「雪華さんの最後の男になろうとしたんだろうけど、私たちは仕事のプレーはセックスに換算していないですから! あんたは最後の男になれてねーよ!」
強い口調で被害女性の後輩女性が憤る。
東京・吉原で起きた悲しい殺人事件
5月5日、東京都台東区千束4丁目、いわゆる「吉原」といわれる風俗店で事件は起きた。
「午前11時20分ごろ、お店の従業員から“キャストが男の客に刺された”と110番通報がありました。刺された場所は首と腹の2か所でほぼ即死だったといいます。男もその後自分の腹部を刺し、重傷を負い、今は集中治療室に入っていて供述がとれていない状況です」(社会部記者)
30代のこの男は回復を待って殺人容疑で逮捕されるというが、いったい高級ソープ店で何が起きたのか。
「事件現場となった『Y』は料金は110分6万〜7万円の老舗高級店で、被害者の雪華さんはナンバーワン嬢でした。実はこの店では'03年にもキャストが別の風俗店の男性従業員に殺されるという事件が起きた。それ以来、風俗店勤務の男性は出入り禁止となっていました。
このお店は“恋人接客”をウリにしていて、エレベーターでディープキス、お見送りの際には嬢が寂しそうにため息をつく、までがセットとなっていて、それは客も承知しています」(風俗誌記者)
高級店だけに遊び慣れた“紳士”だけが来店していたはずなのだが。冒頭の後輩女性は、
「遊び慣れてない人が初回のキャンペーン料金で来て、雪華さんのあまりの良さにハマってしまったケースなんじゃないかなあ。でも雪華さんはお客さんの愚痴を言うような人ではないから、私が勝手に推測しただけですが」
後輩女性は雪華さんの名誉を挽回したいという。
「本当に優しくて、界隈で雪華さんを嫌いな人はいません。事件があったあとに、SNS上で“色恋営業していたんだから自業自得”みたいな投稿が散見されていてマジで許せないと思った。
『Y』はそういうコンセプトの店であって、雪華さんがだましたとか色恋営業をかけたとかではない。年齢も店の表記は23歳なのに実年齢は38歳だったと騒がれましたが、吉原年齢というのがあるんです。みな暗黙の了解でやっていて雪華さんに落ち度はまったくないことだけは強く言わせてください」
誰からも愛されるアイドルだった
事件後すぐに雪華さんのSNSは削除されてしまったが、現在も閲覧できるサブ垢ではごく普通の女性の日常を綴っていた。
そこには、飼い猫とアニメと純烈を愛し、推し活を楽しむ等身大の姿だった。ネガティブな投稿は一切せず、ポジティブだけを共有しようとする被害者の一面が垣間見れる。
「店の嬢名義のアカウントでも、風俗関係は愚痴やネガティブな投稿をする嬢もいます。そんな中、雪華さんは情緒が安定していて信頼感がありました。
実際の彼女もいつも“大好き”や“ありがとう”を必ず1回は言う菩薩のような女性でした。何年にもわたって人気嬢として君臨するだけあります」(前出・風俗誌記者)
人気の嬢を殺害することで、自分だけのものにしようとしたのだろうか。
前出の後輩女性は、
「勘違いも甚だしい。雪華さんは私がお店に入るときに講師についてくれて、初めてエッチが気持ちいいと思わせてくれた上手な方。きっとこの先、(風俗店の)講師としてやっていくという前向きな目標もあったと思う。
お客さんに対しても同じで、誰にでも相性がいいと思わせるプロの技が雪華さんにはある。この男は開店と同時に来て、時間的に考えてもプレーしてから殺したんだと思う。そのこともとにかく許せない。だから雪華さんのためにも、おまえは最後の男じゃないと言いたい」
SNSでは、被害者のハマっているアニメとして『推しの子』が投稿されていた。アイドルがストーカーに殺害され、アイドルの隠し子らが復讐を果たそうとするというストーリーだ。多くの同業者や客に愛された雪華さんはまさにアイドルで、奇妙なシンクロを感じる。
吉原の店舗のいくつかは事件後、キャストの安全のために入り口に金属探知機を導入。
「キャストの多くは雪華さんの死を受け止められていません。痛ましい出来事でしたが、雪華さんの事件がきっかけでキャストの女の子たちが安心して働ける一歩になれば雪華さんもまだ報われるのではないか」(風俗店関係者)
13日、ケガが回復したとして契約社員の今井裕容疑者(32)が逮捕された。全容解明が待たれる。