天皇、皇后両陛下は傘をさしながら園遊会に参加された 撮影/JMPA(伊藤和幸)

 天皇、皇后両陛下は11日、東京・元赤坂の赤坂御苑で開催された春の園遊会で雨が時折激しく降る中、招待者らと歓談された。

 園遊会は令和初で2018年秋以来となる。その間は、代替わりによる儀式や新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止されていた。

スポーツ選手たちへ労いを

「8日にコロナが季節性インフルエンザと同じ5類に移行し、個人の判断となったマスク着用ですが、今回は両陛下はじめ皇族方はマスク姿で臨むことになりました。各界の功労者を招く人数も通常の約半分となる1300人程度に絞られ、食事やアルコールの提供は控えました」(宮内庁関係者)
 
 天皇陛下(63)と秋篠宮さま(57)はモーニング、雅子さま(59)、園遊会デビューした佳子さま(28)ら女性皇族方は着物。お出ましの際には雨がやんだが、その後のご歓談途中から再び降り出した。

 傘をさした陛下は、人間国宝の歌舞伎俳優、片岡仁左衛門(79)に「コロナで大変だったようですね。昭和61年に『仮名手本忠臣蔵』を拝見しました」と声をかけられ、雅子さまは「昔、片岡さんの舞台を何度か拝見して素晴らしかったです」と話されていた。

 陛下が「拝見していました」とお声がけした、北京五輪スピードスケートの金メダリスト、高木美帆選手(28)は「北京はコロナ対策が厳しくて、オリンピックとは別のストレスがありました」。

 雅子さまは「その中で素晴らしい成績を残されましたね」と、おことばを。

 東京五輪、卓球の金メダリスト、伊藤美誠選手(22)へのお声かけでは、陛下が「素晴らしかったですね」。雅子さまは「試合前はお母さまの作られたおにぎりを食べるんですよね」と話しかけられていた。

 車いすテニスの生涯グランドスラム(4大大会と五輪で優勝)を達成し今年1月に引退、国民栄誉賞に輝いた国枝慎吾さん(39)には、陛下が「多くの人に車いすテニスの素晴らしさを伝えられた」とねぎらいの言葉をかけられていた。

 即位後、初めてとなる園遊会はあいにくの雨で雷が鳴る場面もあったが、終始なごやかに会話を交わされていた。

「お着物と同色の帯締め、帯揚げのワントーンコーディネートをされているのがポイントです。淡い色に統一すると上品さ、高貴さがあります。“やさしさの中にある気品”が表れた雅子さまスタイルだと思います。全身がひとかたまりとなって輝きを放っている印象です」

外国の客人をお迎えする際の着物とは

 こう語るのはファッションジャーナリストの日置千弓さん。皇后になられて初めての園遊会。それまでにも外国の要人をお迎えする際などに、和服をお召しになっている。

「園遊会のお着物は、たおやかな水柄に、初夏の花で魔除けの意味もある花菖蒲が咲き誇っています。華やかで園遊会にふさわしい装いだと思います」(日置さん、以下同)

 2019年夏にトルコのエルドアン大統領を皇居でのお出迎えとお見送りをした際には、涼しげな着物を。

インドネシア大統領ご夫妻と皇居での会見に雅子さまはインドネシアの国花ジャスミンがあしらわれた着物で('20年7月)写真/宮内庁提供

「秋の花の桔梗やなでしこの意匠には夏を惜しむとともに、お見送りするエルドアン大統領との名残を惜しむ意味も込められているのではないでしょうか」

 皇居にお招きしたウズベキスタン大統領との昼食会では瑞雲柄、アフリカ開発会議の各国首脳とのお茶会では花かご、と縁起物の吉祥文様の和装で。

「着物は柄によっては着る季節が限定される一方で、吉祥文様は通年着ることができます。外国のお客様をお迎えする際に吉祥文様のお着物が多いのは、四季を問わずに着られることがあるかもしれません」


撮影/JMPA(伊藤和幸)