高額な商品が多い家電量販店。できるだけ安く手に入れたいものだが、どうすればいいだろうか。
「家電量販店は少しでも安く買いたいお客さんと、ノルマを背負った店員の攻防戦。店員側の本音を知っておくと賢く買い物できますよ」
と話すのはこれまで9店舗の家電量販店に勤務し、売り上げトップに立ったこともある峯岸よぞらさん。
家電量販店の決算セールには手を出すな
「家電量販店の値下げ時期といえば2月や3月に行われる決算セールというイメージが強いですが、私は買いません。値段を下げる時期ではあるものの、決算時期まで残っている商品は不人気のものがほとんど。ですから、旧製品から新製品に入れ替わるモデルチェンジ時期の直前に、旧製品を狙うのがおすすめです」(峯岸さん、以下同)
モデルチェンジ時期はメーカーごとに差があるものの、テレビは6月〜7月、冷蔵庫・洗濯機は8月〜9月、エアコンは11月〜12月のことが多い。この時期に値段交渉をするのがもっとも安く買えるのだそう。
「決算セールの時期をおすすめしないもうひとつの理由は値段交渉ができないこと。というのも、決算期は時間ごとのノルマが課せられ、何度も本部からの電話が鳴って1年でもっとも忙しくなります。値段交渉をするお客さんは切り捨てて、ほかのお客さんの接客をしたほうが効率的という考え方なのです」
値引き交渉をするなら、話しかける相手をセレクトしたほうがいいという。
「売り上げ目標を気にしている社員がおすすめ。メーカーのベストを着ているのはメーカー側の社員で、値引きの裁量権を持っていないので注意。下げてくれやすいのは肩書のない一般の社員です。フロア長や部門長は全体の利益を高くするのが仕事なので、値下げはしぶりがち。でも、一般の社員は個人目標の達成を優先させるので、値下げしてくれやすいのです」
肩書は名札の名前の横に書いてあることが多いため、何も記載がない人に話しかけてみて。
「ネット通販が主流になってきましたが、下取りや値段交渉、無料での設置などを考えると実店舗の強みが大きいこともあります。頻繁に通って店員と顔なじみになっておくと、ネット以上に値下げを頑張るケースもありますよ」
今回は家電量販店に勤める4人にも匿名で取材を受けてもらい、ホンネを探った!
家電量販店お得ワザ1.「安くして」「いくらになる?」は効果なし!
「単に『安くして』とだけ言っても意味はありません。そんなに簡単に下げられるのであれば、もともとその値段をつけていますから(笑)。
実際、安くしてとだけ言われた社員が、『上司と相談してきます』とお客さんに伝えて裏で休憩していることも何度かありました。
『他店の値段を出して〇〇円だったら買える』と伝えれば、スルーしづらくなるのでおすすめです。意外と間違いがちなのが、値段交渉をするタイミング。
いきなり価格の話をすると、価格調査をしている他店の従業員ではないかと警戒するので、まずは商品説明を聞いてから交渉をしてください」(峯岸さん、以下同)
クレジット支払いの場合、店に手数料の支払いが発生するので、「現金で支払う」と言ってもらえると値引きしやすいです。(20代/現役家電量販店店員A)
家電量販店お得ワザ2.「店長イチオシ」「おすすめ」は値引きの大チャンス!
「『店長イチオシ』『バイヤーおすすめ』といったポップが貼ってある商品をよく見ると思います。これには2パターンあって、ひとつはキャンペーン中の商品です。もうひとつは、在庫が過剰に残っているもの。
余ってしまった商品の在庫処分のときにもこのポップを貼ります。どちらの場合も店側が売りたい商品で、目標販売数が決められていることが多いので、お客さんは有利に値段交渉を進められます。欲しいものにポップが貼ってあったらチャンスですよ!」
ある店舗では在庫が余っていて安く買える商品が別の店舗では定価のままなんてことも。何店舗か回るのがおすすめです。(40代/現役家電量販店店員B)
家電量販店お得ワザ3.雨の日の平日は安くなる確率アップ
「週末は雨でもそこそこお客さんが入りますが、平日の雨の日はまったく絶えてしまうこともあります。売り上げ目標を達成させるために、入店してきたお客さんは逃せないので、ギリギリの額まで値下げすることも少なくありません。
店舗にはその日の売り上げ目標があって、それを達成させるためなら値引きをします。土日祝日は値引きをしなくても売れるので、交渉を面倒がられることも。そのため、閑散とした平日の雨の日、特に夕方は狙い目です」
そもそも平日は休日の10分の1以下のお客さんしかいません、そこに雨もプラスされたらノルマの達成は絶望的になります。(20代/現役家電量販店店員C)
家電量販店お得ワザ4.携帯ショップに行く前はネットで調べるが鉄則
「携帯ショップの店員は会社ごとにバチバチの関係なので、自分の会社に都合のいいことを話します。そのため、『店員に任せておけばいいだろう』と思って家電量販店に行くとお得を逃しますよ」
大手家電量販店内の携帯ショップに勤めるYさんにも話を聞いた。「特に注意したいのが、携帯電話の契約とネット契約を同時にするとき。実は、携帯電話を契約する会社とネット契約をする会社は別のほうが安くなることも少なくないんです。
でも、自分の会社で契約してほしいので、本当にお得な提案はしにくい。事前にネット回線の種類や安い組み合わせを調べてみてください」
毎月、会社ごとの売り上げが発表されてランキングがつけられるので、蹴落としやお客さんの取り合いはほとんどのお店でやっています。(20代/現役家電量販店店員C)
家電量販店お得ワザ5.家電量販店で本当に安いのは日用品
「家電量販店で見逃してはいけないのが、シャンプーや防虫スプレーなどの日用品。家電量販店は立地がいいこともあって、お客さんの数が多いので、“置けば売れる”といわれています。
そのため、スーパーやドラッグストアよりも安く売られていることが少なくないのです。特にチェックしたいのが、ワゴンセール中の商品。お店の端にあるので見逃しがちですが、半額以下になっていることもあるので、必ず確認しましょう」
新規のお客さん開拓のために脱家電が進んでいます。お客さんに来てもらうための商品なので安いことが多いです(20代/元家電量販店店員D)
(取材・文/ガンガーラ田津美)