パ・リーグ覇権奪回をねらう『福岡ソフトバンクホークス』が、かねてより報じられていたアルフレド・デスパイネ(36)選手との再契約が合意に達した。
昨シーズンまでソフトバンクに6年間在籍した、実績十分の“右の大砲”を再度迎え入れた形だが、外国人選手らの不調に加えて、どうやら“あの騒動”も少なからず関係しているようでーー。
「本来ならばシーズン中にFA権を取得、ソフトバンク入りが既定路線とみられていました」パ・リーグチームの取材するスポーツ紙・野球担当記者が言うのは、『埼玉西武ライオンズ』山川穂高(31)選手(以下、敬称略)のこと。
沖縄県出身の山川だけに、地元に近い福岡県に本拠地を置くホークスは理想の職場として、加えて高年俸を得られるはずの球団だった。
「同じくFAでチームに加入した近藤健介(29、元『北海道日本ハムファイターズ』)は、一部では7年で総額50億円とも報じられた通り、本塁打王3回の山川も同等の超大型契約が目されていました。
が、デスパイネの再獲得で、どうやら“白紙”になったと見られています。今や球団首脳陣からは山川の“やの字”も聞こえてこないと」(前出・スポーツ紙記者、以下同)
“現在の山川”より戦力になる
ソフトバンク移籍が実現すれば一塁手、もしくは選手層が厚いチーム事情から指名打者での起用が見込まれていた山川。外野手登録のデスパイネではあるが、今年で37歳を迎える年齢と守備面の不安もあることから指名打者での出場が濃厚のようだ。
「もちろんデスパが期待通りの活躍を見せられるか、そして来シーズンも契約するかどうかは不透明です。それでも“現在の山川”よりは戦力になり、親しまれた明るいキャラクターがチーム内に、また興行面にもいい影響を与えるのは間違いなところ」
WBC日本代表のスラッガーとしての戦力面を差し引いても、山川が起こした強制わいせつ致傷事件をソフトバンク球団も重く見ているのかもしれない。では、山川は来シーズンもライオンズのユニフォームを着るのだろうか。
強制性交疑いで書類送検された山川は、20代の知人女性とは「合意があった、無理矢理ではない」と、警察の事情聴取で容疑を否認している。今後の動向について、球団事情に精通するスポーツライターに聞くと、
「仮に嫌疑不十分で不起訴、または女性側と示談成立したとしても、不倫トラブルを起こしたことに変わりありません。特に子どもに人気が高かっただけにファミリー層を重視する、また女性ファンの獲得に取り組んでいた西武球団にとって扱いづらくなる。
それに、このままシーズン終了まで試合に出場できなければFA権すら取得できないわけで、移籍どころかオフの“トレード要員”になる可能性も。山川に代わる“4番ファースト”も育ってきていますからね」
4番ファーストに“おかわり君3世”
39歳にして開幕から好調を維持し、チームを牽引してきた“おかわり君”中村剛也が5月27日に怪我のために登録抹消。代わって一軍登録されたのが3年目の渡部健人(24)。その一見“ぽっちゃり”に思える体型から、“おかわり君3世”とも称される右の長距離砲だ。ちなみに“2世は”山川である。
4番ファーストでスタメン出場を果たした、5月28日の『オリックス・バファローズ』戦では4番初打点を上げる活躍を見せ、お立ち台で大歓声を受けてファンから迎えられている。
「本来ならばサードも守れる渡部は中村の後釜として育て上げ、山川との併用起用、もしくはFA退団を想定して獲得したのは間違いないところ。毎年のように主力が抜けても、次々とスター選手を輩出する野手育成はピカイチです。
それに中村もまだまだ衰え知らず。渡部が一軍定着してポジションをモノにしようものなら、山川の“居場所”はチーム内外のどこにもなくなってしまう。それがプロの世界ですから」(前出・スポーツライター)
WBCのヒーローから一転、千尋の谷に落ちた獅子は這い上がれるのだろうか。