カルピスウォーターの14代目CMキャラクターや、ドラマ『妻、小学生になる。』『Get Ready!』『大奥』など、話題作に次々と出演。ネクストブレイク筆頭の大注目女優・當真あみ。
「演技がほぼ初めてという状態だったので最後まで緊張していました」と語るのが、長編実写映画初出演となった『水は海に向かって流れる』。クセモノだらけのシェアハウスの日常を中心に、いつも不機嫌そうにしているOLの榊さん(広瀬すず)と、彼女にほのかに思いを寄せる男子高校生・直達(大西利空)の心情を優しく見つめた人間ドラマだ。
「この作品以前はCMとショートフィルムしか経験がなかったので、ひとつの役を長い期間かけて演じるのが難しかったです。どう役作りをしていいかも全然わからなかったので、前田哲監督にアドバイスをいただきました」
ポイントは「自然体の演技」
當真が演じるのは、直達のことが好きな同級生・楓。シェアハウスの榊さんのことばかり口にする直達の鈍感さにヤキモキしたり、オトナ女子の榊さんに嫉妬をしたり……。
「監督は“當真さんは意志が強そうに見えるから、そのまま演じればいいよ”とおっしゃって。私自身、自覚がなかったので、“そのまま?”と思ったのですが(笑)、自然体でいることが大事なんだと思い、なるべく自然に演技するように頑張りました。
大西くんとは同い年ということもあって、リラックスして接することができたのも良かったと思います。大西くん自身が映画の直達くんみたいにマイペースで優しい雰囲気だったので、私も現場で落ち着くことができました」
自身と演じた楓との共通点はあるかと聞いてみると、
「楓は直達くんのことが気になっているのに、直達くんは一切、自分のことなんか見てなくて、榊さんのことばかり話すんですよね。楓にとって年上の榊さんはどうしても勝てない存在だから、すごく悔しい。もし、私が同じ立場だったらと想像しても、絶対悔しいだろうなと思います」
作品中盤には、楓が榊さんに思いの丈をぶつけるシーンがある。
「ふだん、誰かに強い気持ちをぶつけることはないですし、自分だったら直接言う勇気もないから、そのシーンは本当に難しくて何回も撮り直しをしました。でも広瀬さんがずっと優しく演技に付き合ってくださったので、感情をつくりやすかったです。常に榊さんとして広瀬さんが現場にいてくださったので、私も集中力が途切れることがなく、助けていただいていました。撮影がスタートした瞬間にパッと役柄に切り替わる広瀬さんを見たときは、すごいなと思いましたね」
本作を経て、演技の難しさ、楽しさを感じたと真摯に語る。
「自分にない要素がある人物を演じるのはやっぱりすごく難しいと感じましたが、難しいと思うからこそ、逆に楽しくも感じたのは新しい発見でした。この作品を経験したことで、俳優としての課題点が見つかったので、それを次の作品ではどうにか直したいですね」
“元気の源”は母の手料理
現在は初めての大河ドラマ『どうする家康』に家康の長女・亀姫役で出演中。6月16日には出演映画『忌怪島/きかいじま』が公開されるなど、快進撃が止まらない。今後やってみたい役は?
「どんな役柄や作品でも挑戦したい気持ちですが、特にミステリーが好きなので、ちょっとつかみどころがないミステリアスな役に憧れがあります。ハラハラする謎解きサスペンスのような作品に出られたらうれしいですね。好きな作品は漫画からドラマ化されて、9月に映画も公開される『ミステリと言う勿れ』です」
そんな當真を支える“元気の源”は、お母さんが送ってくれる手作りの食事。
「ハンバーグがすごく好きな私のために、ハンバーグと栄養を考えた野菜スープなどをわざわざ冷凍して送ってくれるんです。それを食べるとやっぱり元気になれますね」
●大河ドラマ『どうする家康』亀姫について
私が出演したシーンに主要キャストのみなさんが勢ぞろいしていたので、その空気感や威圧感にとても緊張しました。衣装の着物はさほど苦しくなかったのですが、正座や片膝をついて待機している姿勢など、時代劇ならではの所作が大変で。わらじを履いていたのもあって、カットがかかったときに足がしびれてしまったこともありました (笑)。こうしてさまざまなことを学べる場をいただけて刺激になりましたね。
映画『水は海に向かって流れる』
6月9日(金)TOHOシネマズ
日比谷ほか全国ロードショー
(c)2023映画「水は海に向かって流れる」製作委員会 (c)田島列島/講談社
撮影/山田智絵 取材・文/熊谷真由子
ヘアメイク/SAKURA スタイリスト/大村淳子