“結成16年以上”の参加資格が話題を呼んだ『THE SECOND~漫才トーナメント~』(フジテレビ系)のグランプリファイナルが、5月20日に放送された。SNSでは「素晴らしい賞レースがまた生まれた」など絶賛の嵐だ。
炎上リスクを徹底的に排除
「フジテレビ局内でも成功のムードだと聞きます。何より、祭典が終了してからの出場した芸人たちのお礼ツイートなどが制作陣を泣かせるようなものばかり(笑)。まさに総合演出の日置祐貴氏が掲げていた“芸人ファースト”が詰まっていたような大会だったと思います」(放送作家)
『THE SECOND』は目新しい要素が多かった。いわゆるプロの芸人の審査員は不在、審査は会場の一般のお客さん100人。生放送にもかかわらず、お客さんのコメントをスタジオで拾う。ネタ、すぐに審査、終わってからMC進行、の流れを徹底してアナウンス。審査のライブ感やリアル感を意識した作りとなっていた。
「大会アンバサダーの立ち位置で戦いを見守った松本人志さんがネタにしたように、関西テレビ制作『R-1グランプリ2023』での“ヤラセ疑惑”の影響は少なからず制作過程の空気にあったのでは。やれ出来レースだ、やれ審査員がおかしい、など賞レースではつきものな炎上リスクを徹底的に排除したかったのでしょう。
あ、ちなみにですが、R-1のテロップ誤表示はヤラセでも何でもなく、リハーサル時の点数が誤操作で出ただけです。関テレ制作の事情は知りませんが、普通なら、総合演出かプロデューサーが交代となるミスです」(テレビ局関係者)
そんな芸人ファーストかつ高い公平性を保った番組作りによって、大成功に終わった感のあるベテラン漫才師らの祭典であるが、来年の開催は早くも厳しいのではないかと、前出の放送作家は語る。
課題は毎年出場できるか問題
「16年以上の芸歴であること、かつ大会のコンセプトに合った“セカンドチャンスをつかむべき”芸人はみな、いわゆる“テッパンネタ”を持っています。有名なところでいうと、コントですが、FUJIWARAさんの『ヒーローショー』みたいな、新宿ルミネやなんばグランド花月で繰り返す劇場用ネタ、パチンコやショッピングモールでウケやすい営業用ネタなど、せいぜい2〜3個で回している芸人さんが多いんです(笑)」
ベテラン漫才師の漫才は、もはや伝統芸能の域に達しているともいえる。
「劇場や営業先ではそれでいい。いや、むしろそれがいいんです。でも今年、その数少ないテッパンネタで挑んだベテラン漫才師が、来年も同じネタで、また『THE SECOND』に出るか? 答えは限りなくNOだと思います」(前出・放送作家、以下同)
16年以上のキャリアが故に、勝負ネタはどんどん錬磨され、一つひとつのネタに磨きがかかる。そのキャリアと芸人人生こそが、賞レースに適さないとは皮肉だ。
「16年以上戦ってきた芸人さんが、勝負ネタで今年落ちたのに、来年に向けてたった1年でそれを超えるネタを完成させるのは、ほぼ不可能に近い。金属バットのような、“競技漫才”を作り続ける馬力がないと、『THE SECOND』の第2回大会には出場できない。となると、毎年開催するほどの芸人さんがはたして集まるのか……」
来年に期待!