チャールズ国王の戴冠式へ向かわれる秋篠宮ご夫妻をお住まいで見送られた悠仁さま(5月4日)

 高校2年生の夏は、今後の進路について考え、受験に向けた計画を立て始める時期ともいわれている─。

 秋篠宮家の長男・悠仁さまは、現在高校2年生。偏差値70を超える都内屈指の国立進学校、筑波大学附属高校(以下、筑附)に通われている。

同世代と“競争”させるべきではない

「2学期制の筑附では、前期の中間テストが6月に行われます。学校の授業は、受験には直接的に関係しないアクティブ・ラーニングが中心。例えば、数学であれば公式を覚えるよりも、その成り立ちを考えます難関大を目指す生徒は、塾に通うなど各自で受験勉強に取り組みますね」(筑附OG)

 筑附は毎年30人近くの東京大学合格者を輩出している。

「皇位継承者が学習院以外の高校に進学したのは戦後初のこと。悠仁さまが筑附へ入られた背景には、“東大へ進学させたい”という紀子さまのご意向があるのではと囁かれています」(皇室ジャーナリスト)

 一方、皇室制度に詳しい静岡福祉大学の小田部雄次名誉教授は、「皇族が熾烈な受験戦争に加わるのは望ましくない」とし、理由を続ける。

「皇族と競い、勝ってしまうというのは、一般国民にとって心理的負担がかかるもの。とはいえ、わざと負けるのは、モラルとしてふさわしくありません。同世代の若者の将来設計がかかった競争に、皇族が参入すべきではないと思います」

 こうした中、'16年度から東大が導入した『学校推薦型選抜』─いわゆる推薦入試に注目が集まっている。

「学校の成績に加え、面接や課外活動での活躍などで人物を評価する制度で、学力重視のペーパーテストではありません。各校、男女合わせて4人まで推薦することができ、筑附もこの入試でコンスタントに合格者を出しています」(受験情報誌ライター)

 トンボの観察や野菜の栽培、稲の交配実験をライフワークとされている悠仁さま。持ち前の研究者肌を活かせば、推薦での東大入学も十分ありうるといわれている。

 ところが、ある東大OBは「悠仁さまのご入学は現実的でない」と話す。

“学問の自由”が脅かされる可能性

「皇族が入学されれば、護衛にあたる警察官が、大学構内に控えることになります。しかし、“大学の自治”をとりわけ重んじる東大が、警察官が頻繁に入構する状況を許容するとは、到底思えないのです」(東大OB)

 東大では1952年、構内で行われた学生劇団の演劇発表会に、私服警官が潜入していたことが発覚し、トラブルに発展したことがあった。

「警察官の立ち入りが、大学における学問の自由と自治を侵害するかどうかが裁判では争われ、劇団名をとった『ポポロ事件』として広く知られています」(同・東大OB)

 そうした経緯もあり、大学側も警察官の立ち入りに敏感になっているという。

「皇族の身辺警護に限っていえば、大学の許可があれば問題ありません。ただ、警察は警備・公安活動として、学生団体を調べ上げる可能性も。仮に悠仁さまが東大に進学されたとすると、私服警官が構内に立ち入り、天皇制に反対する団体がないか確認することが考えられます。これが大学に無断で行われた場合、“学問の自由”を侵害するおそれがあり、違憲とされます」(憲法を専門とする西南学院大学の齊藤芳浩教授)

東大のシンボル『赤門』。本郷キャンパスにあり、国の重要文化財にも指定されている

 ある学習院関係者は、こう憂色を浮かべる。

「“皇族のための学校”として知られる学習院は、警備体制のノウハウがあり、学校職員や保護者にも卒業生が多いため、皇族を受け入れやすい環境が整っています。もし悠仁さまが東大に進学されれば、史上初の“東大卒の天皇”となりますが、皇族のご進学によって、日本一の大学の“学問の自由”が脅かされるようなことはあってはならないと思います」

 東大進学の壁は、想像以上に高そうだ。


小田部雄次 静岡福祉大学名誉教授。日本近現代史を専門とし、『皇族に嫁いだ女性たち』など著書多数

齊藤芳浩 西南学院大学法学部教授。憲法を専門とし、著書に『統治行為の法理』(法律文化社)など