6月の花嫁を意味する“ジューンブライド”の季節がやってきた。コロナ禍も収束ムード、やっと結婚式が開催できるようになったけど、SNSでのある投稿が話題に。
結婚式を挙げたいとは思わない
「約10年ぶりに友人から連絡が来たと思ったら、結婚式への招待だった。投稿者は“会ってもないのに結婚式だけ呼ぶのってどうなんだ”と苦言を呈していました。結局、結婚式には行ったようですが、ほかの招待客も新郎新婦とは長年会っていないのに誘われた人が多かったようです。
そこから話はご祝儀問題に発展し、3万円のご祝儀すら惜しむような関係ならそもそも最初から結婚式に行くな、と他インフルエンサーが“燃料を投下”し、さまざまな議論がなされました」(WEBメディア編集者)
祝福される晴れ舞台のはずが、参列者には不快な思いばかり残る結婚式に……。ただ、こうした思いを抱える人は少なくない。広告代理店勤務の20代女性はこう話す。
「私も地方の大学を卒業して上京以来、一度も会ってない大学時代の友人から結婚式に招待されたのですが、断りました。特別に仲が良かったわけでもないし……。たぶん友人も同じく上京して就職したので、私なら呼べば来ると思ったんでしょうけど」
では、ご自身の結婚式はどうするおつもり?
「私は式を挙げたいとは思いません。何百万円もかけて、わざわざ疲れることをしたくないな……と。なにより、そのお金で家具や家電をそろえたほうが、夫婦仲良く暮らすスタートには効率的だと思います。それに“3万円も出して行きたくない”と友人に思わせるのも、心苦しいですから」(同・20代女性)
一級建築士の20代男性は、
「周囲で式を挙げる人はほとんどいないですね。結婚式の金額と実態に見合わないサービスにお金を出そうって気持ちになれなくて。風船を飛ばすだけで数万円かかるとか……。だったら、貯金や投資に回したほうが有意義だと思います」
令和の結婚式事情
若者からは否定的な意見ばかり聞こえるが、令和の結婚式事情はどうなのか。恋愛・結婚・家庭生活全般に関する調査研究をする、リクルートブライダル総研の落合歩所長に話を聞いた。
「昔は結婚したら必ずといっていいほど、家と家の“儀式”として結婚式が行われてきましたが、今では結婚すらも、“する”“しない”を選択するようになったことで、その形も変化してきました。'80年代ごろは、バブルもあって、結婚式は豪華さに重きが置かれていました。それが、近年では好きなコト・好きなモノを表現する結婚式が増えています」
具体的には?
「山登りが好きなカップルが山頂で式を挙げたり、大人数でツアーを組んで1泊2日で開催したりと、その形式は多彩です。この背景には、生き方が多様化したことが理由にあると考えます」
どういうことか。
「過去には、入社した会社の中で相対的に自分の人生を評価することができていました。しかし、その生き方が多様化し、自由になったことで、相対的な評価が難しくなった。だからこそ、自分の人生に関わってくれた人たちに向け、今後の人生の歩みを承認してもらう“自己肯定の場”になっているんです。そのため、自分らしさを表現する式が増えているのでしょう」(同・落合所長、以下同)
式にネガティブな意識を持つ若者も多いようだけど……。
「実際に結婚式を行った人の満足度はとても高いという調査結果もありますから、情報をよく吟味して選択してほしいと思います」
新たな門出に幸多からんことを──。