YouTubeチャンネルにヒグマと遭遇した一部始終を投稿したH氏だったが…

 5月14日に北海道幌加内(ほろかない)町の朱鞠内(しゅまりない)湖で釣りをしていた男性が行方不明になった事件。17日までに同地付近から損傷した遺体が発見され、男性はヒグマに襲われたとみられている。

 15日にハンターによって射殺された、体長約1.5mのヒグマの胃袋の中には肉片や骨片も混じっていたようで、男性の身元特定を含めて捜査は続いているようだ。

 そんな“獣害”事件が続く北海道で同時期、ヒグマに“餌付けした”としてユーチューバー男性・H氏が炎上騒動に見舞われている。発端となったのは、5月6日までにH氏がYouTubeチャンネルに投稿した《【絶体絶命】森の中でウーバー食べてたらまさかの緊急事態発生... 》という動画。

 H氏と友人男性による「森の中でUber食べてリスナーさんの質問に答えてみた」との企画でスタートした動画。その撮影が行われたのは「俺ららしいでしょ」となぜかキャンプ場とはかけ離れた、人気がない森の中。

 時に周囲を警戒するように見渡す、そわそわした様子の2人が木製の簡易テーブルの上に広げたのは宅配ピザとポテト。そんな違和感を覚えるシチュエーションに「ほんと動物が出てきそうな感じだ。クマなんて出てくるぞ」とは友人男性。

チャンネル登録してお待ちください

 しばらくピザとポテトをつまみながらリスナーからの質問回答が続くのだが、ハッと視線を森の先に向けて何かに気づいた様子のH氏。すると「待って!お前(友人男性に)、来い。クマだ。クマ、クマ、クマ」とカメラだけを手にして、撮影しながら慌てて車に避難する2人。

 遠巻きに映っていたのは、H氏曰く「一番危険なやつ」だという親子グマ。ここで場面は切り替わり、「この動画の前か後に(続きを)出すんで、チャンネル登録してお待ちください」と動画を終えたのだった。

 このヒグマと鉢合わせるハプニング動画に食いついたのが、フジテレビ系ニュース番組『イット!』。5月10日の放送で、H氏の投稿動画を引用し、さらに本人もリモートでのインタビュー取材で登場。

 あらためて動画は5月5日に札幌市内で撮影したものとして、ヒグマには30mほどの距離で気づき、最終的に4頭の親子グマだったことを明かすH氏。そして、

「これだけでっかい声で撮影していたら、(クマが)来ない可能性が高いだろうと思っていたんですけど、来たのでびっくりしましたね」

 この辺りの地域に明るいのか、“ヒグマが来る可能性”も想定していたような発言も。

近隣住民にもヒグマにも迷惑な行為

 今回、彼らが受けた“被害”について、冒頭動画の予告通りに《【衝撃映像】撮影中にヒグマの親子が乱入し暴れていった一部始終をお見せします》とのタイトルで、翌日に投稿した動画に収められていた。

 ピザやポテトの匂いに誘われたのか、避難する際にその場に残していった食事を奪って貪り食うヒグマの様子や、親子が去った後の無惨にも荒らされた“キャンプ”を撮影。「これ以上は危ない、行きましょう」と片付けて撤収する2人だった。

 ともあれ、命の危険もあったハプニング動画には、視聴者からは《無事でよかった》と彼らを気遣うコメントが寄せられる一方で、フジテレビのニュースを見たと思われるネットユーザーからは、

クマに餌付けしちゃったよ しかも住宅地の近くで……

《近隣の人間にも餌付けされたヒグマにも迷惑な行為で酷すぎる》

《YouTuberが札幌南区でヒグマにピザを餌付けしたのか… 以前にもヒグマをビデオに収めようと動画回してたみたいだし確信犯だね》

 結果的にヒグマによる人身事故や被害を招く恐れがある“餌付け行為”をしてしまったことへの批判的な声。中には、彼らの行動に疑問を持ち、実際に現場に赴いて検証、動画公開した、北海道に住むサバイバル系ユーチューバーも。

 なんでもH氏たちの撮影日の前日、5月4日に同地区の民家付近で親子熊の出没情報が出ていたことから、つまりは偶然でこの森を選んだのではなく「“意図的”に該当の動画撮影が行われた」と指摘している。

森の中でピザを広げたH氏たちだったが、ヒグマの姿に驚きつつも(一部編集部加工)

チャンネル登録者数10万人超えて歓喜

 さらに以前からYouTube動画で何度も“ヒグマ撮影を試みていた”というH氏の“常習性”から、今回は計画的な「犯行であり、愚行です」と断罪。彼らの行動を同じ場所、視点から再現した結果、食事を回収して車に戻ることは可能だったとして、明らかな「誘引撮影」であることを訴えたのだった。

 すると動画を疑う声がH氏の元に届いたのだろうか、彼のマネージャーを名乗る人物が、ツイッターに《事実とは異なる情報が出回っており》として、《チャンネルのイメージを下げるような行為、表現としてこれに対し然るべき対応を検討致します。》と投稿。

 これをリツイートして事態を収めようとしたH氏だが、“誘引撮影”疑惑自体には何ら説明がなされていないことで再炎上しているというわけだ。

 命懸けの“ヒグマ遭遇”を全国放送された影響か、5月13日にツイッターで《うぉらぁー!!!!!!!!!!ついに来た10万人》と、チャンネル登録者数が10万人を超えたことを嬉々として報告していたH氏。

 プロフィール欄には《天災系YouTuber》とはあるが、今回の騒動が意図的であったかどうかはともかく、“餌付け”を学習したヒグマによる近隣への被害が起きないことを願いたい。

FNNの取材にてヒグマとの遭遇を語るユーチューバーのH氏(FNNプライムオンラインより、一部編集部加工)

 

ユーチューバーH氏がYouTubeに投稿した“ヒグマ遭遇”動画。ヒグマがピザを食べる様子が

 

H氏の“ヒグマ遭遇”動画はフジテレビ系『イット!』で放送、FNNプライムオンラインでも配信された

 

森の中でピザを広げたH氏たちだったが、ヒグマの姿に驚きつつも(一部編集部加工)