の試行後のものです。試行実施前、〈子連れ出勤について〉のアンケートを行ったときは、受け入れは難しいといった反対意見も半数いました。それが、試行後は子どもがいても構わないと答えた人が増加したんです

 受け入れ側の気持ちが肯定的に変化したようだ。

試行後、利用職員がいた所属では肯定的な意見が多い状況です。周囲の職員からは、『良い雰囲気で仕事ができた』『子どもがいると場が和む』など、業務に支障はなかったと感じたようです

 実際にやると、反対派の考えも変わるかもしれない。