「被告とパパ活でもめて刺されたんじゃない。そもそも、パパ活はしてないんです。彼女のバックにいる人間たちが関与して、そそのかしたようなものだと思っています。いまだに私は彼らからSNSで攻撃されていますから」
そう話すのは、週刊女性プライムが5月15日に報じた『神奈川・パパ活女子殺人未遂事件』の被害者で、同県平塚市に住む無職の男性Aさん(49)。
ゴールデンウィーク最中の5月4日午後7時42分、神奈川県警平塚署はJR平塚駅そばの歩道上で、自称無職・住居不明の伊藤りの被告を殺人未遂の疑いで現行犯逮捕した。Aさんの腹部をナイフで刺して殺害しようとしたのだ。
「被告は7時30分ごろ、みずから“人を刺した”と110番通報。署員が駆けつけたところ、Aさんは腹部から血を流してしゃがみ込み、近くには血のついたナイフが落ちていた。被告は抵抗する様子はなかったようです。被害者となったAさんは病院に搬送。命に別条はないものの、重症でした」(全国紙社会部記者)
殺すつもりでやった。2回、ナイフで刺した
伊藤被告は警察の取り調べに対して、
「殺すつもりでやった。お腹を2回、ナイフで刺した」
と素直に、かつ堂々と供述していたという。
Aさんは本来、“全治3か月、入院期間は1か月”の病状だったが、事情があって二人暮らしをしている高齢の母親が心配で、2週間ほどで無理をいって退院させてもらったという。
「ナイフで刺されて臓器が傷ついたし、出血も多かったものの、奇跡的に助かった。医者には“刺された場所が数センチずれていたら、臓器に穴が開き、出血死の致命傷だった”と言われました」(Aさん、以下同)
今でも杖をつかずには歩けない状態であり、腹の中心に縦に約25センチ、右腹部にも5センチほどの傷が痛々しく残っている。
なぜAさんはりの被告に殺されかけたのかーー事件の真相を語り出した。
「被告と初めて会ったのは今年2月5日、Bとその妻(ともに50代)が主催する誕生会という名の“乱パ”でした」
乱パとは、男女複数人がみだらな行為をする乱交パーティーのこと。Aさんは何度かこの違法なパーティーに参加していたことを率直に告白してくれた。
「5日の乱パには、B夫妻のほか、3組のカップルが参加していた。その中にCという30代男性がいた」
乱パの主催や、“パパ活”女子に買春行為を斡旋するなど、カタギとはいえないC。特殊詐欺の指示役として逮捕された過去があるという。
「当時、交際相手がいなかった私に、BとCは被告を彼女候補として紹介したのです。私がルックスを全く気にしないタイプで、性格や相性で選ぶことを知っていたから被告を紹介したんだと思います」
乱パ主催者に彼女候補として被告を紹介されるが…
だが、Aさんは被告との交際を望んではいなかった。なぜなら、りの被告はCが抱えるパパ活女子の一人だったからだ。
「パパ活には興味がなかったんです」
Aさんと被告はSNSで何度かやりとりはしたものの、やはり交際には至らなかったという。そのうち、被告からDという20代女性の“推し”がいると紹介された。
「Dちゃんとも1回も会わなかった。会うだけで料金が発生してしまうシステムだし、やっぱりパパ活には興味がなかった」
ある日、りの被告とDが一緒にいるとき、被告がAさんへ電話してきたことがあった。被告がDと電話を代わって、AさんとDが話していると、
「私たちが親しそうに話す様子を見た被告は、二人が隠れて会うのではないかと疑ったんです。Cが仕切るパパ活のルールでは“会ったら金が発生する”わけで、被告は私がそれを破ったと思い込んだ」
すると、被告から一方的にAさんを責め立てるツイートがされるようになったという。ついにはこんなメッセージが。
《自分の発言に責任持てよ? 自分がチキンだからって私も同じだと思うな》
《本当に許せない。頭がおかしい人なら仕方ないけど、自分がまともって思ってるなら責任は取ろうね。責任とらずに逃げるのは頭のおかしい人のやることだよ。》
被告がここまで激昂したのは、Bのある行動が影響しているという。
「被告ともう連絡をとらなくなっていた時期に、突然Bから《りのが会いに来たら、どうする?》というメールがきたんです。それで《会いにくる勇気はないでしょう》と返したら、Bが私に内緒でそのやりとりを被告にそのまま転送していた」
Bが被告を煽っていたということになる。なぜなのか?
「面白がってやったんだと思います。でも被告はある意味、純粋で……彼らのせいで、私への恨みを増幅させてしまったんだと思います」
Aさんと被告は2月中旬以降、一度も連絡をとっていなかった。そうして、事件当日を迎える。
「5月4日は知らない女性から“平塚駅で会ってもらえないか?”と写真つきのDMが届いたので、疑いつつも約束をしてしまった」
待ち合わせに現れたのは…りの被告だった!
待ち合わせた場所だった南口の階段を降りたところで待っていると、そこに現れたのは“りの被告”だった。
「驚きました……。別の女になりしまして私にアプローチしていたんです。彼女はいきなり“私の大切なB夫妻とCをバカにしやがって!”と言いながら両手でナイフを持って刺してきた。とっさに身体をよじりながら手で払ったが、腹部に刺さった。そして、ふた刺しめのときには、被告が“B夫妻に言われてきた。死ね!”と叫ぶのが聞こえた」
ふた刺しめも再び腹部に刺さった。直後、りの被告は周囲に聞こえるように、“私は通り魔です”と叫んで偽装していたという。
「母親から“こんな違法なことをしている危ない人たちとつきあうから、こんな目に遭うのよ”と叱られています」
Aさんはバツが悪そうに弱々しく笑っていた。
りの被告は5月25日に起訴され、およそ1年後に裁判が始まる。彼女の口からは、どんな事件の真相が語られるのだろうか。