「“男性アイドル一強”といわれているジャニーズ事務所の牙城を崩せる時が来たと、虎視眈々と機会を狙っている芸能事務所も多いと聞いています」(テレビ局プロデューサー)
今年3月に放送された、イギリスの公共放送BBCの『J―POPの捕食者 秘められたスキャンダル』から始まった、ジャニーズ事務所前社長の故・ジャニー喜多川氏による性加害報道。その余波はとどまるところを知らず、芸能界の勢力図にも影響を与えている。
ジャニタレを“追撃”する2組
人気グループに所属するメンバーの退所も多く報じられ、『King&Prince』からは岸優太、平野紫耀、神宮寺勇太が5月22日に脱退。平野と神宮寺は同時に退所し、岸は9月に退所することが決まっている。
また、ジャニーズタレントをCMに起用している企業は「世間の反応を見ながら対応を決める」という立場が多いとも報じられており、事務所内、外の両方から危機が迫りつつある。
前出のプロデューサーは、ジャニーズタレントを“追撃”するアイドルとして、
「吉本興業と韓国のエンタメ企業が立ち上げた会社に所属している『JO1』や、スターダストプロモーションの『DISH//』などが注目されていますね」と2組の名を挙げた。
これまで男性アイドルという“枠”を独占してきたジャニーズ事務所だが、ここにきて暗雲が垂れ込めているのか─。
「もともと、亡くなられたジャニーさんの力が芸能界で本当に強かったから」
と話すのは、バンド『ロマンポルシェ。』のボーカルで、アイドル事情に詳しい掟ポルシェ。
「かつて、ジャニーズ事務所のタレントとルックスの系統などがかぶるような男の子のタレントは、所属事務所が売り方に気を使っていたと聞いています。同じような容姿やキャラだと、ジャニーズのタレントと共演できなかったということもありますから」
ジャニーズの楽曲は「伝統芸能」
ジャニー氏が育てたタレントを、優先的に使いたいというテレビ局側の忖度もあったのだろう。しかし、そのジャニー氏はもういない。人気タレントたちの退所も続き、その空いた“枠”を誰が埋めるかは気になるところだ。そういった見方を掟ポルシェは、劇的には変わらないだろう、と続ける。
「ジャニーズ一強の時代から、ほかの事務所は男性グループをキャラがかぶらないような売り方をしていましたから。ジャニーズとは違うタイプのマッチョな子を集めたりね。あと、中性的な魅力を持った『BTS』などコリアンアイドルの台頭もあり“美少年”の定義が細分化されました。逆に、今からジャニーズの後釜を狙おうとしても、もう遅いでしょう」
ジャニー氏の“好み”とは違う容姿を持った男性アイドルを育ててきたことで、棲み分けができてきたのだという。そして、男性アイドルの“王道”を走ってきたジャニーズ事務所のこれからについては、
「ジャニーズのタレントが歌う曲は、もう様式美のある伝統芸能のようなものですから。ジャニーズイズムじゃないけど、曲調など一貫しているじゃないですか。どんな新しいグループが出てきても、揺るぎない部分が絶対にあります。そういう盤石な部分があるので、今回の性加害の問題で離れていくファンもいるかもしれないけど、替えのきかない音楽だから、まだまだやっていけると思います」
40年以上、日本の芸能界で揺るぎない“王国”を築いてきたジャニーズ事務所。その立ち位置を、これからも守り続けることができるのか、それとも─。