「(Kis-My-Ft2の)二階堂(高嗣)さんが映画を見て“俺には痒い”とおっしゃって(笑)。痒いって、もどかしいみたいなことでもあると思うので、“ムズキュン”してくださったんだと思います」
同名の大ヒットコミックスを実写映像化した『おとななじみ』で、映画初主演を飾ったジャニーズJr.内のユニット・HiHi Jetsの井上瑞稀。彼にとって特別な作品となった映画の主題歌『Sweet Melody』を歌うのは、井上が所属するグループと同じようにローラースケートでのパフォーマンスを得意とするKis-My-Ft2。
「(事務所の)後輩である僕が出演する映画の主題歌を歌ってくださるって、懐が深い先輩だなと思いました。同じローラースケートつながりもあって、尊敬している先輩なので本当にうれしいです」
今作で井上が演じるのは、優しく、純粋なゆえに恋に鈍感な超残念男子・青山春(通称:ハル)。4歳のころから隣に住み、20年間、お互いに好意を抱き続けながら、おさななじみのままでいるハルと、ヒロイン・楓の“両片想い”の行方を描く。
「オムライスが好物だったり、部屋が汚かったり、ハルは自分とそう遠くない人物でした(苦笑)。クランクインする前に(楓役の久間田琳加と)1週間ほどリハーサルの時間をいただけたので、しっかりと役を作り上げていくことができたと思います」
撮影で“奇跡的な出会い”
何げないハルの行動にキュンとさせられている楓を演じた久間田も井上も人見知り。
「リハーサルのとき、なるべくコミュニケーションを取るようにしていたと思うんですが、どうしても目の前に迫ってくる自分の演技の課題に集中してしまって。ハルと楓が20年かけて作り上げてきた関係を短い時間で表現することが、本当に難しかったです」
ハルと楓の小学校からの幼なじみを演じた萩原利久と浅川梨奈にプロを感じたと語る。
「利久くんと浅川さんは、撮影が始まるとすぐに、すーっと現場になじんでいって。コミュニケーションも積極的に取ってくださったので、幼なじみの感じを出すのに時間がかからなかったです。共演の松金(よね子)さんが、僕ら4人を見て“本当の幼なじみだと思ってた”とおっしゃられたくらい仲良くなれました(笑)」
どんな話で盛り上がったのかを聞くと、「口にするのが恥ずかしいくらい内容がないんですけど」と苦笑いしながら、
「利久くんの口癖を本人に内緒で誰が一番引き出せるかってことをしたことがありました(笑)。あと、映画のポスター撮影をしたときは、みんな笑いが止まらなくなって、撮影時間が少し長引いてしまったり。こんなに短い時間で打ち解けることができたのは、僕にとって奇跡的なこと。利久くんとは一度、食事にも行って。話さない時間があってもいい友達ができることってあまりないので、本当に貴重な出会いでした」
今作ですっかり親交を深めた萩原が演じる伊織が密かに思い続けていた楓に告白したことで、楓を守る騎士でありたいハルと、大好きなハルの世話を焼きすぎて“おかん系女子”になってしまった楓の関係に変化が生まれる。伊織の行動に動揺したハルは、ウジウジ悩むのだが、
「僕自身は、大人になるにつれてウジウジと考え込むことがなくなってきましたね。昔は真正面から向き合って、周りが見えなくなってしまうこともありましたけど。高校を卒業してお仕事一本になってからは、良くも悪くも自分にいいように解釈するようになったと思います」
気持ちは「伝えてからのほうが大切」
ヒロイン・楓の魅力を「すごくピュアで真っすぐで、一生懸命なところ」と語る井上に、真っすぐに好意を伝えてくる女性をどう思うか聞くと、
「すごく素敵だと思います。これは男女問わずですが、“察してほしい”という人より、ストレートに気持ちを伝えてくれる人のほうが魅力的に感じるんです。もちろん、相手との関係性にもよると思いますが。ハルのようになかなか自分の気持ちが伝えられないということは、僕にはないですね。それに、伝えてからのほうが大切だと思っているので」
少女漫画が原作の作品は初で、初めてラブコメに挑戦した、初主演作品。
「初がないと次はない。いろいろな初が詰まった作品を経験できたのは、とても大きかったです。ずっと心に残り続けると思いますね。本当に撮影が楽しかったし、ハッピーでした」
初めてずくめの映画をHiHi Jetsのメンバーと一緒に見る計画があるという。
「めちゃくちゃ恥ずかしいですよ。ふだんの僕を知っている4人だからこそ、ハルを演じている姿を見られるのは恥ずかしい。フラッシュモブのダンスシーンは、ライブ中の僕のようなものなのでメンバーには新鮮味がないと思います。バスルームのシーンも。それ以上の裸を見られていますから。そこには、1ミリも恥ずかしさはないです(笑)。メンバーには、映画全編を通して、しっかり感想を聞きたいと思っています!!」
●次に挑戦してみたい役は?
人の生と死を描く作品に携わってみたいです。人の命は決して永遠ではなく、儚いもので、そこに美しさもある。医療や刑事モノなど、生と死に向き合う役に以前から興味があるので、機会があれば挑戦してみたいです。
●尊敬するのは、料理ができる人
大好物は、母親のオムライス。たぶん、特別変わったことはしていないと思うんですけど、“おふくろの味”っていうのが好きです。僕、まったく料理をしないので、料理ができるっていうだけでカッコいいと思うし、無条件で尊敬します!
『おとななじみ』(公開中)配給:東映
(c)中原アヤ/集英社 (c)2023「おとななじみ」製作委員会