仲違いやギクシャクしている者たちが、それを解消するために取る行動はどのようなものだろうか。話し合い、漫画であれば勝負・ケンカ──。
番組で明かされた特殊な後輩への指導
ジャニーズ事務所内での“性加害”問題が取り沙汰されている。“噂”や一部報道などは古くから語られてきたが、“元ジャニーズ”らも続々と声をあげ、ジャニーズ事務所の現・代表取締役社長の藤島ジュリー景子氏が、本件の“当人”である叔父の名前を題し、《故ジャニー喜多川による性加害問題について当社の見解と対応》という謝罪動画を公開。
そして、これまで頑としてこの件を取り上げてこなかったテレビ局も報じ始めている。本件の最重要人物であるジャニー喜多川さんは故人である。ジャニーズ事務所による「すべての事実の確認は難しい」という見解は一部で正しいだろう。
そんなジャニーさんの寵愛を受け、生前に後継者指名されていたのが滝沢秀明“元副社長”だ。
「滝沢さんは'18年に『タッキー&翼』の活動休止時に事務所退所を考えましたが、ジャニーさんに慰留されたことで残ったほど、お互いに信頼関係がありました。滝沢さん自身、曲タイトルに『YOUやっちゃいなよ!!』、コンサートのタイトルでも『Youも乗っちゃいなよ』『Youも来ちゃいなよ』などとジャニーさんの代名詞を多用。信頼関係が伺えていました」(芸能プロ関係者)
現在の元ジャニーズによる告発が続いているが、滝沢も'18年に“後輩への指導”を暴露されている。'18年7月19日放送の『櫻井・有吉THE夜会』(TBS系)でのことだ。
滝沢と嵐の櫻井翔の“不仲説”に決着を付けるという内容だった。タッキー派・櫻井派に分かれ、彼らを慕う後輩たちから「ここがすげぇぞ!ウチのアニキ」というコーナーでそれぞれからエピソードが語られた。
「滝沢さんを慕う側として『Kis-My-Ft2』の北山宏光さんがフリップ出演で滝沢さんのエピソードを紹介しました。北山さんから紹介されたのは、“滝沢さんはトラブっている後輩を見つけるとキスさせて仲直りさせる”というもので……」(テレビ誌ライター)
当時の放送を見ると、北山のエピソードは《後輩のどんな溝も埋める滝沢キッス!!》というもの。北山は以下をフリップで語った。
《後輩同士意見が衝突したりギクシャクすると滝沢くんはすぐに察知してくれます 本人同士をご飯に連れて行き面と向かって話ができる空間を作ってくれます》
この時点では大変良い先輩であり、北山が慕うのも当然だ。これに続いたのは……。
《そしてお互い本音をぶつけあった後 滝沢くんが最後に決まって「キスしちゃいなよ!」なぜかわだかまりがなくなります》
決まってキスを提案するというその口調は、彼が信頼するジャニー喜多川さんを彷彿させるものだ。これに番組に出演していたV6(当時)の三宅健が続けた。
「キスして揉めてた人たちが仲良くなっちゃうってね、こんな画期的なシステムない」
そして番組は不仲説解消へ向かう。「さっき滝沢も言ってたじゃん! キスすれば本当に仲良くなるんですよ(って)。キスしちゃいなよ」という三宅の提案で滝沢と櫻井が実際にカメラの前でキス。“滝沢キッス”によって仲直り……大団円となった。
放送当時のSNSを検索してみると、ファンらから絶賛の声が多数ヒットする。
《滝沢くん、いつも北山くんに優しくして頂きありがとうございます!》
《THE・夜会 タッキーと櫻井くんの滝沢キッス この流れを出したのは北山くんと健くんのやんちやまコンビが作った流れだよね?? サイコー》
《夜会、滝沢キッスで翔ちゃんがちょいちょいちょい!って言う一瞬前に、滝様がアチャーって顔するとこ、何度も見ちゃう、可愛い》
《夜会の櫻井滝沢不仲説の終着地点がまさかまさかのキッス(笑)本当笑う! 北山くんもそうなるなんて思わずに話をしただけだと思う(笑)》
美談として紹介されることに違和感
“滝沢は揉めている後輩を見ると決まってキスさせる”ことの事実のほどはわからない。そしてもちろん“テレビ”という表に出てくること、バラエティというフォーマット、そこで行われる演出……。それと裏で行われ続けた“性加害”ではまったく意味が違う。
「ただ、変にエピソードを作る必要もないですし、おそらく“後輩をキスで和解させる”は事実として行われていたことなのだろうと思います。というよりも事実でなくとも、それを美談・良いエピソードとして紹介されることは違和感があります。これはジャニーズという特異的な事務所で浸透していた“体質”といえると思います」(前出・芸能プロ関係者)
北山が紹介したエピソードが行われ、そして受け入れられていたジャニーズ事務所という“土壌”、そしてそれを“美談”のように放送するテレビ局と笑う出演陣。また、そのすべてを喜ぶファンたち……。深い闇・事件は、“合宿所”だけで起こっているものではなかったのではないだろうか。
滝沢と櫻井によるキスのバックでは、“そうなんだ〜きっとここから愛なんだ〜はじめることが愛なんだ〜”と、V6のヒット曲『愛なんだ』がBGMとして流れた。
ジャニー喜多川さんが“愛”を持ってアイドルを育て、スターを作り上げたことは紛れもない事実であろう。その裏には“タレント育成”という愛以上のものがあったことがようやく明るみになっているが。ジャニーズにおける愛とは……。
番組では、滝沢・櫻井のキスの後、MCの有吉弘行が「ついに溝は埋まりました!」と締めた。ジャニーズ事務所と世間にできた溝は果たして埋まるのか……。