5月24日より、市川猿之助の心中騒動について警視庁による事情聴取が行われており、供述の内容が少しずつ明らかになっている。
「心中を決行した5月18日は猿之助さんのハラスメント行為を告発する記事が掲載された『女性セブン』の発売日。沸き起こるかもしれないバッシングに悲観した猿之助さんは、前日の17日に両親と“家族会議”を開き、“死んでもう一度やり直そう”と提案。父・市川段四郎さんと母・延子さんの3人で向精神薬を大量に飲んで、意識を失った両親の最期を看取ったそうです。その後、翌朝に自宅を訪れたマネージャーが意識もうろうとした状態の猿之助さんを保護して事態が発覚しました」(ワイドショースタッフ)
猿之助は澤瀉屋のトップである市川猿翁の実弟・市川段四郎さんの息子。直系ではないものの、猿翁と段四郎さんが第一線を退いてからは、看板スターとして澤瀉屋を率いていた。
“愛するMに遺産を譲る”─不可解な点だらけ
「澤瀉屋の芸風は革新的なことで知られ、'86年には猿翁さんが宙吊りや舞台装置など現代技術を活用する演出を取り入れた『スーパー歌舞伎』というスタイルを確立しました。
'12年に四代目を襲名した猿之助さんも『ワンピース』といった人気マンガの歌舞伎化などを行って人気役者に上り詰め、TBS系のドラマ『半沢直樹』でも重要な役で活躍しました」(スポーツ紙記者)
従兄弟で俳優の香川照之が市川中車として、その息子が市川團子として活躍していた澤瀉屋。一方で猿之助が門弟やスタッフに深刻なハラスメント行為を行っていたという報道が、猿之助を思い切った行動に走らせたということなのか─。
「両親を巻き込んだ心中騒動を起こしたわけですから、猿之助さん自身に思いあたる節があったと思われても仕方ありません。
猿之助さんが遺言として“愛するMに遺産を譲る”と書いていたという話もあって、不可解な点だらけです」(前出・ワイドショースタッフ)
猿之助は何らかの罪に問われるのか。弁護士法人ユア・エースの正木絢生代表弁護士に聞いた。
「現時点の報道を前提とすると、全員が同意した心中でも、生き残った猿之助さんに両親の自殺に何らかの関与が認められれば、刑法202条の自殺幇助罪が成立する可能性が考えられます。その場合、事情がどれくらいあるかにもよりますが、一般的に自殺幇助罪は、懲役2年執行猶予3年という判決が出されることが多いです」
事件が起きた家の近所では、猿之助の供述に疑念を抱いている人が複数いた。
「猿之助さんは両親の同意のもと一緒に自殺を図ったと語っているようですが、亡くなった延子さんは自分の意見をはっきり言うタイプでした。そんな人が息子に説得されて自ら命を絶つとは信じがたいです」(延子さんの友人)
抱えていたご近所トラブルと“人柄”
猿之助一家は長年にわたり、近所とトラブルを抱えていたようだ。
「猿之助さんの家は、住宅街の奥まったところにあり、たどり着くには、周辺の住民が共同で管理する私道を通らないといけないんです。'87年にその私道沿いの一角にアパートが建てられたのですが、それによって私道を通る人が増えるのを猿之助さん一家や一部の住民が嫌がって結託。アパートの完成前日に、私道の隅々まで高い塀を造って、アパートの入り口を塀で塞いでしまったそうです」(同・延子さんの友人)
この一件は住民同士の裁判沙汰に発展。結局、アパートの出入り口になる塀の箇所にドアを設置することで決着したというが、猿之助一家は近所と没交渉に。長らく冷戦状態が続いたが、今年2月、36年ぶりに“雪解け”の兆しが見えたという。
「猿之助さん一家が造った塀と自宅の外壁の建て替え工事をすることになったと、延子さんが近所に挨拶回りをしたそうです。あの気が強い延子さんが自分から頭を下げてきた、と噂になりました。ただ挨拶回りと一緒に“塀にある、アパートに入るためのドアがいつも開けっ放しになっている”と愚痴もこぼしていたようで。塀の工事と同時にドアには“開放厳禁”と書かれた張り紙もされるようになりました。アグレッシブで憎めない人ではありましたね。そんな人ですから、自ら命を絶つとは到底思えないんですよ」(近所の住民)
真相は今後の取り調べで明らかになるとしても、澤瀉屋が危機に陥っているのには変わりはない。
「猿之助さんは澤瀉屋だけでなく、歌舞伎界を牽引する存在という自負から尊大な面がありました。報道によれば、團子さんが歌舞伎界入りする直前の'12年3月、猿之助さんは後援者を招いて開いた食事会で、出席者から“将来は團子に猿之助を継がせるのか”と質問された際に“決まってない。ボンクラだったら止め名にしちゃう”と語っていたと言います。
5月28日に千穐楽を迎えた明治座での猿之助さんが主演だった舞台で、その團子さんが、代役を務めて高評価を得たのですから皮肉です」(歌舞伎関係者)
“止め名”とは、二度と使われないことになった名跡のこと。偉大すぎて継ぐ者がいない場合もあるが、縁起が悪くて使われなくなることもある。
「市川團十郎も初代は弟子による刺殺、八代目も自殺と不幸に見舞われていますが、現在も名跡は続いています。今後、猿之助という名前がどのように扱われるかは、世間の受け取り方と、次に継ぐ役者の努力次第でしょうね」(同・歌舞伎関係者)
猿之助の選択は、未来の猿之助の存続の危機を招いてしまった。
「猿之助さんの代役を立派に務めたことで、團子さんが将来、澤瀉屋を背負って立つ器であると多くの人が認めておりますが、彼はまだ19歳。大名跡を継ぐには若すぎます。加えて澤瀉屋の象徴とも言える猿之助という名前のブランド価値は下落しましたし、團子さんの今後は苦難の連続でしょう。
打開策としては、澤瀉屋と共演の多い高麗屋の松本幸四郎さんのもとで、市川染五郎さんと一緒に修業するなどして修練を続けるのが望ましいですね。そうすれば同世代で18歳の市川染五郎さんとのコンビでの活躍も期待できます」(同・歌舞伎関係者)
澤瀉屋の未来は猿之助の語る真相と、團子の成長にかかっているようだ。
正木絢生代表弁護士●弁護士法人ユア・エース代表。慶應義塾大学法科大学院卒業。第二東京弁護士会所属。bayfm『ゆっきーのCan Can do it!』にレギュラー出演するほか、ニュース・情報番組『news イット!』(フジテレビ系)などメディア出演も多数。相談しやすい身近な弁護士。YouTubeやTikTok「マサッキー弁護士チャンネル」にて、法律やお金のことをわかりやすく解説、配信中。
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